54
「それで?次は何で驚かすんだ?」
「ただのボタン鍋だよ?ヌシの」
「bossの料理がただの料理なわけないでしょ」
相変わらず料理はすごいわね。
現実でも美味しかったから、何かしらボーナスみたいのがあるのかしら?
「まぁ、味噌とかないから少し味が薄いかもしれないけど」
「それでいいのか?」
「どうにかそれなりの味を作ってみたから、いろんなので。でもしゃぶしゃぶみたいになるかな?」
「なんか心配になってきたわね……」
特に色々なものを入れたのところで。
ミーは変なものを良く入れる、状態異常植物とか。
それでも美味しいのでなにも言えないのが悔しい。
「じゃあはい!多分ボタン鍋!」
鑑定
ヌシの鍋(ランクC)
ヌシの肉や出汁をふんだんに使った鍋。味は薄口。3人以上で食べるのが望ましい。(効果:速度上昇[弱])
「美味しいわね、相変わらず」
「そうだな、肉は美味いな」
「出汁も味噌じゃないですけど美味しいでしゅ」
「でしょ!?結構美味しいと思うよ!」
ミーははしゃいでいるわね。
こんな時のミーは子供っぽい、まぁ、嫌いじゃないけど。
「ところでこの野菜、薬草に見えるけど気のせいかしら?」
「薬草だよ?少し苦いけど体に良さそうでしょ」
「あとこのキノコ見たことないけど、何かしら?」
「それはね、えっと………キノコだよ、うん。食べても問題無いから(今は)」
「すごい不安なんだけど!?」
「なんで野菜がめちゃくちゃカラフルなんだよ、凄い食いづらいわ!」
別に食べても体に異常は無い、むしろ痛覚軽減[極弱]や攻撃上昇[弱]など効果が有る野菜ばかりだ。
だけど本人が内緒にするから、凄い気になる。
「大丈夫、自家製無農薬だよ。体に影響はもう無いから」
「「今もうって言った!?」」
結局何なのかはかたくなに教えてくれなかった。
-----------------------
「今日は本当にありがとうございました!何時かお返ししますから!」
「そうね、とりあえず料金くらいは払わせて貰いましょうか」
「2人ともそんな気にしないでよ。お店に来てくれるだけでいいからね?」
今日は早めにニューパラを終えると言っていたので、食べてすぐに別れることになった。
このまま3人は狩りに行くらしい。
「あ!そうだ、良かったらこれ貰ってくれない?」
「何ですかこれ?アクセサリー?」
「作ってみたのはいいけど、使ったことは無いから売れるか試してもらっていいかな?」
指輪やブレスレット、イヤリングなど、色々チラシなどを見ながら作ってみたのだ。
効果も付いているので、使い心地を試してもらおう。
「おいミー、これ火属性攻撃とか書いてる気がするんだが」
「そうだよ?」
「アクセサリーで属性付与なんて見たことないんだが!?」
あれ?以外と誰もしたことなかったんだ。
火属性の魔石とサラマンダーモドキの牙を混ぜて、作った火の形の腕輪だ。
「こっちは麻痺耐性[1]が付いてましゅ。便利でしゅね」
「でしょう?結構お気に入りだよ、デザインも含めて」
ヨミさんが取ったのは麻痺草から取った回復ポーションを混ぜた、黄色い玉のイヤリングだ。ポーションの黄色が綺麗な模様になっていてお気に入りだ。
「じゃっくは?いいの見つかった?」
「本当にいいの?こんな凄いもの貰って」
「いいよ、ただのプレゼントだし」
「……料金払わせてもらうわよ、こんなのさすがに貰ったら私が嫌だわ」
「分かったよ、とりあえず好きなの選んで」
じゃっくは相変わらず真面目だなぁ。
個人にプレゼントくらいなら問題ないと思うけどね。
「これ……綺麗ね」
「それ?何も効果無いよ?」
じゃっくが取ったのはこの中で唯一、何も効果が無い指輪だった。
ただ、形は二つのツルのようなリングが絡みつき、花が咲いているという結構凝った指輪だ。
「ミーって意外とロマンチックなもの作るのね」
「いや、それは結婚指輪の写真見ながら作ったんだよ」
「けっこ!?」
たしか珍しい指輪特集って記事があって、それをみて作ったのだ。
花言葉もそれっぽいので、幸せな結婚生活の夫婦だったらしい。
「き、綺麗だからこれにするわ、綺麗だからよ!?」
「そんなに気に入ってくれたなら嬉しいよ」
「っ!とりあえず8万ゴールド払っておくわね!」
「え、高いと思うけど」
「そんなことないぞ、むしろ安いくらいだ。でも俺も8万払っておく」
「わ、私そんなに持ってないでしゅ……諦めます」
「いやプレゼントだから!この2人は払えるから払うだけだよ!」
ヨミさんがシュンとしてアクセサリーを返そうとしてくるので、握らせて返す。
2人ともそこは貰っておいてほしかったよ。
-----------------------
「今日は間に合ったわね御使い」
「だからパーティーの日くらいはちゃんとするよ」
「そうね、いつもあなたに任せているから今日くらいは私が働くわよ」
「お仕事だからしょうがないでしょ、手伝うよ」
「せっかく休めるのに、そんな所が御使いのいいところね」
母さんと話しながら料理をする。
ゲームも楽しいけど、家族で過ごす時間はそれとは別の居心地のよさがある。
この日、家族でのんびりと過ごした。
久々に両親と話すのはとても楽しかった。




