森の奥
2話めです。
温かい目で見てやってください。
「ふぁ~あ、よく寝た。」
あくびをしながら腕を伸ばしたりなどして、朝を迎える少年。リュート。
朝に弱い彼は、目をショボショボしながら自分の部屋の様子がだんだんと鮮明になっていく。
リュートの部屋は、とある家の屋根裏部屋。
「はい!ジェス起きて!リュートもよ!アンタ!二人を起こしてきて!」
朝からバタバタと忙しそうな女性。ジェスの母親ニフラスだ。
「ジェス、ほら、起きろ、朝ごはんだぞ。リュートも!起きて来いよ!」
ジェスの父親であるジルバが少しめんどくさそうに言う。
「もうちょっと...あと5分...」と、毛布をかぶり、芋虫のような姿になるジェス。
「今起きまーす」と、毛布や布団をたたみ始めるリュート。
「おいこら、ジェス!もう起きろよ!リュートはもう起きてるぞ!」
自分の息子に怒鳴る父親ジルバ。
なんとか起きたジェス。ジルバとニフラス、そしてリュート。この4人がテーブルに座り、朝食をとっている。
リュートはジルバとニフラスの子供ではないが、この家の屋根裏部屋に住んでいる。
というのも、7年前。森で今晩の食料となる動物を狩りに出ていたジルバが、オオカミやサル、熊などに育てられた3歳の頃のリュートを見つける。
そこでジルバは、リュートを動物達から目を盗み、連れ帰る。村長であるブラウに相談をし、最終的に、見つけた本人であるジルバの下で引き取ることになった。
リュートは、最初、皆のことを警戒していたが、だんだんとなじんでいき、村の一員となった。
ジルバの息子であるジェスは、リュートと年齢が同じくらいなので、一番の親友になった。
「ご馳走様!よしジェス!今日は何して遊ぼうか!」
昨日の残りの熊肉をものの数分で平らげ、まだ食べている途中のジェスに言う。
「ん、ちょ、ちょっと待って」
口の中にこれまどかというほどに食事を詰め込むジェス。
「こらこら、二人とも、今日は午前中、家の手伝いです!」
と、ニフラスが言う。
「まぁ、仕方ないか、さっさと終わらせようぜジェス!」
すぐにでも遊びたがっているリュート。
「う、うん!」
ようやく食べ終えた、ジェス。
家の手伝いを終えたリュートとジェス。
「よし、ジェス!今日は、アミシーズを狩りに行こうぜ!」
小剣を腰に差すリュート。
「え、でも、もうそろそろで暗くなるよ?危ないって...」
ジェスはあまり乗り気ではない様子でリュートに言う。
「この時間帯がアミシーズの警戒が一番薄いんだって、な、行こうぜ。」
「う、うん...」
リュートは強引にジェスを連れて行った。
少し森に入ったところ、時間でいえば午後6時頃、そろそろ暗くなる時間。リュートとジェスはアミシーズというウサギのような小動物を捕まえに来ていた。この時期脂がのっていて、丸焼きにしただけでもかなりのおいしさだ。
「ね、ねぇ、やっぱ帰ろうよリュート・・・」
どんどん暗くなるのを不安がるジェス。
「まー、もうちょいだけだって、アミシーズ狩ったら今日の晩飯最高だぜ~」
自分の欲望のまま突き進むリュート、その顔にはよだれが垂れている。
「お、見つけたぞ、ジェス」
腰の小剣を手に取るリュート。これで帰れるかとほっと一息つくジェス。
リュートがアミシーズめがけて小剣を投げる、と。いち早く気づいたアミシーズは片足をやられつつも森の奥へと逃げ込む。
「くっそ!惜しい!」
リュートは小剣を外したことに苛立つ。
「も、もういいだろ、帰ろうよ。」
「ま、待ってくれジェス、あいつ片足ケガしていったんだ、次は逃がさねぇよ!」
相当悔しかったのか、もう日がだいぶ落ちてきたのにアミシーズを追おうとするリュート。
「え!?ダメだよ、カーチャンに怒られるよ」
と、ニフラスの起こった様子を想像して震えるジェス。
「大丈夫だって、相当遠くへは行けないはずだぜ」
外した小剣を引き抜き血をふき取るリュート。
「え~、も、もう少しだからね。」
リュートの無茶には慣れっこな様子のジェス。
リュートとジェスがアミシーズの血の跡や臭いをたどって、森の奥へと進んでいくと、そこには、片足をケガしているアミシーズが。
「今度こそ逃がさねーぞ...」
次こそ逃がしてたまるかと、小剣をギュっとにぎるリュート、それを見て、息をのむジェス。
二人は、アミシーズに少しずつ近づき、小剣を投げる。
小剣は見事、アミシーズの体を貫いた。
「よし!やったぜ!」
ガッツポーズをとるリュート、もう帰れるかとほっと胸をなでおろすジェス。
周りは暗く、森の深く、いつモンスターが出てもおかしくない状況。
「は、はやく帰ろう。リュート」
なんてニフラスに言い訳をしようか考えているジェス。
「ん?おい、ジェス、なんだあの光。」
人がいるはず無い森の奥で何かの光を見つけるリュート。
「え?そんなはずは、ここは森の奥だよ?」
不安がるジェス。
二人は、恐る恐る、光の正体を見に行った。そこには
2話を見てくださってありがとうございます。
これからも、話が思いつき次第書いていきたいと思います。