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第二幕 異なる存在 Ⅵ

更新設定を間違えて入力してましたので、投稿が遅くなりました。ゴメンナサイ。

 目を覚ます。

 横のベッドでキルトを頭まで被ったシーリスの姿を見つけ、思わず驚く。

 前にシーリスに聞いた事があるが、吸血鬼である彼女は本来棺桶で寝るものらしい。


 しかし、旅に棺桶なんて物を持ち運べるはずもなく、その代わりに頭までキルトを被って寝ているのかもしれない。初めて一緒の部屋で寝たので、シーリスのこの姿を見たのは初めてなのだが。


「おい、起きてくれ。」


 あまりゆっくりもしていられないので、シーリスを起こそうと、声をかける。


「ん……、うん?~~~~っ。」


 何度も声をかけるが、まるで起きる気配がない。

 もしかして、そうとう寝起きが悪いのかもしれない。

 更に何度か声をかけてようやくシーリスがもぞもぞしながら起き上がる。


「うん、・・ううん。」


 両目を擦りながら、ぼーとした表情で俺を見つめるシーリス。

 シーリスは立ち上がると、虚ろな表情で何の躊躇もなく俺に抱きつく。寝る際に着替えたのであろうワンピース越しに彼女の人間より低い体温を感じて、思わずドキッとしてしまう。

 

 次の瞬間、シーリスは俺の首に牙を突き立てる。

 あまりにも突然の出来事で、俺はシーリスにされるがままの状態になる。


「……っつ。」


 全身に走る昂揚感、シーリスが寝ぼけているせいか普段より多くの血液を吸われている気がする。

 視界がぼやけてくる。

 まずい、まずい、まずい、このまま吸われ続けると命に関わる。

 俺はシーリスの頭を掴むと、激しく揺らす。


「起きろ、起きてくれ。」


 シーリスは、瞬きを何度か繰り返した後、目を見開く。


「きゃああああああああああ。」


 突然のシーリスの悲鳴で驚いている俺の身体に鈍い痛みが走る。

 気が付くと、俺の身体は部屋の壁に激突していた。

 どうやら目を覚ましたシーリスに叩き飛ばされたようだ。


「まったく朝から何しているのよ。」


 シーリスは両手を組んで俺の前に仁王立ちしている。


「……起こしただけなのに、血は吸われるわ、叩き飛ばされるわ。」


 俺はふらふらしながら立ち上がる。まったく、身体中は痛いし、ろくな事がない。


「……そうだったの。まぁ、その、……悪かったわね。」


 シーリスは、急にしおらしくなると俯きながらようやく聞き取れる程の小声で呟く。


「君は、いつもそんなに寝起きが悪いのか?」


 俺は、先ほどまで自分の寝ていたベッドに腰掛ける。


「……だって仕方ないじゃない。私は本来夜行性なの。夜に寝て朝起きる生活には中々馴染めないのよ。」


 シーリスも俺と同じように彼女が寝ていたベッドに腰掛けたので、俺とシーリスは向き合うように座っている体勢になる。


「……そうか。少し考えれば分かる事だった。吸血鬼である君は、苦手な太陽の光が存在する時間に活動するわけがないよな。俺の都合で旅に連れ出させてしまったせいで無理をさせていたんだな。」


 考えれば分かる事だった。シーリスは黙っていたけれど、もしかしたら相当無理をしているのかもしれない。


「別に貴方のためじゃないわ。人間の世界を旅するには日中に活動する方が何かと便利なだけよ。」


 シーリスは俺からわずかに視線を外す。心なしか彼女の透明感のある顔が少しだけ赤いような気がする。


「ありがとう。それでも、本当に辛い時は言って欲しい。」


 俺がそう言うと、シーリスは俯く。


「……だから、貴方のためじゃないって言っているのに。」


 そんなシーリスの姿を見て苦笑しながらベッドに倒れ込む。


「クレス、大丈夫。」


 シーリスはそんな俺を見るなり、立ち上がり俺の顔を覗き込む。


「あまり、大丈夫じゃないかな。ふらふらするよ。ちょっとだけ出発前に休ませてくれ。」

「まぁ、大丈夫そうね、それにしても全く情けない。仕方ないから朝食は私が作ってあげるわ。」


 シーリスは笑顔でそう言った。


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