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第四幕 決意 Ⅲ

 洞窟の出口までたどり着く。

 後はこのまま紫苑達との合流地点まで逃げ切れれば俺達の勝ちだ。

 

 紫苑達は大丈夫だろうか?


 とりあえず急ごう。


「あら、あら、多分こんな事だと思っていたけど、やっぱりね。」

 聞き覚えのある高く幼い声。


 俺は恐怖を押し殺しながら振り返る。


 俺の視界の先には、子供っぽい満面の笑みを浮かべる女の子がいた。


 アリエス。


 俺の背筋に冷たいものが走る。

 目覚めるのが、鬼火から聞いていた話より遥かに早い。


「これは、私の弱点を知っている鬼火さんの入れ知恵だよね?私が三百年もの長い間、弱点を放っておくと思うのかしら。本当に馬鹿な人達。」


 俺はアリエスに視線を送ったまま、静かに後ずさりをする。


「わざと眠りにつく振りをしたら、まんまと引っかかってくれたね♪」


 アリエスは楽しそうに笑い出す。


 俺は満身創痍のシーリスを地面に下ろすと、神威にてを添える。


「あはっ。お兄さん、私と戦うつもり?やめといた方が良いと思うけど♪貴方にはあまり手荒な真似はしたくないの。一緒に来てくれるだけで良いのだけれど。」

「俺が一緒に行けば、シーリスと紫苑達には手を出さないか?」

「……駄目、クレス、……そいつと一緒に、行ったら、貴方、本当に殺される、わ。」


 シーリスが息を切らしながら、俺とアリエスの話に割って入る。


「本当に煩いな〜。私は今、お兄さんと大事な話をしているの。邪魔をしないでくれるかな?」


 アリエスは急に不機嫌になる。


「話の続きね。お兄さんの提案は、やっぱり却下♪そこのうるさい女とこっちに向かっている目障りな女には死んでもらうわ。だって邪魔だもの。それに最後は貴方と私以外は皆死ぬのだから、いつ死んでも変わらないわ。」


 皆、死ぬ。こいつは一体何を考えているんだ?

 ……想像以上にヤバい存在なのかもしれない。


 俺は静かに神威から手を離す。


「お兄さん、分かってくれたの?」


 アリエスの声が一段と明るくなる。


「ああ、分かったよ。こうするしかない事がね。」


 俺は、右手を空に向けて掲げる。


 シーリスの悲鳴に近い叫ぶような声が聞こえる。


 俺の行動の意味が分かったのだろう。


 俺は、シーリスの方を向いて笑う。

 大丈夫だ。自分にも言い聞かせる。


「犠牲華よ。時は満ちた。己の本来の役目を果たし給え。」



 俺の身体を眩しい光が覆う。



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