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国策

 西暦20XX年、自己発電型ローイングエルゴメーター・エアロバイクに始まった人力発電の波は、金星市民体育館だけにとどまらず全国へと波及していき、あっという間にトレーニングマシンによる発電は当たり前のこととなった。

 そのような事態を、大企業が黙っているはずがない。大手電力会社である帝国電力は安藤工業と業務提携を結び、さらに効率の良い人力発電装置を開発、各自治体への積極的販売を展開した。

 まず名乗りを上げたのは、市民体育館での導入に味をしめた金星市だった。金星市では少子化の影響で廃校となった小学校の校舎の利活用といまだに続く市民体育館の行列解消を目的に、旧小学校校舎を提供し、新型マシンを50台を設置した。もくろみは的中、旧小学校校舎には活気があふれ、市民体育館の行列も短くなった。

 その結果に触発されてか、その後全国各地さまざまな自治体から引く手あまたの状態となった。

 しかし、大企業というものはそのくらいでは満足しない。

 帝国電力はなんと自衛隊に提案を始めたのだ。

 人力発電の源は文字通り人の力である。今の日本で一番人的な体力がある組織はどこか、おのずと答えははっきりしていた。しかも自衛隊には、有事の際ライフラインを確保するという使命があることから、独自発電できる装置はうってつけであった。帝国電力の提案は自衛隊に歓迎され全国各地の基地に自己発電マシンが配備された。


 その情報を聞いた当時の総理である武山大臣は、はたと膝を打った。

「これだ」

 武山総理は国連総会で地球温暖化問題への日本の取り組みとして、温室効果ガス排出量30%削減という高い目標をぶち上げ各国から賞賛の拍手をもらったが、実現するための方策にすっかり行き詰っていたところだった。

「うん、これならいける!」

 早速、武山総理は関係閣僚を招集し検討を重ねた結果、ある結論に達した。

『エコ徴兵制度』の法令化である。

 ご存知のように戦争を捨てた平和国家日本には、徴兵制度は存在しない。しかし、世界には徴兵制度を継続している国家が多数あり、それらの国では一定の年齢になった男性は祖国を守るため徴兵され兵役を行っている。もちろん、日本には徴兵制度は無く、もし兵役としての徴兵制度が始まれば、内外から猛反発がくるに決まっている。



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