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仄かに私を隠したのは誰?  作者: 狛烏賊
わたしのハジマリ
10/11

9. トゥインズデート

お久しぶりです。実は書き溜めて置いたものですが、これを含めて二話しかストックがありませんでした。そのため、これと次の話を投稿後『仄かに私を隠したのは誰』は無期限休載とさせていただきます。

その代わり今現在制作中の新作を近日中、ストックが十分に溜まり次第投稿する予定です。今度はひとまず1章分を書き終えてから投稿するので失踪はないと思います。よろしくお願いします

「行ってきます!」

「行ってきまーす!」


 そう言って涼香と俺は外に出て、自転車に乗りイ○ンに向けて出発した。



  ※



「ほーちゃん、着いたよ!」


「すずありがと!」


 というわけで現在時刻は昼の2時過ぎ、俺たちはイ○ンにいた。自転車を止めると涼香は腕をとって「こっちだよ!」と嬉しそうに案内しようとする。普段、萩斗に見せたことのある顔ではなかった。なんでだろうって思ったけど、このあとの買い物を観てみるとただ単に、年上のお姉ちゃんと一緒に買い物ができることが嬉しいだけだってことがわかる。


 …まぁ並んでみたらあまり身長は変わらないからどちらかというとお友だちとか双子に見えちゃうわけなんだけど。実際、涼香の方が地味に身長が高いということが並んでみてわかった。まぁ昨日すずに身長について指摘されたときから何となく察してたけど。でもなんか情けない。まぁすずはそんな気を知らずこんなこと気にしてないみたいだけど。


 さて、そんなわけでふたりでこの大きいのか小さいのかわからないくらいの大きさのショッピングセンターをまわるのだが、とりあえずまずは小物であるくしなどを買うにした。


 とは言うもののヘアブラシや手鏡なんて使ったことがないし、あるわけないのでわかりません。よって涼香にさりげなくアドバイスをもらい、涼香の言った通りのアイテムを買うことに。でも、ヘアゴムとヘアピンだけに関しては同じ店で自分で選んだよ?それだけはなんか好みがあったというか、なんというか。どれがいいってわかったから。以外とかわいいのもあって選ぶのが楽しかった。


 そんな時間だけど、実はこのとき少しだけだけど胸が苦しくなったときがあった。不自然な痛み。これはヘアブラシとか手鏡を選んでいたとき。ヘアブラシは商品を見て何となく、この二つのどっちかかな?って思ったのがあって、涼香に


「両方とも折り畳めて持ち出しやすそうだけど、どっちの方がいいかな?」って聞いてみたんだ。


 せめて二つくらい出しておいた方が自然かな?って思ってそう聞いたら、


「あ、うん。確かに学校だったらそれでいいと思うけど、ほーちゃん家用のもしょぶんしてきたんじゃなかったっけ。なら、普通にさっきみてたの買うべきだと思うんだけど…」って。慌てて、


「あ、そうだった。ありがと、すずちゃん!」って返したんだけど。


 そのときなんか胸に電気が走るような痛みが出た。それは3秒ないくらいだったんだけど、すごく痛くてうずくまっちゃって、すずにも「大丈夫?」と心配そうに顔を覗かせた。


 すぐに治ったので俺は「大丈夫」と答えたんだけど、なんでこんな痛みが走ったのかわからなかった。しかし、そのあとヘアゴムや手鏡を買う際に少し店内を歩いたりしたが全く一時的なものだと思い、買い物を続けた。でもこのような痛みを俺はこの日にあと二回感じることになるのだった。



   ※



 結局このあとも3時半を過ぎる頃までにヘアゴムやピンだけでなく、ハンカチも数枚購入したのだが、そのころ涼香が疲れたからドーナツ食べて一回休憩してから筆記用具を買いにいきたいという旨の発言をした。実際俺も少し足が疲れていたのでフードコートでドーナツを食べることに。


 普段ならこの程度なら全然疲れないし、買い物を普段よりじっくりしているにしてもこんな時間のにな、と思いその理由は涼香がいるからかなって一瞬考えたが、すぐに違うことに気づいた。


