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19・ まずは、お目当ての品を手に入れに。

 海沿いの繁華街、再びです。

 海老の鬼殻焼の屋台に着きました。

『こんにちは』

『おう、この間のお嬢さんか、お嬢ちゃんも一緒か』

 親爺さん、いかつい顔は変えようもありませんが、私達を見て無愛想は引っ込めてくれました。勇者は眼中に入っていません。さすがです。

『あの、今日はちょっと急いでいるものでして、海老は頂けないのですが、お願いがあって来たのですが』

『おう、何だい、言ってみな』

『えぇ、藻塩を譲って頂きたいと思いまして』

『気に入ってもらえたかい、まあ特注品だからな、その辺で売ってるもんとは訳が違うからな、そこに置いてあるの好きなだけ持って行きな』

 親爺さんは、そう言って、屋台の前にある木箱を指差します。

『何だ、藻塩っていうのはこれか、ずいぶん薄汚い塩だな』

 割って入って来た勇者が言いました。失礼な奴です。これだから、このヨゴレとは一緒にいたく無いのに、勝手についてくるのです。確かに、灰色がかった見た目の悪い塩ですが、カドのとれたまろやかな塩味の中から、甘みと、海藻の旨味を感じられる、素晴らしい塩です。

『食えるのか、こんなもん?』

 勇者にそう言われた親爺さんが、何と! 微笑みました。素晴らしい予感がします。

『あぁ、この塩な』

 親爺さんは屋台から身を乗り出して、塩を掴むと勇者に向かって投げつけました。一瞬ひるんだ勇者の顔面に椅子を叩きつけます。モロです。海老を焼く技術に勝るとも劣らない早業です。 

 親爺さんカッケー。

 もめ事になると面倒なので、とどめに蹴りを入れておきました。マリはノビている勇者の上で、飛び跳ねて喜んでいます。なによりです。

 私は何事も無かったように尋ねます。

『いかほどでしょうか』

 親爺さんも何事も無かったように答えます。

『あぁ、いいよ、お嬢ちゃんが使うんだろ? だったら金なんていいから』

 親爺さん太っ腹です。

 でも、そんな安請け合いすると、マリは遠慮なく根こそぎ持って行きますよ。大丈夫ですか。マリには伝わっていませんから良いですけど。

 マリを呼びよせ尋ねると、殊勝な事に、両手で小さな器を作ります。親爺さんは笑って、蓮の葉に藻塩を包んで渡してくれました。マリは大喜びで親爺さんに飛びついて頬ずりしています。

 ちょっと羨ましいです。

 あとは魚です。マリは、心当たりはあると自信をもって言うのですが、念の為、この辺りの事情には詳しいでしょうから、親爺さんにも聞きました。

『あぁ、旨い魚を食いたいんなら、あそこの路地の奥行ってみな、お嬢ちゃんならすぐ気づくよ』

『ありがとうございます』

『いいってことよ』

 ノビている勇者は放っておいて、マリの手を引いて、親爺さんに教わった所に向かおうとすると、マリが振り返り、


『ジジイ、ボチボチデンナ、オーキニ』


 マリに言葉を教えているスットコドッコイは、まだ見つかりません。

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