近未来亡命
知らず知らずに首輪を
つけられて
塞がれた言葉
塞がれた心
ふるいにかけられ
落とされていった
命
自由などはじめからなかったのだ
紙一枚の気まぐれな言葉だったのだ
金と力のある者は
さっさと荷物をまとめ
パスポート片手に逃げて行く
腐ったらどうしようもない
捨てるしかない
と言って
金と力のない者は
一度は拳をあげたが
抵抗するには老いすぎた
数少ない若者たちは
明日生きるのもままならず
刹那的な快楽を追い求めて
さ迷う
どこに利点があるのか
どこに光はあるのか
嘆きの声がこだまする
新たに生まれた生命
生命を育もうとする心よ
人が人として生きることが
できる世の中を望む心よ
それでもつましく
生き抜こうとする人たちよ
その存在をもっと見せて欲しい
光を求める声がこだまする
歪んでもとの形が
わからなくなった国に
もはや差し伸べる手はなく
いかだの群れが大海原に広がるばかり