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プロローグ
※この作品は某巨大掲示板に投稿したものを加筆・修正したものであることをここに断っておきます
秋は、時おり露時雨が舞い降りて、鮮やかな日常を覆っては煙る。
レースカーテン越しに見るようなその光景は儚げであり、そしてどこかしら退廃的でもあった。
しっとりとした穏やかな情景に心惹かれるものの、私はなぜか、その景色には組み込まれずにいる。
蚊帳の外に放っておかれたように、露時雨の美しい世界には、入ることが叶わないのだ。
何かが、私が一歩踏み出すのを邪魔している。
やめて。
そちら側に、行きたいのだ。
露時雨の檻で遮断された世界に、組み込まれたいのだ。
私はそちら側の人間なのだから―――。