第二章 ⅦーⅤ
フェスは真っ直ぐロレンツを見返すと、ゆっくり口を開いた。
「話を聞いて、少し考えてみたのですが。申し訳ありません、どうやら私の技能には、そういった罠を看破する様な機能はありません。必要なら私がこれから修得するしかないですね」
申し訳なさそうに言うと。ロレンツは特に落胆した様な風もなく返答した。
「そうかい。ならばそれは別建てで考えるとしよう。それでは君にお願いしたい仕事は主に二つ。一つは採集目的である深紅苔の生えている場所の確認。ほの赤く輝いているから、すぐ判ると思う。もう一つは、まぁ当然ながら安全な経路の検索及び私達の前後の安全確認だが、出来るかな?」
何か探る様な視線を投げかけてくるロレンツに、フェスはLMに問い掛けた。
『LMさん。『地図追跡』は、暗闇の中で使えるのですか?』
と、ワイプから抜け出す様にLMが出現した。
『回答。固有技能においても『暗視』等のスキルは有効です』
『なるほど。有難う』
LMに礼を言うと、右手を振りながらワイプの中に消えていった。フェスは一つ頷いた。
「とりあえず今回だけ、という事でお願します。それと、申し訳ありませんが、私は自分と周囲の安全を守る為にしか戦いません。それで宜しければ」
「今回だけ、というのは何か、今後の予定でもあるのかな?」
「特にある訳ではないのですが。ただ、当面は身軽に動き回ってみたいと思っているので」
「そういう事なら心得ておこう。自分の身を護れるなら、それだけでこちらとしては充分だよ。宜しく頼む」
立ち上がり、フェスへと右手を差し出してくるロレンツに。フェスも立ち上がり、二人は固く握手した。着席し直すと、さっそく細かい打ち合わせに入ったのだった。




