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人力発電パワー

これには安藤工業もびっくり。エルゴメーターの際にはなんとなく先細りで後味が悪かった社長は、前回の反省も忘れ、根が目立ちたがり屋なのか、喜んでインタビューに応じまくった。

 その結果、今回は、ポピュラーなトレーニングマシンだったことが幸いして、全国のトレーニングジムやスポーツセンター、スポーツ店から注文が殺到し、エルゴメーターの時には期待はずれだった工場の製造ラインの全面変更、フル操業での生産体制が現実のものとなり、社長ともども山崎もうれしい悲鳴を上げることになった。

 殺到する注文に対応しながら、山崎は考えた。

 自己発電型エアロバイクの発電能力は、思いのほか高く、20台導入した金星市民体育館では、照明設備から冷暖房設備にいたるまでの全消費電力の、実に半分の電力を安定的にまかなうことができた。これに毎日できる行列分の人数を加算すれば、体育館の電気を余裕を持って丸ごと人力で賄うことができる程である。

 今までエコ発電と言われてきた自然エネルギーを利用した方式は、太陽光にしろ風力にしろ自然の影響をモロに受けるため電力供給源としては不安定だった。それに比べ自己発電型エアロバイクは、人力発電のため人数さえ確保できれば、安定した電力源となる。発電量も文字通り人の手で自在にコントロールできるのだ。

 さらに、発電をしてくれる市民にとっては、メタボ対策など健康増進にもかなりの効果が期待できることから、利用者は全く減る気配がない。それどころか、世の中の高齢化による健康意識向上により、ますます増える傾向にある。

 もしかして人力発電というのは、究極のエコ発電なのではないか。市民のボランティア精神、環境問題に対する人々の純粋な気持ちの結晶なのではないか。この人力発電こそが火力や原子に変わりうる唯一の発電方式なのではないかと。


「あなた~。時間ですよ。起きてくださいな」

 妻があけたカーテンの外は、暖かい日差しに満ちていた。

(はっ・・・・あぁ、夢か)

 山崎は、妻の声に目をあけたが、日差しがまぶしいせいか、まだ回りはぼんやりとしか見えない。

 それとも、今まで見ていた夢と現実との差に頭が混乱しているのだろうか。

 見ていた夢は、確かエアロバイクを開発したばかりの頃の出来事だ。あれから、何年経ったのだろう。もう10年は過ぎただろうか。本当に懐かしい。

 土曜日の朝7時半、会社は休みなのだからもう少し寝かせてほしかったが、今日は当番の日だった。顔を洗って朝飯を食べ、出かけるとするか・・・・・。



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