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人間不信様のハーレム世界   作者: 和銅修一
23/80

学園長と会議室

「ここが魔法都市か。確かにそんな感じだな」

 多くと人が杖や魔道書のようなものを持ち歩いている。さすがに(ほうき)で空を飛んでいる人はいなかったが、それでもここは悠斗がいた世界にはない魔法都市であると一目でわかる。

「さて、どうする主。新しい仲間を探すと言ったって闇雲に探しても見つからないぞ」

「なんだ、アリアは仲間を増やすのに反対すると思ってたんだが、そうじゃないのか」

「ふん、確かにこれ以上ライバルが増えるのは厄介じゃがその分、(われ)が頑張ればよいだけの話だからな」

 何を頑張るのかはわからないが、どうやら反対意見はないらしい。彼女も魔法の必要性を理解しているのだろう。

「そうだな。まずは宿を探すか。どうせすぐには見つからないんだし、長期戦覚悟だなこれりゃあ」

「なら、空いている宿があるか探してきます。ここのマップはダウンロード済みなので大丈夫です」

 レイナはすっ飛んで行った。彼の期待に応えたいのか、かなり必死な様子だ。

「お、おいレイナ! ったく仕方ない。ここで待つか」

 無闇に動くと迷子になりかねない。ここはレイナの帰りを待った方が得策と思った悠斗はそこに近く、邪魔にならない。それに目立つ場所、掲示板前で帰りを待つことにした。

 ホグアは街が珍しいのかキョロキョロとしているが、それよりも周りの視線の方が気になった。

 彼らは何もホグアの言動を見ているわけではない。悠斗を妙な視線で見つめていた。

「主……これは?」

「わかってる。何かあるぜこれは」




 イムホテギア本部。

 ここは都市の全てを決める場所。ここの一つの会議室にイシリア学園学園長シグダリアと本部長、その他の役員が集まっていた。

 数は全員で六人。この六人で会議が始まる。

「まずはシグダリア学園長。お忙し時にお呼び立てしてすいません」

 シグダリアの目の前に座っている男が先陣をきってそう言った。距離はかなり空いているがが彼の威圧感を感じ取れる。

「前置きはいいて。始めてくれ」

 よく言うものだ。ここに来なければ生徒を人質にとってでも協力を要請するだろうに。この男には困ったものだ。

「そうですか。ではまず現在の状況を確認します。ギランカ達は未だ集団となってこの都市を囲んでいます。それに少しずつ近づいています。このままでは(じき)にこの都市の魔力は食べ尽くされてしまいます」

「なるほど、具体的な対策はできておるのか?」

「いいえ、ありません。ですので学園長の知識をお借りできればと思います」

 答えたのはさっきの本部長ではなく、他の役員の一人だった。

 どうやら彼はもう話す気はないらしい。まあ、それはそれでいいかもしれない。

「そうか。だがな、相手は魔道士が最も苦手とするギランカじゃ。ちと、分が悪いの」

 だが、倒せないというわけではない。倒すのが大変なだけで学園の生徒をかき集めれば何とかなるかもしれないが気になることがひとつ。

「しかし、おかしいのぉ。奴らは団体行動などしんはずじゃが」

 ギランカはただ魔力を求めて行動する貪欲なモンスター。奴らが協力してどこをかを攻めるなどありえない。

「ですが、最近は南の方でギランカの集団が見かけれたようですよ。これとは関係ないと思いますがね」

「それはいつじゃね」

 この役員は関係ないと言うが、少し気になってしまった。

「参加者が現れた日です」

「なんと!」

 シグダリアは年甲斐(としがい)もなく大声をあげて驚いた。

 参加者は突如として現れた神候補達だが、ここの世界の人たちは彼らを良く思っていない者が多い。

 それはあるギルドが暴虐(ぼうぎゃく)の限りを尽くして参加者のイメージをダウンしたからだ。

 悠斗たちの世界で言うと、学校の制服を着たまま悪さをしたらその学校の評判が下がるというのと同じだ。

「どうやら参加者が来たときに使われた転移魔法か何かの魔力が空気中に散漫(さんまん)したのを食べに来たんでしょう。今回も同様に何らかの魔力を感じ取ったのでは?」

 シグダリアから見て左手前の役員はそう力強く発言した。

「それはどうかのぉ?」

 長い髭をかまいながらその疑問を疑問で返す。

「な、なんですと」

 侮辱されたと思ったその役員は顔を強張らせる。

「それほどの魔力であれば誰かが気づいておろう。だがわしも、他の教員も誰もそんなものは感じていないようじゃぞ」

 何かあったらすぐに報告してくれと全員に言ってある。だがその誰もが報告などしていない。ならばこの役員の解釈は間違っている。

 イシリア学園の教員は優秀な人材が揃っている。そんな彼らでも問題はないと無言で言っているのだ。それに学園長として彼らを信じている。

「な、ならばどうするのですか? 奴らはすぐそこまで迫っているのですぞ」

 怒ったダンッと目の前の机を叩いた。

「まぁ、まぁ。そう慌てるでない。わしに少しだけ考えがある。準備ができたら連絡する。その時には作戦やその他もろもろ持ってくるから今回はこれで終わりにしようはないか。のぉ、本部長殿」

 ふぅ、と本部長はため息をついた。

「そうですね。最強の魔道士様がそう仰るのならそうしましょうか。では今回はこれで解散として学園長さんの準備が出来次第、もう一度会議を開始することにしましょう」

「最強だったのは昔の事じゃ、今はしがない学園長じゃよ」

 コツンと杖を地面を突いて簡易の転移魔法で帰って行った。

「しがない……ねぇ、あれほどの魔道士そうそういないよ。にして偉そうな爺いだ」

 眼鏡をクイッとあげて椅子に踏ん反り返った。

「さて、こちらはこちらの準備をするか」

 会議室は本部長以外、誰もいない。

 学園長のように転移魔法で帰ったのだろう。だがそれは好都合。動きやすくていい。

 彼は輝くように綺麗な天井を見上げてもう一度、息を吐いた。

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