狂い初めた歯車
楽しんで見ていただけたらと思います。
前作の妖霊現実日記とは繋がりはないので、その点はご了承下さい
「今日調子いいじゃんか!」
「別に...」
俺の質問に武島は素っ気なく返してくる。
いつもの冷静な冷たい態度で、
返答されて、少しムッとしたが、
怒ったところで、あいつが態度を
取り乱すはずが無い、と思い
深呼吸を軽く行い、自分を落ち着けた。
ここは、二つの小学校を卒業した、
生徒が通っている、
浜我咲中学校。
そして、今、俺がいるのが、テニスコート。
田舎だけあって周りは田んぼに、
囲まれているが、都会に対して、
憧れなど抱いたことが無かったので、別に気にならなかった。
都会より田舎の方が、俺は好きだ。
静かだし、何より、事故が少ないという、理由からだった。
浜我咲男子ソフトテニス部。
別にそこまで強くもなく、有名では無かった。
つい、今さっきも練習メニューの、
試合をやっていた。
「おい、武島。上智。試合が終わったんなら、コートにブラシをかけろ。
まだ、あいつらが終わってないから
先にブラシかけとけよ。」
キャプテンの態度が、荒々しい。
それは今の試合で、俺と、武島に
負けたからだろうか?
ただ、それは口に出したらどんな事をされるか、分からない。
それは、心の中にしまい、
口をつぐんだ。
先輩の三年生の人数が九人
俺たち2年は、たった六人
そんな小規模な部活だった。
一年はまだ、仮入部期間で、
部活に入っているわけではない
何と言うか個性的だ。
俺たち2年は
まず、
滝澤。
一言で言えばうざい。
口であれこれ言うが、自分は実行しない。
練習態度は二重まるどころか丸もつかないであろう態度だ。
とにかく何もかもが矛盾している、
馬鹿なやつだ。
そして、この滝澤とペアの立花。
2年の中で、腕はピカイチ。
先輩と、互角に乱打するくらいだ。
うざい事もないし、何故、滝澤と
馬が合うのか不思議なくらいだ。
次に、川口。
まぁ、下手だ。
大会では一度も勝ったことなければ
練習試合でもない。
走るのはドベだ。
よく、運動部に入る決意をしたな。
と思うくらいに運動オンチだ。
性格は明るく、やる事なす事間が抜けていたが、
いつも、皆の笑いを取っている。
勿論、勉強は出来なかった。
そして、この川口とペアの中井。
奇想天外な奴だ。
絡みやすい奴だろう。他人から見れば。
川口みたいに皆の笑いを取っているが、
実力は確かだ。もっとも、
真面目にやればだが。
最後に俺のペアの武島。
立花とまでは行かないが、腕は確かだ。
武島とは小学校の時から一緒で、
家も近所、隣だった。
小学校の時は明るい性格だったのだが、ある事件がきっかけでこんな
暗い性格になってしまった。
だから、どんなにイラつく返答でも、俺は仕方ないと思い、ありがとうと言っている。
とにかく明るいやつ''だった。,,
「早く終わんねぇかなー?」
と、周りの気色に飽きてきた、俺の耳に、
「集合〜」
と、キャプテンの声が、届いた。
「ありがとうございましたー」
部員の声が、空を制した。
空は夕焼けに染まりつつあった。
こんな平和な日常だったのに、
あの事件は起きた。
俺は、あの事件を忘れる事は無いだろう。
すれ違いに起こった事件を...




