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Wissen ist Macht.  作者: Rowun☽


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第4話 鬼教官

どうも、Rowun☽です。


第4話を読みに来てくださりありがとうございます。

今回はついに、とある重要な人物が登場する回になっています。


ここから物語の空気が少し変わっていくので、その雰囲気も楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、第4話をどうぞ。

本を片手に基地の中を歩いていると、いつの間にか見知らぬ場所に来てしまっていた。

「やっば……ここどこ……」

どうやら道に迷ったらしい。

基地の地図は頭に入れてあるが、実際の構造はまだ完全には把握できていない。

……スパイとしては情けないミスだ。

芝生の上を歩くと、ガサガサと音が鳴った。

その瞬間。

「……誰だ?」

低い声が背後から響いた。

「………ぁ」

やっべ。

バレた。

ゆっくり振り返る。

そこに立っていた男を見た瞬間、俺の心臓が一瞬止まりかけた。

――エルダ・シリル・ヴィルギル。

この基地の教官。

そして、グライス軍でも有名な軍人。

鬼教官と呼ばれる男だ。

……よりにもよって一番厄介な人物に見つかるとか。

「ここで何をしている」

エルダ教官は静かに言った。

怒鳴っているわけでもないのに、妙な圧がある。

……どうすっかな。

殺すのは流石にヤバい。

そんなことしたら潜入任務どころじゃなくなる。

俺が言い訳を考えていると、無言なのが気に入らなかったのかエルダ教官は少しムスッとした顔をした。

「聞いているのか?」

「は、はい」

反射的に返事をする。

「……お前さては……」

エルダ教官が一歩近づいてきた。

ジリ、と距離が詰まる。

まさか。

バレた?

一瞬で最悪の展開が頭をよぎる。

だが次の瞬間。

「新人だな?」

……あ。

良かった。

バレたわけじゃないらしい。

内心でホッとしながら頷く。

「は、はい」

エルダ教官は俺をじっと見たあと、小さく息を吐いた。

「名前は」

「ロム・ルーカスです」

俺は反射的に敬礼した。

「ほう……ルーカス」

エルダ教官は少し考えるように目を細める。

「どこかで聞いたことがある名だな」

「元特殊部隊隊長アルト・ルーカスの孫です」

そう言うと、エルダ教官の表情が少しだけ変わった。

「……アルト隊長の?」

「はい」

しばらく俺を見たあと、エルダ教官は小さく頷いた。

「そうか」

それから改めて聞く。

「こんな所で何をしている」

「えっと……」

俺は慌てて言い訳を考える。

「静かな場所で読書しようと思って歩いていたら、道に迷ってしまって……」

我ながら苦しい。

だがエルダ教官はしばらく俺を見たあと、意外にも怒らなかった。

「……そうか」

そして建物の方を顎で指す。

「ついてこい」

「え?」

「読書したいんだろう」

そう言って歩き始めた。

俺は慌てて後を追う。

少し歩くと、小さな建物の前で止まった。

エルダ教官は扉を開ける。

「入れ」

「ここって……」

中を見た瞬間、思わず言葉が止まった。

本棚。

机。

書類。

どう見ても――

「……俺の書斎だ」

エルダ教官はそう言った。

「新兵が入っていいんですか?」

思わず聞いてしまう。

「別に構わん」

エルダ教官は椅子に座る。

「静かに読むならな」

……鬼教官って聞いてたけど。

思ったより優しいのか?

俺はソファーに座った。

本を開く。

しばらく静かな時間が流れた。

紙をめくる音だけが響く。

その時だった。

「……ところで」

エルダ教官が口を開いた。

「何故フードを被っている」

俺は少しだけ視線を逸らす。

「……あまり顔を見られるのが得意じゃなくて」

エルダ教官は少し考えるように黙った。

「……そうか」

だがすぐに言葉を続ける。

「だが」

視線がこちらに向く。

「貴様の素性を知らないと、何かあった時に対処ができなくなる」

そして静かに言った。

「一度でいい」

「顔を見せろ」

……参ったな。

正直、顔を見せるのはあまり好きじゃない。

だが教官命令なら断れない。

俺は小さくため息をついた。

「……わかりました」

フードに手をかける。

ゆっくりと外した。

その瞬間だった。

エルダ教官の表情が固まった。

完全に、動きが止まっている。

……あれ?

どうしたんだ?

「教官?」

俺が声をかけると、エルダ教官はハッとしたように咳払いした。

「……コホン」

そして視線を逸らす。

「もういい」

……なんだ今の反応。

俺は少し首を傾げた。

だがこの時の俺はまだ知らない。

この瞬間。

エルダ教官が――

俺に一目惚れしていたことを

第4話を読んでくださりありがとうございました。


新しい出会いがあり、ここから物語が大きく動き出していきます。

これからの展開や関係性の変化も楽しんでいただけたら嬉しいです。


引き続き応援していただけると励みになります。


それではまた次のお話で。

またね。

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