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第二章 ⅦーⅡ

 真っ直ぐに中央区画の万能職ギルドへ向かう。カウンターで採取した薬草を渡し、報酬を受け取る。

「ウラルクさんは仕事が丁寧で、依頼者さんも喜んでいらっしゃいますよ」

女性職員が営業でなく本物だろう笑顔で言った。彼にしてみれば学習室の資料通りにしているだけなのだが、もっと雑な万能職もいるのだろう。そういえば、と、根から奇麗に土を付けたまま掘り起こす必要のある薬草を、力任せに引き抜いている同業者を、遠目に見た事があったのを思い出した。焦っていたのか?グレーター・グリズリーが二頭いる事が判明し、ギルド依頼で鉄ランク以上のパーティーが十以上、森中の警戒と探索に当たっていた。そのおかげで森内の採取依頼は受けられたのだが、その様な雰囲気でのんびり仕事をしていられないか。フェスにしたところで、あの巨体相手に対抗しうる術は持ち合わせていなかった。腰の後ろに装着した二本の短剣、それだけがほぼ唯一の(二本あるが)武器だったのだから。革製の鞘(中に仕込んだヘアピン状の金属板に挟み込み保持する)とベルト状の装具は具合が良く、安い、とは言えなくとも値段相当以上だった。ただ、未だ戦闘に使用した事はなかった。と、それはともかく。ギルドを出、中央区画を抜け西区画に到る方向へと視線を向けたとき。

「失礼、フェスティノー・エル・ウラルクさん、で良いのかな?」

爽やかな男性の声に、フェスは振り返った。その視線の先には、三人の男女の姿が。それらが何者かを認識すると、思わず笑顔が零れる。

「ああ、貴方達でしたか!」

その態度に、声を掛けたロレンツは少々面食らった。どこかで会っただろうか?『黄の猟犬団』も森の探索に参加していたが、だだ広い森のこと、擦れ違った事もなかった筈だ。あるいは別の場所で?背後の二人へと視線をやるが、二人とも首を捻るばかり。

「そちらから声を掛けて貰えて光栄です。なかなか機会がなくて」

困り顔で向き直ったロレンツへ、フェスは言いつつ近付いて行った。ロレンツは得心した。なるほど、パーティーの噂でも耳にしたのかと。しかし。

「あの巨大な魔獣に対する戦いぶり、感服しました。急所への迷う事ない突きの一撃で仕留めるとは」

その言葉に再び面食らう。そんな事を知っているのはパーティーメンバーか、精々ギルドの一部の職員だけだろう(もちろん死体に接する機会があって、傷を見れば判るだろうが。まずはそんな機会さえなかった筈なのだ)。そんな彼を後目に、フェスは今度は背後に視線を移し。

「魔術師の貴女が標的になるとは。盾役を信頼しての事とは思いますが、大した胆力です!やはり場数を踏んでいるからでしょうか?」

ベルチェとフェリッポは顔を見合わせた。この様な事は、近くで目撃していなければ語れようがない筈なのだ。

「ああ、ちょっと待ってくれ。君がなぜそんな事を知っているのか興味津々なんだが、とりあえずこちらの話を聞いてくれないかな、ギルドで」

言いつつ、ロレンツはギルドを右手で指さしたのだった。

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