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春休みII


春休みに入ったと言うのに私は早起きをした。集合場所へと向かうとみんな既にいた。つまり一番私が遅かったと言う事だ。


「で……なんでここ?」


小さな個室。暗い部屋の中に女の子が四人。周りは音楽で鳴り響き、左隣の部屋からは馬鹿でかい声と、右隣からはカッコいい歌声が聞こえて来る。


「やっぱ、遊ぶって言ったらここでしょ」

「わ、わたくし!!……カラオケルームなるものは初めてですわ……!!」

そう、私達はカラオケルームにいます。アリスは目をキラキラと輝かせ、部屋を見渡し、結衣はエコーやらなんやらの機材をいじっていた。

「早く歌お〜」


早くもテレビからはカッコいいイントロが画面から流れ始める。結衣はマイクを握りしめる

「私から行くねぇ」


結論から言うと結衣ちゃんめっちゃうまか。


強弱だとかも凄かったし、サビでの盛り上がりとかプロみたいな感じ。歌い終わった結衣はスッキリした顔たちであった。可愛いとかよりカッコいいと言うイメージだ。


「やっぱ、結衣ちゃん上手いわぁー」

「カッコイイ……」

「そんな褒めてもなんもでませんで〜?」

と照れたように笑う。そんな姿が実に可愛らしい


採点が終わり、今の所、最高得点の九十七点を叩き出し、次の曲が始まる。


曲の出だしは落ち着いたような感じでみんなが知っていそうな曲が始まる……あれ?

「次……これ、三波?」

「そうよ、もしかして分かる?」

「三波らしいわねぇ……」

「?」

三波はなんこちゃっ?と首を傾げる。


「恋愛ソングもいいわよね……!」

「!!……まって!これは、これは決して!そういう意味じゃないわよ!!?」

「分かったから、始まる……」

「うぅ……」


まぁ、そんなことがあっても、


「ふぅ……」


分かっていたが三波は綺麗な歌声を披露して現二位の90点を叩き出す。ただ、歌い方に甘酸っぱさやら、ドロドロしたような表現や感情が混ぜっているように感じた。

聞く人にとっちゃ結構きつい


表現力は満点だね。『表現力』は



次に映し出されたのはかわいいフリフリを着た四人組のアニメの女の子達だ。


「次のは……ぷ○きゅあ?誰これ?」

この中にこうゆう曲歌う人いたっけと思っていると、アリスがマイクを握り、立ち上がる


えっ、アリスさん?


「あぁ、私の番ですわね」

「「「えっ?」」」



「ふぅ……どうだったかしら!!?」

「いや、うんうまかったよ?」

「かわいいかったわよ」

「すごい……」(確信)


それはもう何というかすごかった。踊りの振り付けといい、普段の声とは違かった……あんだ?キャピキャピした声との差が凄かった。ただ、本人は楽しそうなのでそれでよし


肝心の採点だが八十九点とこれもなかなかの高得点だった。


三人が回して何曲かずつ歌い回し、三波とアリスのデュエットだとか、結衣ちゃんのネタ曲だとかを歌う。

緩やかな空気が流れる。


気がつけば残り二十分となる。そろそろ締めの歌を歌い始めるかと思うと三波はおもむろにマイクを私に渡す。


「さて……都子?歌ってもらおうかしら」

「そういえば都子だけずっと歌ってないね?」


「……トイレ」


トイレへ行こうとするとアリスが阻む。


「都子さん?いかせませんよ?」

「アリス、どいて。いけない」


曲は最初のイントロが始まり出す。


「み〜や〜こ〜?観念しなさい!」

「うぅ……」


「えっ、結衣さん?都子さんってどんな感じなんですか?」

「んー私は聞いた事ないけど、三波が言うには『めっちゃやばい』らしい」



結論から言うと、八十点でした。


「はぁ……」


私は歌が下手だ。歌詞に追いつこうとするので必死で強弱だとか拳とかそういうのは全然できない。


「悪かったて!だからそんな落ち込むなって!」

「意外だったなぁー。都子ってあんな可愛いらしい声で歌うのねぇ〜?」

「ゆ、結衣さん!!」


結衣、やめてくれ。それは私に効く。



時間は四時を回る。遅すぎる昼ご飯時だと考えると結構いい時間になっている。


どこでご飯食べようかと通りを歩いていると、三波は何かに気づいたように物陰に隠れる


「ん?あれ?み、みんな!!」


三波の指差す方向には馴染みのある顔の人物がそこに立っていた


「植木先生じゃん」

「なにしてるのかしら?」


担任の先生にして、女子からの人気の高い先生がいた。先生は時間を仕切に確認し、キョロキョロと辺りを見渡している。側から見たら、まるでデートの待ち合わせのようにも見える。



すると遠くから急いで走って来る女性が先生に向かって来る。そしてその胸部についた大きなメロンは植木先生の目を釘付けにしていた。


当然の如く、その人物に心当たりはあった。


「あ、あれは!古文の原野先生じゃん……!」

「密会……」

いや、逢引か?


