少女の本音
岡田悠一「んべ!あのじらやどりのぜんぜいが・・・」
小林龍騎「タイムタイム、口の中でもの食べながら喋るな。」
警察署の控え室にて簡単な聴取をした後そのまま晩飯になった。
白鳥四音「ははは・・・警察のご飯って本当にカツ丼なんですね・・・」
お腹すいているからなんでもいいけどね。
岡田悠一「んぐ。で、白夜鳥先生が俺を訪ねろってか?」
白鳥四音「あ、はい、事務所に伺ったら誰も居なくて小林警部の名刺から警察署に行ったんですが・・・」
小林龍騎「ウチの奴らに門前払いされたと・・・すまないな。」
はい、と呟く。
小林警部達と入った時に追い出された人に謝られたっけ。
白鳥四音「で、本題なんですが、ぼ、私の兄についてなんですが。」
水無月優花「お兄さんですか?白鳥家って確か・・・」
岡田悠一「おい!話に入ってくんな!」
気にせずに優花は謎の手帳をめくる。
水無月優花「あった!娘さんが1人だけって私の情報があります!」
小林龍騎「一体何処の情報だ・・・が、確かに白鳥家は君1人の筈だ、戸籍上はね。」
岡田悠一「苗字が違うのはそのせいか?」
やっぱりある程度は知ってるか。
白鳥四音「ご存知だったんですね。」
岡田悠一「白鳥先生に少し聞いたよ、白鳥と白夜鳥の件、白鳥先生が婿養子に入ったのが白夜鳥家だろ?」
白鳥四音「はい、色々・・・まぁ事業失敗などで離婚して、ぼ、私は父の方に、兄は母の方に行きました・・・その数ヶ月後に兄と母が事故で死んだと聞きました。」
小林龍騎「確か火事だったな、犯人も見つかってないし遺体も出ないときた。」
岡田悠一「10年前だよな、その頃から白鳥先生少しおかしかったんだよな・・・」
白鳥四音「はい、その後父は・・・」
父は自ら命を絶った。
岡田悠一「すまねぇ、暗い流れ作っちまって!」
小林龍騎「俺もこんな話をするべきではなかった、すまない。」
白鳥四音「いえ!大丈夫です、それで最近になって兄がテレビに出てたんです。」
衝撃的な話だ。
確かにそんな話信じないだろう。
水無月優花「あー!さっきでてましたね?確か父の会社を壊すとかなんとか?」
岡田悠一「何!あのビルを壊すだ!」
小林龍騎「そうだ、あのビルは近いうちに取り壊しの予定だ。」
何年も放置状態で買い手がつかないとなればいずれかの血縁者が継承するであろう。
その中で浮かび上がったのが白夜鳥創と言う事だ。
岡田悠一「ダメだダメだ!あのビルは白鳥先生の宝物なんだぞ!」
水無月優花「へ?そうなんですか?」
岡田悠一「そうさ!俺がまだ学生の頃よくサボり、いや白鳥先生に色々教わっていた場所なんだよ!」
小林龍騎「そういえば昔良くしてもらった恩師って。」
岡田悠一「あぁ、白鳥先生だ、高校時代一回だけ特別講師で来てくれてな、その後も縁があってちょくちょく会ったんだ、今の仕事してんのも俺に合ってるって話だ。」
白鳥四音「父がそんな事を・・・人に道を示すのが好きな人でしたし。」
思い出に浸かる2人。
水無月優花「えっ!じゃあ悠一君ていま27歳ぐらいなんだ!」
岡田悠一「あ?だったらなんだよ?」
水無月優花「意外と子供っぽいよね?」
岡田悠一「お前な!」
白鳥四音「ぼ、私が5歳の時父から受け取った物があります。」
話を切るように机にカギの様な物を置く。
白鳥四音「父が死ぬ前にもらった物です・・・これの真実を知りたくて、それで・・・」
岡田悠一「カギか?」
小林龍騎「カギだな。」
水無月優花「カギですな!」
記念に一枚と!
カシャ!
白鳥四音「依頼の話です、まずは先に話た兄の真相です。」
小林龍騎「本物か否か?」
はい、と頷く。
岡田悠一「もう一つはカギの事だな。」
少し間を置き答えに困る仕草をする。
岡田悠一「なんだ、違うのか?」
白鳥四音「いえ、違う訳ではない、ただ、父の・・・」
あー、っと次は岡田悠一が話を切る。
岡田悠一「もう無理に作らなくていいんだぞ、その話し方とかさ。」
小林龍騎「先ほどから一人称は僕っと言いたそうだか?」
水無月優花「いいんじゃない?パパって呼んでも!」
白鳥四音「・・・はい、すみませんでし・・・」
岡田悠一「だーから、そんかに畏るなってんだよ、俺は元から白鳥先生に恩があるんだ、無償だってやるぜ。」
僕の目を隠す様にタオルをかける。
これからもこんな風に隠れて過ごさなきゃ生きていけないのかな?
そんな思いとは裏腹な答えであった。
白鳥四音「その・・・助けて・・・」
岡田悠一「あーん?聞こえねぇなー!」
水無月優花「うわぁー女の子泣かせて最低・・・」
小林龍騎「ま、アレがアイツのやり方だからな。」
意志が弱い者やあやふやな者など、そう言った中途半端な依頼は受けない。
彼女は今、自分を偽っている。
悪気は無いにしろそれは今までの自分を出せずにいる証拠だ。
岡田悠一「拒絶されるのが怖いか?あの白夜鳥家の人間でしかも今騒がれている幽霊会社の娘であることが嫌なのか?」
白鳥四音「・・・!」
タオルで顔を隠しながら精一杯首を振る。
岡田悠一「まずは信頼し合おうや、まぁ直ぐにとは言わないけどよ。」
水無月優花「悠一さんって完全にドSですな。」
小林龍騎「それは否定しない。」
岡田悠一「おい!お前らな!」
フフ・・・
少女は笑う。
かつて自分の父、いやパパの様な無邪気な笑み。
白鳥四音「いつぶりだろうな、こんなに笑うの。」
タオルを取る。
1人の何でも屋の目を見て少女は語る。
白鳥四音「僕の名前は白鳥四音、年齢は15歳中学3年、好きな食べ物は美味しい物!」
それいるか?
白鳥四音「好きな人は、好きな人はパパです・・・お願いします、パパの会社を死ぬまでにパパが何をしていたのか、何故死んだのか知りたい!僕を残して死んじゃったのかを!僕は・・・知りたい、僕に、僕に力を貸してください・・・!」
さっきとは全く違う目になった。
少なくとも同情を引く様な感じはない。
岡田悠一「へ、マシな面構えになったな、うし!そうと決まればまずは作戦会議だ!」
水無月優花「おー!なんかっぽいですよ!」
小林龍騎「そうだな、とりあえずの目標は決まったんだ、後は実行するのみ。」
みんな、ありがとう。
そんな目をしている。
岡田悠一「お礼は依頼を成功してからだ、とりあえず明日また事務所に来い、まだ学生は春休みだろ?」
白鳥四音「うん、明日は絶対居るんだよね?」
あぁ!っと答え警察署で別れるのであった。