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「いやいやいやいや、待て待て待て待ておかしいだろ!あんなの私の知っているトノサマバッタじゃない!化学薬品とか放射能ででっかくなりました!ついでにいっぱい目をつけましたとかマジでやめてよ!どうなってんだここは!」
ハァ……ハァ……
落ち着いてきた。よし。とりあえず考えてみよう。
①本当にあれはバッタだったのか。
②本物だとしたらそんなものがいるここはどこなのか
③早急に安全なところを探そう!
まずは本当にあれがクソデカいバッタだったのかについてだ。何かの見間違いの可能性がある。
残念ながら私は運動神経がクソ悪い。
だから全力疾走でも長い距離走ることはできなかった。
後ろを見るとさっきの場所が見えるが……いるな。
動く様子はない、つまり幻覚ではないってことだ。
っていうかまだ食ってんのかよ。
それじゃあ次に考えることはここはどこかということだが、まず間違いなく日本では無いと思う。
いや、日本ではあるかもしれないが、地図から抹消された政府や企業の研究の島とかそんな感じ?
少なくとも一般人が立ち入れる場所ではないだろう。あんなのが見つかったらどう考えても大騒ぎでは済まない。
頭の片隅でこれは異世界転生なのでは?とめちゃくちゃワクワクしてる自分がいるのが怖い。
いや、転生だったらもっとファンタジーなのが出てきてよ!スライムとかゴブリンとかさぁ!
まあそんなの出てこられてもなんも持ってない私は太刀打ちできない訳ですが。
なんで思いながらバッタが食うのに飽きて私を追ってこないよう祈りつつ、そそくさとその場を後にした。
それじゃ、バッタも見えないほど遠くなってきたし一旦休憩でも入れましょうかね。
休憩するためには座れるものが欲しい。
森で座れるものと言ったら切り株か大きい石とかか?
とりあえず大きめの石を探して歩いてます。
この辺は地味にぬかるんでるから直接座る訳にも行かないし。
大きめの石を探している中で思考に余裕ができたのか、私はさっきのバッタについて考えていた。
だってバッタだよ?小学生以降全く触ったことなかったよ。あんな大きさの虫が出てきて泣かなかった私をほめてほしい。
それにしても虫とかって小学生の時は全然触れたのに今じゃ見るだけでビクゥ!てなるのなんなんだろうね?長年触ってないからか?もしまたあのバッタを見たら失神する自信があります。
そんなこんなで10分ほど歩いていると、いい感じの大きさの石発見。
大小2つの石がいい感じに近くにあるから、大きい方を背もたれとして使おう。
小さめの石に腰を下ろす。小さめって言っても直径1mくらいはあるけどね。
大きめの方の石…いや、岩は、3~4m位あるな。
デカすぎんだろ……。
見上げるほどに大きなその岩は先程の非現実的なものを見た私の心を少しだけ癒してくれた。
暫くはこの小さい方の石の上で休ませてもらおう。
思えば、ここで目が覚めてから1度も休息を取ってないことに気がついた。
体力はあんまりないはずなのにずっと歩きっぱなしだ。
そういやこの後のことは全く考えてなかった。
何も考えずに下流に向かって行こうとはしているが、それは果たして合っているのだろうか。
山なら山頂を目指せとはよく言うが、この辺はあまり起伏も少ないし山ではないのだろう。
このまま街も家も何も無く歩いていったら海に出るんじゃないだろうか?
リアルでサバイバルしなきゃいけなくなったら嫌だな。
テレビとか動画ではサバイバル系のやつをよく見てるが、あんなの私一人でできるわけないんだよなぁ。
運良く人か街が見つかるのを願うしかないのか。
一刻も早く帰りたい。そして記憶を取り戻したい……。
ん?なんかこの石揺れるな……いや、揺れてるというよりも……動いてない?
グラグラと揺れる石と私。それに共鳴するかのように隣のでかい岩も動き始めた。
は?は?は?
意味がわからない。今度はなんなんだ?
振り落とされまいと必死にしがみついてると、揺れが収まり、私の視線は川沿いを真っ直ぐ移動し始めた。
そう!実はなんとこれも虫だったのだ!よーく見てみると岩に節がついている。岩に擬態してる巨大ダンゴムシ的な?
もう意味わかんないんですけど。
なんでもありかよここは。
そういやダンゴムシって確か虫じゃなくてカニの仲間だって近所の兄ちゃんが言ってた気がする。
どうやら私のせいでこいつらを起こしてしまったらしい。
すまんなダンゴムシたちよ。大きさ的に親子なのか?
もういいや、考えるのもアホくせぇ。
私は大きい方に乗り換えて少し休むことにした。
…………ん?近所の兄ちゃんって誰だ?というか異世界転生とかっていう単語が脳内に出てきたのも驚きだ。
記憶が曖昧だ。ふとしたことで思い出すことが多いな。
記憶を取り戻すためにもっと色々なことを体験しないといけない。