上原先生は息を整え、何かを言っていた。植木先生も手を振って「今来た所です」とか言ってそうな雰囲気を醸し出す。


嘘つけ。だいぶ前からいたぞ。


何かいい雰囲気を醸し出すふたり。服、可愛いですねだって?イチャつくなよ。


「うわぉ、すごいね二人とも、ムッチャお洒落してきてるやん」

「先生同士の禁断の恋……い、いけませんわ!」

「ちょ、アリスちゃん!」


アリスは物陰から飛び出し一直線に二人の元へ走り出す。


「せ、先生!!」


やややヤバイですわ!!!この後の事は全く考えておりませんの!!


他のみんなは後方で見守っていた。出てきて下さいわ!?

「あら、アリスちゃん?奇遇ね?どうしたの?」


近くで見るととても綺麗ですわ……じゃなくて!


「そ、そういうのはいけませんわ!!」


そう言うと、二人は点を目にした。


すると上原先生はぷははっと笑い出し、植木先生は少し照れ臭そうに髪をかく。


な、何ですか?この反応は?

「?……あぁ〜そういう事ね?安心していいわよ。彼とは『まだ』そういう関係じゃないわよ?ねぇ?植木先生?」


『まだ』!?!?もしかしてこれからなのですわ!?

ボンっと茹で上がる。


「原野先生!誤解を招く事は言わないでください!」


「はーい」といい、可愛らしくベロを出す。その姿からは可愛らしさとともに大人の魅力のような物の波動を感じる


「はぁ……アリス今日見た事は忘れてくれ」

「わ、わかりましたわ」


む、無理ですわ!!


「そういえばなんでこんな所にお前がいるんだ?てっきり、護衛とかつけてるもんだと思っていたが」

「えっ、あ、それは……」


少しいい淀み、チラッと後ろを見ると二人は笑っており、都子さんは優しそうに微笑んでいた。都子さんそんな初めて見るような顔してないで助けてください!!

「……そういう事か。おい出てこい。問題児三人衆」


そう言うと三人は少し残念そうに物陰から出てきた。


「問題児っておかしくないですか〜?問題起こした事ないんですよ!」

「そうだー!」

「三波と一緒は心外……言うなら一強」


「なんだと!?」と三波さんが言うと、先生は「お前ら変わんねぇな」と呆れる。


「はぁ……まぁ、バレちまったもんしょうがねぇ……」

「「「「!!」」」」




「あんま、急いで食うな食うな。食べ物は逃げないから」


目の前の女子生徒達は美味しそうにラーメンを食べていた。


これを見れただけでも儲け物だ。


決して俺はこんなガキを性対象には見てないぞ。


「ふふっ、植木先生。随分と太っ腹ですね?」

彼女はコーヒーを飲みながらニコニコと笑う


「まぁ、お金の使い道があんまないので溜まっていく一方なんですよね。それぐらいなら将来の投資をした方が……って何言わせるんですか」


彼女はケラケラと笑う。


最後に都子が食べ終え、少しだらっとする。


「ふぅ……ご馳走さまです」

「はい、お粗末様」


財布は少し軽くなってしまったが、まぁいいかとかるく考える。


「お前ら、これからどうするんだ?」

世間話程度に聞く。


「んー、これからみんなで私の家に泊まります」

「そうか、最近、新型のウイルス流行ってるから気をつけろよ。集団感染なんて洒落になんねぇからな」

「「「「はーい」」」」


ありがとうございました。とアリスが一礼をし、四人組が店を出て行った。


アリス……もうちょっと友達は選んどけ。ただ、そこは休日に一緒に遊ぶ仲なのかっと結構意外だった。


「いっちゃいましたね」

「そうですね。最近の高校生は元気がいっぱいですね」

「ふふっ。何老けた事言ってるんですか?先生はまだまだ二十代じゃないですか」

「なんか、高校生時代が懐かしく感じる年頃なんですよね……」


それから彼女とは、俺の高校生時代の話やら上原先生の高校の時にストーカーに遭っただとか。あの子とあの子は仲がすごくいいだとか恋人だとかと話は盛り上がった


彼女たちがいたからこうやって彼女と楽しく話せたのかと思いあいつらに感謝する。


気付いたら時間は七時ぐらいになり、外は少し暗くなる


「もう、時間ですね。家まで送って行きますよ?」


「……植木先生?」

彼女は真剣な顔つきになる。

「……はい?」


「これから私の家とか行きます?」

「!?」


ブホォっと飲んでいたコーヒを吐き出す。


「ゴホっゴホっ!!」

「ふふっ、嘘ですよ」

「!か、からかわないでください!!も、もう俺は帰りますからね!」


彼女は少し困ったような顔になり、俺の耳元まで唇を近づけ

「ふふっ。また明日会いましょうね?」


そんな囁きをする


「っ!……」


明日も会える!、でもいいのか俺なんかで、理性が持つかとか考える。


「それでは!」

彼女は帰って行った。


「送ってあげますって言ったのに」


俺はそのまま彼女をおいかけ、車に乗せ、家まで送って行った。彼女は茹で蛸のようなっており、時折、「お姉さんさん風に決めていたのに」と顔を覆って恥ずかしがっていた。そんな姿も愛おしかった。


家に届けた時も「泊まって行ってもいいですよ……?」と言ってきたので「じゃぁ、明日迎えに行くので準備しといてくださいね?」と言うと、彼女は恥ずかしさと悔しさで耳を赤く染め、小さな声で了承してくれた。


あぁー、明日が楽しみだな。


俺は帰ってからも思い出してニヤニヤして明日の準備をする。えっ、泊まりに行くのかって?……今の所は未定だ

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