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第四幕 決意 Ⅴ

 紫苑という名の女は、獣のような奇声を上げながら、私に向かって駆けてくる。

 

 一瞬、クレスに目をやる。起き上がろうとしながら起き上がれないようだ。骨を数本折っているので、しばらくは動けないだろう。


 私はしばらくの間、紫苑に集中することにする。

 あれが本物の呪いの般若面だとすると厄介だ。


 私は右手を掲げ、斥力を発生させる。

 一瞬、紫苑の動きが止まるが、そのままの勢いで私に切りかかる。


「本物のようね。ちょっと厄介ね。」


 私は右手を下げる。


「原始的だけれど、これしかないかな。」


 虚空から黄金の細剣を取り出す。

 私は薙刀を細剣で受け止めると、紫苑をはじき返す。


 呪いの般若面。

 人間や妖魔を一時的に神の存在に近づける式具。

 私がお兄様の力を抑えるために作った究極の式具の一つ。


 ……まさかそれが私に向かってくるとは。


 はじき飛ばされた紫苑は、獣のような機敏な動きで、私に何度も切りかかってくる。


 はじき飛ばすたびに反応が早くなり、薙刀の一撃が重くなる。


 私が自ら生み出したものだが、敵に回るとこうも厄介だとは。

 呪いの般若面の能力は二つ。

 身体能力の急激な上昇。

 神人である私やお兄様の神力を一時的に無効化すること。


 だが、十分。

 その程度だろう。

 半分、人間の紫苑が正気でいられる時間は。


 段々紫苑の薙刀を受け止めきれなくなり、押され始める。


 私の力が全盛期であれば、例え呪いの般若面が相手でも互角以上の戦いができるはずなのだが、今の力では抑えきれない。

 

「本当に、厄介ね!!」


 私は紫苑を薙ぎ払おうとするが、紫苑の薙刀に止められてしまう。

 舌打ちをした瞬間。

 紫苑に殴られ、地面に叩き伏せられる。


 紫苑の奇声のような叫び声があたりに響く。


 次の瞬間、紫苑の薙刀が私の胸を貫通する。


 心臓を一つつぶされる。

 久しぶりに味わう血の味と激痛。

 こんな出来損ないの女に。


 怒りに支配されそうになるが、冷静になる。

 この状況はかなりまずい。


 私は吐血しながら、ありったけの力で細剣を振るうが紫苑の薙刀に止められる。


 本当に厄介だ。


「アリエス、七つの心臓全て潰させてもらうぜ。」


 鬼火の叫び声が薙刀から聞こえる。


 私の心臓の位置を知っている鬼火が一緒なのが余計に厄介だ。


 紫苑の薙刀が私の次の心臓を狙う。


 こんなところで、こんな出来損ないの女に。

 私は心の底から湧き上がる怒りを抑えることができない。


 次の瞬間、急に紫苑が苦しみだす。


 私は、ハッとすると細剣で紫苑を吹き飛ばす。


 吹き飛ばされた紫苑は、苦しみ悶える。


 時間だ。


 危なかった。

 紫苑が純粋な妖魔だったら、私はやられていたかもしれない。


 もうこの女は、駄目だろう。

 苦しみ悶え続けやがて死んでいく。


 クレスが叫ぶように紫苑の名前を呼んでいるのが聞こえる。


 もう、この女は何をしても助からないのに。


 私は、吐血しながら起き上がる。

 思ったよりダメージがある。


 放っておいても紫苑は死ぬが、呪いの般若面をこのままにしておくことはできない。

 紫苑を殺して確実に破壊しなければ。


 私は吐血しながら立ち上がる。


   

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