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秋の庵にて

作者: 晴読雨読

 ひらひらと、葉が舞い散る季節となってまいりました。

 こちらは一足先に夏が終わり、皆冬の支度を始めています。

 薪窯や暖炉を整えたり猫の手も借りたい程です。

 実際は貸してくれないので、猫に触れて癒されている程度ですが。

 この間などは手伝ってと猫に言ってみたところ、手を振りながら、ニャイっと鳴いたのです。

 あれは私が気合を入れるためにファイトと言っているのを真似たに違いないと思います。

 応援してくれるならせめて近くにいてほしいです。

 外の仕事の時は、日向で寝ている割に、針仕事など危ないときばかり近寄って来て困ります。

 猫の話はそんなところです。

 もう姫様の御容態は良くなりました。

 療養ついでにこちらにいらっしゃると聞いた時は驚きましたが、大したことのない怪我で安心しました。

 この程度でしたら都の巫女の術でも怪我はすぐ治りますのにと、お尋ねいたしましたが笑顔ではぐらかされてしまいました。

 私の術もお受けにならず、自力のみで治癒してしまいました。

 姫様の回復力はあなた様の影響でしょうか?気になるところではあります。

 嬉しいお話として、姫様はあの時はあまり召し上がれなかった果実を美味しそうに召し上がっていらっしゃいます。

 あの時の経緯を伺うと何と壮絶なお気持ちでいらっしゃったかと、呑気に話しかけていた当時を思い出して、茫然としてしまいました。

 それでも姫様はあの時の私を思い出して心の支えになったと仰ってくださいました。

 姫様のお心持ちを考えると、一念の中に甘い果実の思い出があっては当時は煩わしく雑念にさえなっていたかと思います。

 本心はともかく現在になり、お気持ちが移ろわれたの嬉しく思います。

 そんなのんびりした空気に当てられまして手遊びに琴でもと始めました。姫様も笛を吹かれます。

 是非一曲形になりましたらその音を聴いていただきたく、練習を積んでまいります。

 姫様の御帰りには付き添いますので、その際にでも!

 またお会い出来ることを楽しみにしております。

 茶幸屋の饅頭を買っておいて下さると姫様が喜びます。

 私の分もついでで良いので、御用意下さると嬉しいです。


 貴方様へ天上の言祝あらんことを。

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