 なにもない、ただ単に俺の足が短いし、小さくなっているからだ。いや身長にしてはまだ足は長いのだろうが、そもそも身長が低くなっていた。こんなところからも現在の状況が実感できて少し情けなかった。


 そしてさらに驚いたこと。それは ドーナツを買うとき。ここまでにいくら使ったか確認したら俺はなんと約3500円も使ってることがわかった。そのわりには、あの悪魔のお金のお陰でドーナツはおろか、筆記用具を少し余分なくらいまで買っても問題ないくらいお金が残っていたこともまた衝撃である。


 そんな俺自身のお財布の膨らみに呆気にとられてる様子を見て、ドーナツをどうしても食べたいらしい涼香が心配そうに口を開く。


「もしかして、ドーナツ買うお金、ないの?」


「いや、大丈夫だよ?どちらかというと思った以上にお金が残っていてビックリしてたの」


「そうなの?なら早く食べにいこ!すず疲れたから早く食べたいなぁ」


「そう言ってただ単にドーナツが食べたいだけでしょ?」


「お。ほーちゃんよくわかってるじゃん。なら早く食べようよー!」


「しょうがないなぁ。好きなの二つ選んでいいよ!」


「やったー!!」


 そう言って涼香はフードコートのドーナツ屋さんに走っていった。そんないつも通りの涼香を俺は歩いて追いかける。なんてったって疲れてるから。わりと足が短いのって歩くの時間かかるし、大変だなってことよく理解できました。


 そのため俺が追い付いたとき、涼香はドーナツのショーケースの前にいて、俺がおぼんとトングを取ると、嬉しそうにこえをあげた。


「すずね、このボンデリングといちごがついてるやつがいいー!」


「わかった、取っていいよ!あっ、てもボンデは二つ取って!私も食べるから!」


「オッケーだよ!あとなんかあるー?」


「うーんと、じゃあゴールデンチョコもとっておいて!」


「わかった!」


 そんな感じでドーナツを選び、お会計。ようやく使いなれてきたショルダーバッグから財布を取り出してお金を払ったその瞬間。ショルダーバッグが地味に引かれたのに気がした。気になって振り返ったら、涼香がバッグを少し引っ張っていたんだけどそのとき、先程の潰されるかのような一瞬の痛みが走った。


「…っん!!」


 やっぱり一瞬だったけど、その痛さにしゃがみこみそうになって、胸を押さえなければ痛みに耐えられそうにもなかった。


「ほーちゃん!どうしたの、大丈夫?」


「え、あ、うん。大丈夫だよ。うん。」


 その一瞬をやり過ごした頃にドーナツ屋のお姉さんが戻ってきて、買ったものを別のおぼんに乗せ変えられたものを持ってきてくれた。


「あ、ありがとうございます。」

と言い受け取って確保しといた席に涼香の手を引っ張って戻ることにする。


 …今の痛み、、さっきと同じ。どういうことなのだろうか。別に体調も悪くなければすごく一瞬だったし、やはり気のせいなのか、、。でもあの痛みの大きさ。これはこの不思議な事件に関係のあるのだろうか。よくわからない。これは…


「ほーちゃん、ほーちゃん!」


 そのとき、涼香に呼ばれているのに気付いた。


「あ、どうしたの?」

と、慌てて反応した。


「いや、どうしたのってここだよ、さっきとった席。」


 言われて周りを見てみると、確かにさっきとった席で、目印においた涼香のマフラーも置いてある。


「あ、ほんとだ、ごめんね…」


「いや、いいんだけど。さっきからほーちゃん変だけど大丈夫?胸も痛そうにしてたし、風邪とか引いたの?」


「大丈夫だよ。元気だからとりあえずさっさとドーナツ食べて、筆箱買いにいこ!」


 自分でも体調というかたまに心臓の辺りがいたくなることを自覚していたからか、別に悪いことではないはずなのにうまく誤魔化そうとしているのが自分でもわかった。そして、ボンデを1つとってゆっくり食べ始める。


