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(ゼロノス)の市場はかなり賑わっていた。

ここでは売るか買うかのどちらかが出来る。中にはプレイヤーの屋台に肉を持って行って料理を作ってもらう、なんてことも(了承されたら)出来るらしい。


まあ、今日は初日で満腹度は実施されてないので、兎の肉を売りに行く事にした。


「嬢ちゃんも兎の肉かい。悪いが、今日は何故か皆兎の肉を持って来るんで、供給過多で買取り額が1個5ゴールドなんだ。それでも売るかい?」


僕が狩った兎は15羽。肉は18個で、合計90ゴールドか。

外套とポーションで60ゴールドだったからちょっと得してる。


「迷惑じゃなければお願いします」

「いやいや、損はしねぇし、家庭に肉料理が多くなるだけだよ。嬢ちゃんが心配する事じゃねぇよ!」


嬢ちゃんは勘弁して欲しいな。でももうちょい稼いでおきたいな。


「コレって何処で買い取って貰えるかわかりますか?」


兎耳と兎のシッポをおじさん(NPC)に見せてみる。


「兎耳はまっすぐ行った薬屋に売りな。多分アッチも値下がりしてるけど肉よりは儲かるぜ。あとはっ!?嬢ちゃんコレをどこで手に入れた!」


最後に小声で囁ささやかれた。うわ、耳弱いからヤメテ!


「兎狩ったら出てきましたよ?シッポがどうしたんですか?」

「おい!母ちゃん!ちょっと店頼むわ!」

「アンタ!こんな忙しい時に何処いくんだい!」


うわ、ご主人も奥さんもデカイな。190cmはあるんじゃないか。なんかコソコソ話してるけど。


「しょうがないね!さっさと帰ってくるんだよ!」

「分かってるよ!よし行こうか嬢ちゃん」


何故か肉屋のおじさんに連れて行かれる。薬屋さんで耳5個を75ゴールドで売ったあとは、何故かやたらデカイ建物に連れて行かれた。


「あれれ?ギッシュさん?いらっしゃい、珍しいねウチに来るなんて」

「悪いがウール、カーイと会わせてくれ」

「その可愛いお嬢様の為?・・・分かったから威圧しないで!アンタのはヤバイよ!」


足をガクガクさせながら金髪の男の子は案内します。もしかして威圧ってスキル?でもなんでお肉屋さんが持ってるの?もしかして強い?


「カーイさん、ギッシュさんが急用との事でお通ししました」

「よし入れろ」


中にはウール君と同じ金髪のメガネが似合うオジサンがいました。


「なんだギッシュ、そんな可愛い男の子を連れて来て、誘拐か?」

「違うわアホ、って男の子?誰が?」

「お前が肩掴んでる子だよ、ガチガチの筋肉オヤジに捕まって怯えてるじゃないか。離してやれ」

「嬢ちゃん男だったのか!?」

「凄いですね。初見で分かった人は少ないですよ」

「これでも大手の商人なので、人を見るのは得意なんですよ」

「俺を無視すんな!」


びっくりし過ぎておじさん、いやギッシュさんを放っておいてしまった。


「で、要件はなんだ?さっさと言えよ忙しいんだ」

「くそ、覚えてろ。嬢ちゃんがシッポを売りたいんだとよ」

「!なるほど、私に持って来てくれて嬉しいですね、持つべきものは友と貸しですか」


なんだろう?話が見えない。


「すいません、私はこの町の大手商人にして商人ギルドのギルドマスターのカーイ・イーマです。お名前を伺っても?」

「は、はい。ミーと言います。あの、お願いします?」


ギルドマスター?そんな偉い人に兎のシッポなんて売るの?いいの、こんなんで?


「早速現物を見せてもらってよろしいですか?」

「はい、コレですけど・・・」


兎、正確にはララビットのシッポを丁寧に見ていくカーイさん。


「なるほど、確かに本物ですね。ミーさん、これを400万ゴールドで売ってくれませんか?」

「ええええええええ!?よ、400万ゴールド!?」


なんでたかが草原にいくらでもいるララビットのシッポで400万ゴールド!?


「実はララビットのシッポはドロップが少なく、0.07%と言われているんですよ。それで幸運のお守りとして重宝されているんですが、王子様がララビットのシッポを欲しがっていましてね。1000万ゴールドで買うと言ってるんですよ。市場価格の二倍の価格でして、さらに王族の依頼ですから付加価値が高いんですよ。他に買える商人は別の町にしか居ませんし是非お売りして欲しいのですが」

「えっ、えっと」


どうしよう?そんなに貰っていいのかな。


「おい、ギルド直接依頼品は儲ける金額の5割を渡さなきゃいけねーだろ。まさか、嬢ちゃんが知らないからってぼる気か!ああん!?」


えっ!じゃあ本当は500万ゴールド貰えるの!?100万ゴールドも損する所だったの!?


「・・・印象が悪くなる事を言わないで貰えます?商人は信頼第一ですよ。説明するから黙っとけ筋肉ダルマ」

「ああん!?やんのかテメー!?」


あわわわ。なんかギッシュさんが鬼に見える。めちゃくちゃ怖いぃぃ!


「すいませんミーさん。説明するところだったのですが、あのバカに先に言われてしまいました。流石に現金で直接渡せるのは400万が限界でして、残りの100万ゴールド分はウチの系列の割引や優先等のサービスで補う形でお願いしたいのですが」

「あ、その、何か証明出来るものはありますか?」

「こちらをどうぞ、魔力を流せばミーさん専用になりますので」


カードみたいなのがお盆で運ばれて来る。

鑑定っと。

《鑑定がレベルアップしました!レベル2》

イーマ商会のお得意様カード(ゴールド)

イーマ商会のお得意様の証。割引や優先、色をつける等が最高クラスで行われる。


いいの?これ。まだ初めて2時間も経ってないのにこれで。


「あの、魔力ってどうやって流せばいいんですか?」

「おや、エルフは魔法の扱いに長けてると聞いてるのですが?」

「恥ずかしながら魔法スキルが一つも無いもので」

「成程、これを触って下さい」


透明なビー玉を渡される。触ってみたら何か流れる感じがした。

《魔力操作レベル1を習得しました!》


「今の感覚で流せば大丈夫です」

「凄いですね、じゃあ早速」

魔力をカードに流すと名前欄がミーになった。

「はい、登録完了しました、この町のギルド登録済みの全ての店で優遇がされます」


さて、どうしようかな。とりあえずお金があるうちに買い物して次のエリアを目指そうかな。

ポーションとかも買って、ってあ、ヤバイ。

この手のゲームにはプレイヤーキラーと言う人達が居るらしい。緋色がよく狙われるってグチってたのを聞いてたから知ってる。


そして、プレイヤーがプレイヤーを倒したらアイテムやゴールドを半分(・・)盗られるのだ。

普通なら少し厳しいくらいだけど今僕は400万チョイ持ってるのだ。

プレイヤーキラーに狙われ続けるかもしれない。


「カーイさん!お願いしたい事があります!」

「おや、早速ですか。何でしょうか?」


「僕は、家が欲しいです!」

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