17
ワングリアに到着!
この町は赤い屋根が多く、小さなゼロノス(始めの町)と言った感じだ。
モンスターが美味しい物が多く、美食の町と言われてるらしい。
「ギルドは何処かなあ?」
僕は冒険者ギルドに行こうとしている。薬草の類の場所が分かんないから教えて貰おう!という考えだ。
冒険者ギルドは、アイテム納品や討伐でお金が貰えるプレイヤーなら誰でも使える建物だ。
僕はお金に困って無いからあんまり行ってないけど。
「麻痺草と火薬草、フラフラワーにワンガラシ、イライラ草にあせりんご?アンタなんで植物納品ばっかりなんだ?最近の若いのは全員モンスター狩りばっかりなのによ」
うん、プレイヤーが町に来てたらそうなるよね。
「いや、お肉ばっかりだったら駄目だと思いまして」
「おう、アンタいい事言うね!野菜食わない奴が多いんだよ。引き立て役だけでなくメインも張れる奴なのによ」
「ですよね!これってドコにあるんですか?」
「ああ、イライラし草とワンガラシは北の森に、麻痺草と火薬草は西の平原に、フラフラワーとあせりんごは北東のシヨキ鉱山の上にあるよ。期限は無いからゆっくり行けば良いさ」
「ありがとうございます、これって食べるなら何が良いですかね?」
すると、不思議な物を見る顔をされた。
「状態異常になるのに食うのかい?ワンガラシと火薬草は辛いし、麻痺草とイライラ草はなんかピリピリするし、フラフラワーとあせりんごは甘いが面倒臭い事になるぞ」
「あ、そうなんですか。教えてくれてありがとうございます」
「素材入れにリュック持っていけよ!またな!」
いやぁイイ人だったな〜。さて、ヒロビロ草原に行こう。
-----------------------
ヒロビロ草原はまじで広々。の感想通りとても広かった。
でもさ、黄色と赤の2色は目に痛いよ!
鑑定
麻痺草(ランクD)(麻痺[1])
黄色い毒々しい草。食べると麻痺を引き起こす。抗体を持っている者がよく食べる。(効果:麻痺[1])
火薬草(ランクD)(火傷[1])
赤い毒々しい草。触ったり食べたりすると火傷を引き起こす。抗体を持っている者がよく食べる。(効果:火傷[1]、発火、燃焼)
敵はトカゲが二種類だ。
鑑定
サラマンダモドキ(ランクD)
火傷を起こすトカゲ。幻想種の子孫と言われてるが、ただのトカゲの変異体。主食は火薬草。(スキル《火の牙》)
雷竜モドキ(ランクD)
麻痺を起こすトカゲ。幻想種の子孫と言われてるが、ただのトカゲの変異体。主食は麻痺草。(スキル《痺れ噛み》)
草をそれぞれ根っこごと何本か抜いて、アイテムボックスに仕舞う。依頼用もしっかり採っておく。
トカゲ?気配察知で寄って来たのをキックするだけで、簡単に倒せた。不意打ちが得意なんだろうね。
走って北の森に向かう。道中ゴブリンやサラマンダモドキの原種のビッグリザードが居るけど、突っ走ったら追いかけて来ても3秒後には振り切ってるから、北の森には10分で着いた。
-----------------------
北の森は木漏れ日がさし、森林浴したくなる森だった。
「あ、あった。けど、この色は混ざりそうだなあ」
両方とも赤くて、特にイライラし草は火薬草ソックリだった。
まぁ、選別と鑑定で簡単に分かるけどさ。
鑑定
ワンガラシ(ランクD)
ワングリア特産の調味料。ピリッとした辛味は食欲をそそる。食べたら周りが熱く感じる。(効果:猛暑[1]、食欲推進)
イライラし草(ランクD)
苦味が強い草。食べた者はブチ切れる味。食べると一時的にSTRが上がる。(効果:怒り[1]、STR[微増])
なんか、イライラし草って名前とか、運営は語呂合わせとか好きなのかな?
モンスターは一種類だけだった。
鑑定
アングリーオーガ(ランクC)
イライラし草を食べたオーガ。怒りが収まらず、目に付く生き物全てに襲いかかる。STR上昇が掛かっているため、STRが高い。(状態異常:怒り[2]、STR上昇[小])
多分強いんだろうけど、頭と喉、胸を狙ったら、そこまで苦労せず倒せる。
解体したりして、アイテムボックスも結構埋まってる。
ストレージとかに物が埋まっていくのは少し嬉しいな。リュックも持ってきてるし、アイテムが持って帰れないなんて事は無い。
走って今度は北東のシヨキ鉱山に向かう。モンスターは(ry
あせりんごを探すのは少し手間取った。木が低くて、腰までしか無かったから気づきにくかった。
鑑定
あせりんご(ランクD)
甘い果物。状態異常さえ無ければもっと人気が出てたと噂されてる。木が低くて収穫しやすく、実が一年中生っている為、よく小動物が食べる。(効果:焦燥[1])
フラフラワー(ランクD)
食べられる花。食べると眩暈を起こす。色や濃さに個体差があり、観賞用として人気が高い。(効果:混乱[1]~[5])
フラフラワーの状態異常のレベルの高さは、一体誰が設定したんだろう?これ異常だよね?
結構なハイペースで採取していく。
ここにもモンスターはいるけど襲ってこないというべきか。
ここのモンスターはなんと言うか、色々とおかしかった。
鑑定
焦燥猪(ランクC)
何時も落ち着かずに走り続ける猪。甘い物を食べて走り続けるので、肉は旨みが詰まっている。あせりんごが好物。(状態異常:焦燥[2])
千鳥蜂(ランクD)
フラフラワーの蜜しか集めない蜂。千鳥足が由来。巣も蜂も大きい。(状態異常:混乱[2])
焦燥猪は走り回っているだけだし、千鳥蜂はフラフラしてるだけ。
挙げ句は千鳥蜂に焦燥猪がぶつかって相打ちになったりした。前見て走ろうよ。40匹もぶつかったら、いくら格上でも殺られるでしょ。
なんか気が抜けたけど、どうにかこの町の状態異常が起こる植物は、全部コンプリートした筈だ。
早速帰ろう。
-----------------------
「おじさん、持ってきたよ!」
「はぁ!?何でそんなに早いんだよ!?それぞれ30kmは離れてるはずだろ!」
「え?そんなに遠かったかなあ?」
AGLに全振りしただけはあったかな。
そんな風に考えてると、いきなり体の力が抜けた。
バタンッ!!
「お、おい、どうした!?」
いきなり倒れた僕に、おじさんが心配して話しかける。
「もしかしてモンスターにやられたのか!?傷が酷いのか!待ってろ、今ポーションを」
「違、う。大丈、夫だ、から」
「嘘つくな!こんなに弱ってるじゃないか!」
うう、本当に違うんです。恥ずかしいけど言うしかない。
「お」
「お?」
「お腹、すいた」ガクッ
空腹度、今日から実装だったっけ?