 すると、涼香もそれに倣ってドーナツを食べ始めた。そしてお互いが食べ始めて少し静かだったのだが、この様子を見て一つ気になったことができた。


 別に大したことでもないし、わざわざ話を戻す必要がないことも承知なのだが、この無言の空間も嫌だったのでひとまず問いかけてみようと口を開く。


「そういえばさっきドーナツ買うときにさ、すず私のカバン引っ張っていたけどなんかあったの?」

 すると、食べ途中だった涼香はモグモグとがんばって飲み込んで


「あ、あれ?あれね、ほーちゃんのカバンにつけているストラップかわいいなっておもって引っ張っちゃったんだ!」

と、可愛らしい笑顔でいい、今度は一口、口にドーナツを詰めた。しかし、あくまでも会話は続けるらしい。

「特にね、そのカモノハシのやつ、かわいいよね!」


「あ、これ?うん。そうでしょ!お気に入りだよ!」


 そう言いながらショルダーバッグからカモノハシのストラップを取り外して見せた。流石に食事中だったので涼香に渡すわけにはいかなかったが、涼香は目を輝かせてそれ()を繰り返し眺めていた。そのとき俺はその目線はカモノハシに対してのみ向けられていたのだと思った。しかし、実は涼香がこのとき見ていたのはこのカモノハシだけでなかったのだった。


 それはともかく。


 実は今、俺のバッグにはストラップキーホルダーが3つくっついていた。その一つがこのカモノハシ。萩斗の時、いつか動物園で買って保管していたもの。何で買ったのかは覚えてないけど。とりあえずかわいくて。


 そして二つ目。これは某寿司屋のガチャで当てた某キャラクターグッズのキーホルダー。なぜか部屋の引き出しに入っていたので持ってきたやつ。


 そして、3つ目。小六の修学旅行の時に買った三猿のキーホルダー。実は涼香の分と一緒にお揃いで買ってきたやつだったりする。これまた部屋の引き出しに入っていたので。まぁ実をいうと、他にもキーホルダー的なのはいくつかあったのだが、中でもお気に入り感あったのがこの3つだった、という理由も存在する。


 それはともかく。


 こんな風にこのキーホルダーの話以外にも色々な話をしていたのだが、いつのまにかドーナツを食べ終えていたし、筆箱など筆記用具を買わなくてはいけないことを思い出す。


 そこで涼香にその旨を話し、席を立とうとしたところ、涼香は所謂普通の文房具屋ではなく、かわいい系のものが置いてあるところにいくことを提案してきた。正直別に行ってもよかったんだけど、一応すでにそれっぽいお店は覗いていたし、なによりもそういう店の文房具の利便性が信用できなかったので


「え、でも筆箱とか消しゴムとかは普通の文房具屋さんで買った方がいいんじゃないの?」

 

 と、尋ねてみる。しかし、涼香は意地でも連れていきたいのか。それとも本当にそう思ったのか。その店の素晴らしさをアピールしてきた。


「大丈夫だよ!確かにモノとかの消ゴムは普通のとこで買った方がいいかもだけど。シャーペンとかはクルトガとかデルガとかのもたくさんあるし、ほーちゃん筆箱もないんでしょ?それなら、結構いい感じのやつすずたくさん知っているから。ね?」


「うーん、、」


 なるほどねぇ。すずの言い分も間違ってないかも知れないけどいいのだろうか。でも、こう見えて涼香、面倒くさがりやなところがある。そして、この子結構先を見通すことができるのだ。俺に筆記用具がなくてかつ、明日学校あることは涼香も把握している。つまり、すずはここで無駄な時間をつかうとあとが面倒くさいことを知っているのだ。それらのことを基に考えるに…


「ダメ、かな?」


 上目遣いにこちらを見つめる。我が妹ながら結構キツイ。ここまでされると、どうしようもなくなっちゃうじゃないか。でも、考えてみろ。あれ?これって…


「ほーちゃん、ね?」


「しょーがないなぁ!」 


 そして遂にこの攻防戦は兄、、じゃなくて姉が妹に敗北を認めて終決した。というか、ここまできてしかも涼香の性格を考えるに遥かにこの選択の方が合理的だと気付いたからなんだが。ただし、これでなにも買えないのは困るので最後に


