パパの口癖
僕、白鳥四音は大激怒した・・・
白鳥四音「あの嘘つき探偵め・・・」
事務所の時計は10時10分を指し示す。
どうやら普段から入り口に鍵は閉めておらず仕事部屋ともう一部屋、中の物が鍵付きになっている。
白鳥四音「就業は10時じゃないのかよ、まったく!」
やる事も無いので部屋の片づけをしよう、そうしよう。
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・・
・・・
20分後・・・
未だ探偵は来ず・・・
白鳥四音「しっかしこの事務所古いな・・・あちこちガタが来てるよ。」
玄関周り・窓拭き・掃除・洗濯と一通りはOK、後は・・・
白鳥四音「デスク周りが酷いなこりゃ。」
書類がバラバラだ、日付、いや月、いやいや年単位でズレてる!
白鳥四音「なんで昨日の前が3年前の報告書なんだよ・・・」
ファイルケースを取り出し年代順に閉じて行く。
年数前からバラバラだが1年分の書類が少ない為か速く整理ができた。
一つ、また一つとファイルケースを開くと1枚の写真が落ちる。
白鳥四音「これって、パパの写真!」
裏を見ると10年前の日付が記されている。
確か10年前って・・・
岡田悠一「そいつは俺がお前ぐらいの時に撮った写真だ。」
白鳥四音「っ!!来てたんですか?」
持っていた写真が手から落ち岡田悠一の足元に届く。
岡田悠一「いや、元からいたさ、隣の部屋に。」
白鳥四音「全然気づかなかった・・・」
得意げに笑うと写真について語り出す。
岡田悠一「昨日も言ったがこれは俺が高校1年の時に撮った写真でな、授業に来てくれたのが白鳥先生だったんだよ。」
白鳥四音「パパって、悠一が私の時ぐらいの人にどんな話をしてくれたの?」
今の僕を見たらどんな事言ってくれるのかな・・・
岡田悠一「最初に会った時は「君達には可能性しかない!」なーんてわけわからん事言ってたぜ。」
デスクチェアに座りながら思い出す岡田悠一。
それに並ぶように正面に座る白鳥四音。
白鳥四音「パパ、僕にも似たような事言ってたよ、お前には可能性がある、まだまだこれからだ!パパの口癖だったな・・・」
岡田悠一「10年前ってと四音がまだ5・6歳ぐらいか?」
白鳥四音「うん、難しい事は分からなかったけど、その言葉だけは良く聞かされてて覚えちゃった・・・」
岡田悠一「そうか、後は将来なりたい物はなんだーっとか言ってたな。」
白鳥四音「へー、悠一は昔から探偵になりたかったの?」
岡田悠一「ん?いや、別にそうでもないぜ、ただ白鳥先生に会って何回か先生の研究室に顔出すうちに探偵になりたいなーなんて。」
白鳥四音「プッ!変な話!」
岡田悠一「だろ!この話すると絶対みんな笑うんだよ、確かに研究室いってなんで探偵なんだー、なんてツッコミもくるし俺自身よく覚えてなくてなー。」
そんな昔話をしていると・・・
水無月優花「おはようございます!悠一さん!今日の髪型はサイドテールにしてみました!」
岡田悠一「おはよーさん、だから俺はポニテ以外認めんと言ってるだろーが!」
この事務所のギャグ担当が入店した。
白鳥四音「おはよう優花。」
水無月優花「おはよー四音ちゃん!今日もいい天気ですよ!」
まだ4月前なのに昨日から28度越えの猛暑にいい天気で片付けるコイツの頭が羨ましいぜ。
時計を見ると11時を回ろうとしていると、
岡田悠一「後は龍騎だけか・・・っておいおい!時計1時間ぐらいズレてんじゃねーか!」
水無月優花「は!この前電池入れ替えただけで合わせてなかったです!」
まー、実害は無いしいいかー、四音が「えぇー!」なんて顔してるぐらいだし。
時計の針が11時、つまり10時になった所に小林龍騎が事務所に来た。
これからパパの会社への調査が始まる前準備をするわけだ。