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第二章 ⅩⅠーⅦ

 フェスは一度唾を飲み込むと、言わずもがなの事を呟いた。

「この奥、ですね」

『黄の猟犬団』の面々は、悔しげな表情を浮かべた。

「この高さじゃあ、ギルドの調査隊だって気付かねぇなぁ。ゴブリン共にとっちゃ、出入りは楽なんだろうが」

フィリッポは歯噛みする様に言った。ベルチェは宝珠を凝視しながら。

「これは見慣れない魔導石。あの幻影魔術といい、ゴブリン程度の仕掛けではあり得ない」

「リーチも気付かない程の仕掛け、か」

ロレンツの、右の握り拳が小刻みに震えた。

「どうしますか?」

パミールの問いに。

「……決まっている。万能職として、すべき事をするだけだ」

自制心を発揮している様に答えてロレンツがベルチェに視線を向けると、彼女は頷き返した。扉は簡単に開いた。

火槍ファイアー・ランス

入口に左手で握った鉄杖の頭部を突き入れ、呟いた。一つの宝石が赤く輝くと頭部の先に細長い炎が生まれ、弾かれた様に飛翔する。彼女は、何度もそれを繰り返した。横道の向こうからは、甲高い悲鳴の様な声が聞こえてきた。肉の焼ける悪臭も漂ってくる。フェスは固有技能でその様を見届けていた。火系列の魔術は、標的に着弾すると一気に燃え上がり、炎のヴェールで包み込む。熱さにのたうち回るゴブリンが他のゴブリンに助けを求め接触すると、そのゴブリンもまた燃え上がった。何発と打ち込まれてゆくその攻撃魔術が加速度的に被害を拡大させ、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されていた。それは正しく焦熱地獄。その様をただ素の表情で見守りながら、こういう目に遭いたくないならやはり魔術の習得は必須だろう、とフェスは決意したのだった。ロレンツが軽く肩を叩くと、ベルチェはようやくその火刑を止めた。

「ウラルク君、どうかな?」

「……二十体以上が焼け死に、残りは向こうへ脱出しました」

「……そうか。すまないが、他に横道がないか見てくれないか?」

「判りました」

一つ頷くと、彼はその作業に集中した。

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