「でもどこに何があるかしっかり教えるんだよ!」

と、釘を刺す。それに対して当たり前だと言わんばかりに胸を張って、且つ嬉しそうに、


「わかった~!そうと決まったらこっちだよ!」

と、声を弾ませるとほぼ同時に再び俺の腕を強く引っ張り始めた。これだけならともかく余程嬉しかったのか走り出そうとするので、


「ちょっ、速すぎ!いくから!!歩こ!!腕ちぎれるから!!」

と、言うと「あ、ごめん」と、つぶやいて今度は俺に合わせてた速度で歩きはじめてくれた。


 そのまま店に向けてゆっくり歩く。そして、ようやく息が整ってきて涼香の方をみるとこちらを見つめていた。どうしたのかな、と目を覗きこむと、あはは、と笑い出した。


 いきなりの笑い声に少しおっかなビックリしてキョトンとしていると涼香はまるでバカにするように


「さっきから思っていたんだけど、ほーちゃん歩幅小さいよ ね。」

と、からかう。…確かに事実だから否定できないんだけど。でも一応こちらが年上である。その威厳を守るため、とは言わないけど反論しようと考える。しかし。


「うるさいなぁ!身長低いんだからしょうがないだろ。」


 結局この程度の言葉しかでず、反論とはとても言えない。そんな様子を見て楽しいのかさらに笑いを大きくしながら


「それでも流石にすずよりは大きいでしょ?」

と、もはや煽りと捉えられる発言。少なくともほぼ同じ身長なのは明らかなのに。でも、ここで無駄に反抗するほど子供ではありません。


「わかんない。多分あんま変わんないと思うけど、、」


「そうかなぁ…すずの方が身長高いと思うんだけどなぁ。」


「って、わかってんならいじらないでよ!!気にしてるんだからさ!」


「あははは!!」


と、再び笑い出した。この身長ネタに味をしめないといいけど。


とまぁ、こんな風にどちらが年下なのかわからないような会話を続けることはや五分。あるとき不意にさっきまで合っていた涼香の目線が前に向いていた。それを見て俺も前をみる。はっと気付いた。なぜならばそこには俺にも見覚えがある店があったからだ。


 その様子をみたすずはそこまでの反応をすると予想してなかったのか少し困惑の表情を見せつつも 


「ほーら、着いたよ!でね、こっちに確か文房具があったはずなんだけど、、」


と嬉しそうに俺の手をとって中へ入っていく。俺もそれに合わせて足を動かすがその行動は裏腹に俺は記憶の片隅にあるはずのこの店の記憶を探し始める。が、案外早くこの店に関する記憶は思い出した。


 確かこの店はすすがよく買い物の合間に来ていた店だ。それに俺が昨年すずのために誕生日プレゼントを買いに来たのもここだったはず。あのときは今移動している側と逆の方にあったヘアピンを買ってあげたのだ。それに確かにここには文房具もあったはずだ。


 そう思い辺りを見渡すと既にすずの足は止まっており、ご覧あれ、とばかりにこちらを覗いていた。


「ほーら!しっかりあるでしょ?クルトガも他にもいろいろ!私的にはこのネズミーとか水玉の柄のやつがオススメだよ!」


「あ、うん。てか、こんなに種類あるんだね。ビックリした!」


 と、もう一度正面にある文房具コーナーを見渡していた。そこには涼香の言うとおりさまざまなシャーペンやふせんも置いてあり、クラスの女子が持っているのを見たことがあるようなハサミやマイネームペンも発見した。また、シャーペンもしっかりとしたメーカーのものなので大丈夫だろう。


