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げんし  作者: ぽし
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時を超えて

挿絵(By みてみん)

 穏やかな霧の中、黒い鎧で固められた背の高い人物たちが瞑想をしている。

そのうちの一人が静かに話をしていた。淀む霧はその人物の口元で言葉を受けてゆらゆらと溶けていく。

 次第に暖かな日差しが差し込み、砂の壁面は黄金のような輝きとなり白い霧を細く切り裂いて行く。


 その人物は話をやめ、下を向いて語りかけた。

「途絶えました。」


ミオは謝意を伝えると、なるべく音を立てないように神殿を後にした。

長く続いていく階段を降りて駅に向かう。


駅ではキリクが迎えに来ていた。


「...仕方ありません。またしばらくは待つことになりそうです。」



高性能なリアクターの始動音とともに機体が空中で静止し、銀色のボディが太陽をギラギラと写す。垂直回転を始めると、その光は機首から後部に煌めきながら小さくなる。水色の火の粉が散った次の瞬間、彼らは跡形もなく姿を消した。


船内の大きな窓には四方に星々が広がる。

そこには頬杖をついて外を眺めるミオの姿がうっすらと反射していた。



これまで途切れることなく続いてきた生命の螺旋。

我々は幾度となく繰り返してきた。だがそれも終わりが近づいている。

近年、地球上の全生命に共通するとされるある遺伝子が発見された。研究が進むにつれ、その遺伝子に関する奇妙な説が飛び交った。

この遺伝子は長い年月をかけて熟成されて現時点あるいは近い将来において完成し、地球上のすべての生命は自滅していくというのだ。そしてまた、その遺伝子はあまりに巧妙であるため、人為的ものであると提言する者も多い。

細胞膜の形成不能、組織の過剰な自己破壊など、生命の本来の状態を逆行するような症例が多く現れ始めた。


まるで何者かが最初から仕組んでいたかのように、我々はいとも簡単に朽ち果てようとしている。

残り数百年も持たないとの見解が有力で、現在の技術による解明も不可能であり、その人智を超えた力に抗うすべのない我々は途方に暮れていた。

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