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名前は聞き出せましたか?

ゆっくり過ぎますよね。許して



 今日もいい朝ですね?皆さん。ただ、私の前にいる男が邪魔で す が、


「……」

「おはようございます」

「……」

「あの……怒ってます?」


男は前髪で隠れた私の顔を見ようと腰を屈み、私の機嫌を伺うように尋ねる。


「……何が?」

「いえ、昨日自分電車に乗り遅れたので……それで機嫌悪いのかと……」

「……自惚れんな……」

私は男に聞こえるか聞こえないかの声で罵倒する。

「……はい……」


おやっ、どうやら聞こえていたらしい。

男は縮こまって私の隣の席に座り、私はというと隣で音楽を聴きながら眠りにつく。


 私は電車に揺られながら、考える。私自信自分が不機嫌な理由がわからない。確かに昨日、この男がいなかった事が気に食わないのは確かだけど、なんかイライラする……こう腹からくるような……あっ、朝飯食べてなかった。あと


「……」

「……聞きたかった事があった」

「?はい」

「名前を知りたかった」

「えっ?」


私はなんて事はない風にいう。多分そんな事どうでもいいけど、話してないとイライラでどうにかなりそうだった。食欲八割、興味二割


「……えっ?」

男は間抜けな顔をする。トロトロに溶けた生卵

「……遅刻男じゃめんどくさい」

「えっ?そんな風に思っていたのですか?」

「……めんどくさいな」

「すいません。えっと名前ですよね、自分の名前は小野裕介と言います」


ふーん……小野裕介ねぇ、言いづらいな。


「ふーん……小野」

「裕介と呼んでください」

「あっそ……小野」

私はそれだけ聞けて腹のイライラも安らぎ満足したので、携帯を弄って、いつも通り、寝た。


「……んじゃ、小野」

苗字で脳が完全に定着してしまい、もう下の名前も思い出せない


「裕介と(ry」


私は男を無視して、学校に向かう。後ろでは男が何かを言いたそうにもじもじしている。言いたい事あるなら言えばいいのに


「あの!」

「……?」

「君の名前は!なんと呼べばいいのですか?」

男は勇気を振り絞ったかのように顔を真っ赤にさせず手を強く握りしめている。

名前を聞くことにそんなにくるしそうにする必要があるの?


「佐野咲 都子……佐野咲でいい」

「!わかりました!また帰りに都子さん!!」

都子さんって言い方なんかムズムズする。


私はニコニコする小野といるのが気まずくなり、無言で学校に向かった。


やっと小野が見えなくなったぐらいで


「……犬みたいな人だな」



「あっ、都子今日こそは教えてもらうわよ!!しかも今日はどうやら下の名前で呼んでいたらしいわね?!」


三波は少し興奮したように机を叩く、この前のようにバンバンではなく、手をグーにしてドンドンと、やめて下さい。ここはゲーセンではないです。それに気付いてないだろうけどクラスの視線が……

「……三波の男について教えてくれるのならいいよ。」

「か、かかか彼氏だなんて……!!こう君とはまだ……まだ付き合ってすらいないのに……!」


落ち着け。教室中の注目の的だぞ。

それに気付いたのか

「はっ!は、嵌めたわね……!!」


三波はニヤついた私の顔に気づいたようで机に顔を伏せる。人聞きの悪い、三波の男とはいったが彼氏とは一言も言っていない。


「自爆でしょ」


うーんヅカヅカいうね結衣ちゃんは、いつも通りか


結衣ちゃんはそれはもう満面の笑みだった。

「あんた達、毎日飽きないわね」


「「こいつのせい」だよ!」



やっとこさ辛い授業を切り抜け、夢のマイハウスへの帰宅へとありつけれるようになる。


「んじゃ、二人とも……」


と挨拶を告げ、先に席を立つ。荷物を纏めていると三波は少し不満そうに


「あんたも運動部入ればいいのになぁ……そうすれば一緒に帰れるのに!」

と口を尖らせていう

「……私にはできない……疲れるし……」


口を尖らせながら荷物を纏めて私は教室を出た。運動なんて嫌いだ


後ろでは「バイバーイ」という三波と少し顔を青くさせる結衣ちゃんがいた。



「あ、まって都子!」


「ん……どうしたの、結衣ちゃん?」


振り返ると結衣が髪を揺らしながら走ってきた。

「あんね?言いたい事があったの」


「落ち着いて、ゆっくりでいい」

立ち止まると、結衣は息を整えて深呼吸する。そ、そんなに大事なこと???


