第3話 入団式
どうも、Rowun☽です。
第3話を読みに来てくださりありがとうございます。
今回は新しい人物も登場し、物語の空気が少しずつ広がっていく回になっています。
まだ序盤ですが、ここから少しずつ物語が進んでいきますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、第3話をどうぞ。
笛の音が止むと、訓練場は一瞬で静まり返った。
さっきまでざわついていた新兵たちも、今は誰も声を出さない。
「これより入団式を始める!」
低く響く声が訓練場に広がる。
前方の台に立っているのは、一人の男だった。
鋭い目つき。
無駄のない姿勢。
そして、軍人特有の威圧感。
「俺は第1司令部隊長、ヨーゼフ・シーフェルデッカーだ!」
男は新兵たちを見回した。
「ヨーゼフ司令官と呼べ!」
どうやらこの基地の幹部らしい。
「本来なら、ここの教官であるエルダが指揮を取る予定だった」
エルダ。
その名前を聞いた瞬間、周囲の空気がわずかに変わった気がした。
「だが今回は不在のため、俺が代理を務める」
ヨーゼフ司令官は腕を組む。
「いいか。お前らはこれから兵になる者だ」
そして一言。
「やる気のない者は今すぐ帰れ」
静まり返る訓練場。
「使えない者も同様だ」
その言葉には、冗談の気配は一切なかった。
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ヨーゼフ司令官は新兵たちの前を歩き始めた。
一人一人を見て回る。
そして、最前列の男の前で止まった。
「貴様。名前は」
「お、俺は……」
男は言葉を詰まらせた。
まあ無理もない。
ヨーゼフ司令官の視線はかなり鋭い。
「なぜ詰まる」
「す、すいません……!」
「まあいい」
司令官は興味を失ったように言う。
「次」
そして。
俺の前に立った。
鋭い視線が突き刺さる。
「名前」
「グスタ地方出身、ロム・ルーカスです!」
俺は背筋を伸ばし、声を張った。
「ここに来た理由は?」
「すべての生き物に平和が訪れるようにするためです!」
一瞬の沈黙。
ヨーゼフ司令官は俺の顔を見つめる。
……観察されているな。
呼吸。
姿勢。
目線。
軍人はこういうところを見る。
そして。
「……合格だ」
「ありがとうございます!」
俺は敬礼した。
ヨーゼフ司令官は何事もなかったかのように台へ戻る。
「もう一度言う」
彼は新兵たちを見回した。
「やる気のない者は帰れ」
それだけ言って入団式は終了した。
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解散後、俺は部屋へ戻ろうとしていた。
その時だった。
「アンタすごいな!」
後ろから声がかかる。
振り返ると、赤髪の男が立っていた。
「俺、あの人の前で声出なかったぞ!」
かなり元気そうな男だ。
「そう?」
「俺グンドルフ・ヴェスターヴェレ!」
男は笑いながら手を差し出す。
「ヴェスターって呼んでくれ!」
距離が近いタイプらしい。
「ロムでいいよ」
俺たちは軽く握手をした。
「よろしく!」
ヴェスターは嬉しそうに笑う。
「そういえば部屋どこ?」
「確かこの辺だけど」
俺がそう言うと、ヴェスターは驚いた顔をした。
「え!? マジ!?」
「どうした」
「俺隣の部屋!」
……なるほど。
「遊びに行くからな!」
元気なやつだ。
俺は軽く手を振って部屋へ戻った。
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部屋の扉を開ける。
「おー、おかえり」
ナルアがベッドの上で寝転んでいた。
「遅かったな」
「隣の奴に捕まってた」
「あー、騒いでたのそれか」
ナルアはニヤニヤする。
「で、聞いてくれよ」
嫌な予感がした。
「女の子がいたんだけどさ!」
やっぱりか。
「話しかけたらビンタされた」
「……何言ったんだ」
「可愛いですねって」
完全にお前が悪い。
俺は本を手に取った。
「どこ行くの?」
「静かなところ」
「俺も行くー」
「来るな」
俺は部屋を出る。
静かに本を読める場所。
そして、できれば情報も集まる場所。
そんな場所を探して歩いていると――
気づけば見知らぬ場所に来ていた。
「……やば」
どうやら道に迷ったらしい。
その時だった。
芝生を踏む音が聞こえる。
ガサッ。
「……誰だ?」
低い声が背後から響いた。
振り返る。
そこに立っていたのは――
黒い軍服の男。
鋭い目。
そして、圧倒的な威圧感。
「ここで何をしている」
この男が。
後に俺の運命を大きく変えることになる。
エルダ・シリル・ヴィルギル教官。
――鬼教官と呼ばれる男だった。
【あとがき】
第3話を読んでくださりありがとうございました。
少しずつ登場人物が増えてきて、物語も動き始めてきました。
ここからさらに展開していきますので、続きも楽しんでいただけたら嬉しいです。
感想などもとても励みになりますので、もしよろしければぜひお願いします。
それではまた次のお話で。
またね。




