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第三章 ⅩⅠーⅡ

 前方からジョセフが近付いて来るのは直ぐに判った。頭を突き出しているフェスに気付いたか、笑顔で逞しい右腕を上げる。

「どうかしましたか?」

何か問題でも起きたのか、と、大声で呼び掛けると、違う違う、という風に手を振る。やがて、馬車に辿り着くと馬の首を撫でつけつつジョセフは訊いてきた。

「万能職ギルドの位置は判るかい?」

「はい。さっき教えて貰いました」

職員を見遣る。職員ははにかんだ様な笑顔を浮かべた。

「そうかい。だったらあんたはここまでで良いよ。依頼完了の手続きをしな」

「ああ、そうですか」

言ってポシェットから四つ折りの依頼書と筆記具を取り出した。馭者台に置き依頼完了の保証人としてジョセフと職員の署名を貰う。

「これでよし。じゃあ、また会おうや!」

言って、依頼書等をフェスに手渡す。それらを仕舞い荷物を手に荷馬車を降りて来たフェスの右肩を一つどやした。

「まぁ、心配はいらんだろうが、元気でな」

「はい。皆さんもご安全に」

固い握手を交わし一つ頭を下げると。

「ナーダに戻って来た時には、また私達の面倒を見てくれませんか?」

少し不安げに職員が訊いて来る。戻って来た、か、とフェスは胸中熱いものがこみあげて来るのを感じた。万能職というのは、基本どこへ行こうと自己責任、自由なのだ。このままマリッツォに居つこうと、また別の場所へ向かおうと、それは彼の意思次第。それは職員も理解している筈なのだ。しかし、フェスが戻って来る、と表現した。それは当然その事を歓迎している、という意思表示であり、フェスはまるで、貴方のいるべき場所はここです、と諭された様な気がして、少し心が軽くなった。そう、今そこには自分の帰りを待つ弟子達がいる。最上の笑顔が浮かんだ。

「そうですね、出来る限りは」

フェスが右手を差し出す。二人は固く握手を交わしたのだった。

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