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第二章 ⅩⅠーⅠ

 正午よりだいぶ早く、フェス達一行はダンジョンの前に到着した。森を抜け、外れまでやって来たため六時間程かかった。ほんの少し歩けば、広々とした陽光降り注ぐ草原に出られる。その洞窟は、木漏れ日のなか山麓にちんまりと不気味に口を開けていた。

「ここがダンジョンの入口だ。ギルドの正式名は『紫一洞窟』、まぁ、比較的危険性が低い、とされている」

随分と用心深い物言いをロレンツはした。パミールは少々、面に緊張を表した。『黄の猟犬団』の斥候がここで落命した事は聞いていた。ランク青銅の自分に代わりが務まるか、と自然と肩に力が入る。

「ここで改めて役割の確認をしよう。私達が戦闘の主力となる。ルーチィさんは罠の発見、解除に専念して欲しい。依頼対象の発見と周辺の警戒はウラルクさん、任せました」

「判りました」

「承知しました」

緊張した面持ちのパミールに対し、ニコやかにフェス。パミールは彼の固有技能について、大まかに聞いてはいた。しかし、幾ら固有技能というものが歴史的にバラエティに富んでいる事で知られているとはいえ、そんな万能職に好都合な技能があるのか、と疑っていたのだが。

「それでは、依頼対象を確認しておきます」

「ああ、頼むよ。ルーチィさん、彼に地図を」

ロレンツに指示され、パミールは荷物からクリップボードに挟んだダンジョンの地図をフェスに渡した。フェスはボードの上に地図を広げ、ポシェットからペンとインクの一緒になった筆記具を取り出した。左手でボードと筆記具を持ち、右手人差し指で地図上をなぞり始める。通路を丁寧になぞり、時折手を止めてはペンで指の止まった辺りに丸と、何事か記入してゆく。十五分程、その作業が続き。

「こんな所でしょうか?」

筆記具を仕舞い、フェスはロレンツにボードを渡した。そこには深紅苔の採取可能な場所と、おおよその量(壁一面、など)が記してあった。ロレンツは明らかに驚いていた。

「この短時間でここまで!?ところで、魔獣の一番少なかった経路は?」

「これですね」

フェスが指でなぞってゆく。

「そうか。ではまずはこの経路で行こう。ちょうど量の多い場所に出られる様だ」

ロレンツは即断した。フェスを信頼しているのだろう。

「ところで。その前に、少し早いけどここらへんで昼食にしましょうや。朝食を食いっぱぐれて腹が空っぽなもんで」

フェリッポの提案に、和やかな笑い声が森の中に流れた。

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