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第一章 Ⅰ

 幼い頃から地図が好きだった。それは漫画本や児童書等と並んで、必要に応じて買い与えられた二百ページ余りの地図帳を、日なが一日眺めている事も珍しくはない程に。その魅力とは?まずはグラフィックとして。一枚の紙の中に整然と、特定地域の情報提供を最優先としながら、適度にカラフルなところがある。もちろんそれも情報提供の為の一工夫なのだが。また、そこに記された記号も(単なる地図記号にとどまらず、飲食チェーン等の看板を象った記号等も含めて)、不思議と見ていて飽きが来ないのだ。そして何より、紙の上の二次元図形からその実景を想像するのが楽しかった。東京タワー等の有名なものでもない限り、俯瞰で見た建物の図形は、高さや外観など、どの様な三次元的物体なのかは判らない。もちろん色も。ネットを探れば出て来るのかもしれないが、全てを網羅している訳ではないだろう。大抵はどこにでも見受けられる様な代物なのかもしれないが、まだ幼く知識の少ない、あるいは自由な発想を持て余す年頃なら、まるで魔王城の様なものを空想する事すら可能だった。中学入学の頃から、一人で地図帳片手に武者修行のため(こう言っては大袈裟か)、祝祭日には各地を旅して歩いたものだ。父や祖父の紹介で、多様な武術、流派の道場に赴き稽古に励んだのだ。広く他者と交わる事は、鍛錬の重要な一要素だったのだ。もはや断絶しかけている流派にとっては。


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