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「アウィンがいいって言うなら、これでいいんじゃない? とても似合ってるよ、アウィン可愛い」


「あ、ありがとう……えっと、パトリシアさん」


「さんはいらない。パトリシアでも他の呼び方でもいいけど、堅苦しいのはいいよ」


「私も、呼び捨てでいいわ。これからは一緒に暮らしていくんだし、改まった口調もいらない」


 ブリジットもパトリシアも、好きな愛称で呼んで、とニコッと笑ってくれた。

 私は気恥ずかしくて、下を向いた。

 前の人生で、こんな風に笑いかけてくれた同年代の女の子はいなかったから。

 ーーーー嬉しい。

 誰かに笑いかけてもらえることが、こんなにも嬉しいものだったなんて、知らなかった。


「じゃあ、次は髪ね」


 ブリジットは私を化粧台の前に座らせ、ヘアブラシで髪を梳かしてくれた。


「結ってもいいし、綺麗な色をしているからそのままでもいいわね。どんな風にしたい?」


 髪を梳かしてくれるブリジットの手つきは、どこまでも優しい。

 鏡の前で少し悩み、そのままでいいと伝えた。

 丁寧に梳かしてくれたお陰で、明るい空色の髪はさらさら艶々だ。


「このままもいいけれど、少し寂しいから……これなんてどうかしら?」


 ブリジットは髪と同じ空色の髪飾りをつけてくれた。

 大きめの花飾りに付いた硝子玉に、同色の飾り(ふさ)が提げられたデザインの髪飾りだ。


「!……可愛い」


「やっと笑った」


「え?」


「会った時から、全然笑わないんだもの」


 せっかく美人なのに、と笑うブリジット。


「さぁ、終わったわ」


「ありがとう……リ、リジー」


 その美しい黄玉(トパーズ)の瞳を瞬かせたのは一瞬で、ブリジットはすぐ笑い返してくれた。


「むぅ」


「え?」


「何むくれてるのよ。トリシャ」


「リジーだけずるい。私もアウィンに名前呼んでもらいたい」


「えっと……」


 パトリシア。パトリシア…………。


「……パルト。パルトって、呼んでもいい?」


「うん!」


 パトリシアは一瞬で顔を明るくして、嬉しそうにはにかんだ。

 私も嬉しくなって……いつの間にか、三人で笑っていた。

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