「三波がね、グイグイあなたの男関係について聞こうとしているけど、勘違いしないであげて?あの子はあれはあの子なりに都子を変な虫から守ろうとしてるらしい」

「なんだそんな事……いいよ、三波の事とは付き合いが長いし、人よりは知ってるつもり」


と驚くような顔をすると結衣は少し困ったように眉をよせる。

「んーまぁ……私よりも付き合い長いしね、君ら」


「あっ、ゅ、結衣ちゃんの事もちゃんと理解してるよ?……だから安心して」


私は結衣ちゃんもだよと焦ったように言うと、意外そうな顔をして微笑んだ。そんなに想っていることが意外なんですか?そうですね普段顔に出さないようにしてるもん


「ふふっ、ありがとね。私もよ」

「じゃぁね」


そして私は帰路についた。さっきまでの嫌な気持ちはどこかへ去り、1日の充実感で満ち溢れていた。


「あっ、来ました来ました」

この前と同じ交差点。今日もいないのだろうかと思っていたがまだそこには男……小野がそこにはいた。


「……やっぱり犬だ」

「ん?何か言いましたか?」

「いや……」


私はつい思った事を口走ってしまったがなんとかごまかせた。ふぅ……(犬って思われてるのか……俺)



「……それでですね。てっ、都子さん?聞いていましたか?」

昨日行った場所とは少し変わって、前回の駅前より少し離れた店。


「……寝てた」

「店の中で寝るとは随分器用ですね」

「……慣れてる」


少しの間が空き、少し悲しそうな顔で小野はこっちを見る。横顔しかないよ。

「……まぁ、それはいいとして、なんで今日もここに?」


「?」

「そんな『何当たり前の事聞いてんだよ』みたいな顔やめてください。ケーキ食べるんですよね?」


と言い、小野が財布取り出すのを手でまてと止めて自分のポッケから財布取り出す


「……申し訳ないから少しでいいよ」


流石に食べる分全額だと申し訳ないし、かと言って全部出すのもここに小野を連れてきた意味がないので少し出させる。それでいいというのだからいいでしょ


「お金少しばかしきついので助かります。ですが、そんなのでいいのですか?ほらっ……」


と小野は少し申し訳わけなさそうに視線を逸らす。おそらく、私の事を気にかけているんだろう


「……気にしない。食べる口実が欲しかったから。あと、安く食べれる……」


「ははっ。思ってたよりもポジティブなんですね」

そう笑う小野は、少し頬が赤かった。照れるな


私はやっときたイチゴのショートケーキに思いっきりナイフをブッ刺す。ブスリ。


「……それで話ってなんだっけ」

「あぁーそういえば話が逸れていましたね。」

うまそう……いただきます

「連絡先交換しませんか?」

「……」もぐもぐ

「……」

「……」ごくんっ

「……」

「……」ふきふき

「ご馳走さま……」


フォークを皿に置き、手を合わせてご馳走様のポーズ

「あの?散々引っ張って無視は酷くないですか?」


小野は携帯を出してとジェスチャーする。えっやだ。こわい……


「……すいません。私携帯持っていません……」

「急に敬語とかやめてくださいよ!?てか、朝からいじってたでしょ!」

「ちっ……細かい男は嫌われる……」

「えぇー?……」


正直言うと、あんま親しくない人と連絡先は交換したくないんだけど、


「まぁ、いいよ……」

「えっ?いいのですか?」

「なに…いらないならいいよ」


私は携帯をポッケにしまおうとすると小野は慌てて止める

「い、いえ光栄です!!」光栄って

何その反応?もしかして女友達いない感じ?


連絡先を交換して確認すると『裕介』の名前と二人組が仲良く肩を組んだプリクラ写真が映し出される。なんだ……陽キャか。


そして男の方には『都子』と言う名前とヨシッとポーズをとる猫……


「現場猫……ですか?」

「かわいいでしょ……」

小野は苦笑い。なんだ言いたいことがあるなら言えよ。


『よろしく』

「よろしくお願いします!』

とついでにこのアプリに搭載されているスタンプをポチっ


「ふふっ、可愛いスタンプですね……お似合いですよ?」

「……馬鹿にしてる?」

「まさか」

なんで、びっくり顔の女の人のスタンプを送ってお似合いって言ったんだ?


その後は時に何かという何かは起きず、そのまま電車で帰り、小野と分かれて、家に着いいた。勉強だるいなぁと思いながら机に向かう。



変わって小野裕介視点。


時計はもう21:00を指す。裕介はやることを済ませると携帯を見ながらニヤニヤと笑いながら鼻息を荒くしていた。

画面には『お母さん』『妹』に続き『都子』の二文字が続いていた。


「と、とうとう連絡先まで交換してしまった……!!なんか送った方がいいのかな?……いや、でも!夜中だした失礼になるかもしんないし……あー!もうどうすれば!!」


ピコンッ!


しばらく頭を悩ませ続けると携帯に一通のメールが届いていた。


『おやすみ』

「……」

おそらく、都子にとってはなんてことはない。そう例えるなら、友達にメールを送る感覚で送ったメールであったが、祐介には身に余る幸福感に満たされ……


あっ……


「お兄ちゃーん?風呂あいた……ってお兄ちゃん!?!?大丈夫!?目さませぇ!!」


と風呂上がりの妹にビンタされるまで気を失っていた。


あのあとおやすみとメールした。


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