後日談
あれから俺達は、幻想華を求め、北に向かって旅を続けている。
今、俺達がいるのは、アウサス公国。この大陸の中心都市のひとつだ。中心都市だけあって人が多く、にぎわっていた。
昨日の晩に、アウサスに着いたのだが、空いている宿を探すのに一苦労だった。
そんなこともあり、昨日は寝不足だった。
もう外が明るいのが分かりつつも、なかなかベッドから起き上がれない。
うつろな意識で、ベッドに転がっている。
気が付くと、シーリスが俺のベッドにもぐりこみ、俺の首に牙を突き立てていた。
身体の感覚を失っているので、気がつくのに時間がかかる。
厄介な体質だ。
俺はシーリスを見るが、彼女は寝ぼけているようだ。
吸血鬼であるシーリスは、朝に弱い。以前にもこんなことがあった。
まぁ、血を吸うだけなら、良いだろうとそのままにしておいた。
……今、思えば、これが間違いだった。
シーリスは、俺の首に牙を突き立てるだけではなく、身体を必要以上に接触させ、気が付くと俺に抱き着いていた。
「……クレス。」
シーリスは寝ぼけながら俺の名前を口にする。
さすがにこの状況はまずいと感じ。シーリスを振りほどこうとするが、そもそも吸血鬼である彼女の力は並大抵の力ではない。
何とか起き上がるが、シーリスの甘い香りにくらくらしかける。
そんな状況で、部屋の扉が開く。
「クレスさん、朝ご飯できましたよ。」
シーリスに抱きしめられた状況で紫苑と目が合う。
俺はどうしてよいか分からず、状況を説明しようと口を開きかける。
紫苑は何も言わず、俺に近づくとシーリスが抱き着いている逆側から俺に抱き着き、俺をベッドに押し倒す。
「……紫苑?」
紫苑は控えめに笑いながら、口を開く。
「これで、シーリスさんとお相子です。」
俺は二人に抱きしめられながら、しばらく起き上がることができなかった。
「……やれやれ、先が思いやられる。」
鬼火のあきれた声が聞こえた。
お読み頂きありがとうございます。
面白ければ、ご感想頂けると嬉しいです。
次の更新でこの話は、一旦終わりとなります。
更新は明日の7時前後にさせていただきます。
宜しくお願い致します。




