入道雲
台詞だけなの作品となってます。
「なんすかね!夏っつーのは!」
『何だよ。暑苦しいなぁ。』
「そぉなんすよ。暑苦しいんすよ、なんもかんも。」
『暑苦しいのは、お前だよ。』
「馬鹿言っちゃいけませんよ!かき氷で言ったらレモンか抹茶、イメージも後味も爽やか申し分無し、辞書でクールガイって調べたらね、俺の似顔絵でてきますよ!」
『ふざけんなよ。岩に引っついたタコみたいな顔しやがって。人の部屋上がり込んできて、なんなんだよ!』
「いや、だから、暑苦しいって話してんすよ、なんで夏は暑いんすかね。」
『お前、暇なんだね。』
「忙しかったらこんな所に来ませんよ。」
『帰れ!』
「怒んないで下さいよぉ〜。俺の部屋エアコン効かないんすから」
『窓開けて寝ちまえよ!うるせえな!』
「網戸破れてるから虫入ってくるんですよ。」
『知らねえよ!』
「今教えたじゃないっすかぁ」
『あーもー本当に面倒臭いなお前は!』
「まぁまぁ。今に始まった事じゃないじゃないっすか。」
『夏になるとなんで色々湧いて出てくんのかね!』
「そーなんすよ、朝から蝉はうるさいし、若者はキャーキャーうるさいし、ボーっとしてると耳元でブーンと蚊がうるさいし、夜は暴走族やらお化けやら」
『なんか最後にとんでもねぇの出て来たな。』
「毎年の事なんで慣れましたけどね。」
『まぁ、どれもこれも夏しか居られねぇから必死なんだろ?』
「そーゆーもんすかね」
『そーだよ。入道雲なんかいかにも偉そうに浮かんでやがるだろ!あれ、1時間もすると消えてなくなっちまうんだ。』
「え?そーなんすか?あいつが偉そうにモクモクしてやがるから夏が暑苦しくてしょうがねぇのかと思いますけどね。」
『逆だよ、暑苦しいから雲が出来て、モクモク育って、上の方が冷えて、消えちまうのよ。』
「へー。確かにね!周りに焚きつけられて出て来て、よせばいいのに調子に乗って、挙げ句の果にはサヨウナラだ!」
『そ!そんで、次々に同じ様なのが湧いて出て来る訳よ。』
「しかしまぁ、よく色々と知ってますな。」
『週刊誌の記者だからな。』