 そんな様子の俺を見て少し不信そうにみていた涼香だが、やがて納得したような顔をして買い物かごを取ってきてくれた。


「ほーちゃんなに買うのー?」


「そーだな。とりあえずお金は残ってるし、使えそうなものはいろいろ買っておこうとおもうけど…」


 とりあえず一番必要なのは…


「まずはシャーペン?」


「うん、そうなるかな。」


 と、いうわけでシャーペンを選びます。どれにすべきかな。一応萩斗のときもネズミーのドナルドのやつなら使ってたけど、こういう系のはほとんど買ったことないからな…。


 とりあえず萩斗の時も使っていた柄のを見つけてかごに入れる。あと近くにあったドクターグリップの比較的シンプルなやつ。こういう店にシンプルなものがあることに驚きを覚えて、数秒間思考停止にまで至ったのはもはや別の話である。その流れでもう一本クルトガのシンプルなやつも買い物かごに入れた。


 これで3本。でも、あと1つ欲しいな。どんなのがいいだろ… 

 そう考えていたけどやがて名案が浮かんだ。というか欲しいもののイメージができた。実際にあるかは知らないけどとりあえず涼香に聞いてみようと、すずを呼ぼうとする。しかし。


「あれ?すずー?」


 涼香が消えた。


「どこ行った…?」


 キョロキョロと辺りを見渡してもいないので涼香を探そうと買い物かごを持ったまま店を回ろうと、一歩を出したとき。意外にも涼香はあっさりと見つかった。すずはこちらを見て小走りで駆け寄る。見つかったのはいいが、どこ行ってたんだか。


「すずー、どこいたの?」


 何気なく訪ねたつもりだったんだけど、涼香はなぜだか少々緊張するようにしながら「あれ?、ほーちゃんすずのこと探してたのー?」と、質問には答えずに逆に質問を返してきた。


 それに対して俺はどうしたかっていうと、まずすずかがどこ行ってたかなんて興味なかったし、そもそも涼香を呼んだ理由のことをはっと思い出して涼香に欲しかったシャーペンのイメージを伝える。で、そのイメージなんだけど。


「あ、うん。あの、ネズミーのリス兄弟のシャーペンとかって置いてないかな?」

と、これまたネズミーになります。これも服とほぼ同じ理由でチョイスしたんだけど、要はかわいいのが欲しかったんですね。てか、もともとこういうかわいいのが好きだったからなんだけど。

 涼香はあぁ~という感嘆を挟んで場所を指してくれた。


「これなんかどう?カラーリング的にもほーちゃんっぽいし言いと思うんだけど…」


 今の俺っぽいカラーリングってなんだろう。と、気になるけどあえてつっこみません。


「うん、これいいね!ありがとう。じゃあとりあえずこれとさっき選んだ諸々の文具買ってくるね。」


 とだけ言って買い物かごを見せる。中にはシャーペンはもちろん使い勝手の良さそうな蛍光ペンなどもはいっている。「他になんか買うものあったかな…?」と呟く。すると涼香からの指摘。


「筆箱なくない?」と。


 ごもっともです、が。


「あ、完全に忘れてた…」


 本当に完全に忘れていました。


「ほーちゃんこのために来たんじゃなかったのー?」


「そうだけど、だけど普段筆記用具は買うにしても筆箱なんて買わないでしょ?だから忘れてたの、、」


「ほーちゃんって結構ドジ要素あるんだね…」

そう言って涼香は苦笑し始めた。


 む、、。そんなこと言われても忘れてたものは忘れてたし仕方ないじゃないか。確かに忘れている方がおかしいかもだけどさ。まぁでもなんとか気付けたんだし、せっかくだからここで買っていこう。そう思って、足を動かそうとすると既に涼香が手をとって「こっちだよ」と先程の要領で筆箱エリアまで引っ張ってくれる。さっきからこんな感じ。なんか情けなくて。


「すずちゃん。」


「ほーちゃんなに?」


 自分でもほとんど無意識のまま声を掛けていた。そして、


「ありがと。」


 特に意味はないけど。


「どういたしまして。」


 なぜか感謝の旨を伝えていた。




 この言葉のことについて。今思ってみれば私はこのときからずっと、涼香にたくさん感謝しなければいけないほど助けてもらうようになることを知っていたのかもな、って。今ならそう感じるのです。

次の話は10/5(水)の7時に投稿予定です。

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