序幕 創世記
改めまして蒼 葉月です。
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はるかはるか昔のおはなしです。
この世界アマフィスは、アマフィスという神さまが創造したといわれています。
アマフィスは、世界に二つの命を創造されました。
一つの命には、希望、勇気をお与えになり、アマフィスはそれを人間と名付けました。
一つの命には、力、知識をお与えになり、アマフィスはそれを妖魔と名付けました。
二つの命は、二つで一つ。
アマフィスは、それぞれを慈しみ、それぞれを同じように愛したといわれています。
最初のうちは、それで上手くいきました。世界は平和だったのです。
しかし、そのうちに人間と妖魔は、アマフィスの愛を独占したくなり互いに争い始めました。
争いはとても無残なものでした。人間と妖魔は、次々に消えていきました。
アマフィスは、多いに悲しみました。
そして考えた末に、自らを二つに引き裂いて、リエルという名の人間とアリエスという名の妖魔を誕生させました。
アマフィスは、この自分の化身である二人をつかい、人間と妖魔を共存させる事をお考えになったのです。
この二人は世界に調和を与えた時、再び一つの存在となり、新しい神さまになる事を約束し、混沌の世界に旅立ちました。
リエルは、言葉の力とその優しさで妖魔達に認められ、やがて妖魔を統べる存在となりました。
アリエスは、その類稀ない知識と力を使い人間達を纏め上げ、やがて人間を統べる存在となりました。
リエルは人間と妖魔が共に仲良く暮らしていく事を望みました。
やがて、妖魔達の中にも次第にリエルの考えに賛同するもの達が現れ始めました。
アマフィスがお考えになったとおりに物事は進んでいるように見えました。
しかしアリエスは、アマフィスやリエルと異なった考え方を持つようになってしまっていたのです。
人間達を支配下においたアリエスは、リエルと共に新しき神さまになる事を何故か拒みました。
その理由は、誰にも分かりません。
アリエスは、新しき神さまになるというリエルとの約束を反故にする為、人間達と共にリエルと妖魔達に戦いを挑みました。
激しい戦いの末、アリエスと人間達はリエルを殺してしまいました。
統べる王を失った妖魔達はまとまりを失い、更に人間達も自分達の行った行為の愚かさに気付いた者と人間こそが世界を統べる存在であると考える者とに分かれ、血で血を洗う壮絶な戦いが起こりました。
その激しい戦いの中、戦いを終わらせるべく立ちあがった十ニ人の人間と妖魔によってアリエスも討たれてしまいました。
こうして世界は神さまを失ったのです。
争いの元凶であるアリエスの消失で、皮肉にも世界は偽りの平和を手に入れました。
それから、長い長い月日が経ちました。
人間達は、神さまや妖魔達の存在をすっかり忘れてしまい、神さまがお創りになった箱庭の世界で平和に暮らしていました。
一方、妖魔達は何故か人間達との争いを止め、闇にまぎれて静かに暮らしていました。
……これは、そんな神さまがいない世界のおはなし。