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ドラゴンというもの

「さて、全員揃ったな」


ドラグニア帝国騎士養成学校教職員会議室。読んで字の如く、騎士養成学校の教師達が会議をするための部屋だ。大きな円卓に座る総勢十数名の大所帯。


「集まった理由は言わずとも分かると思うが」


「ラグナウルフと契約を交わしたソウヤ=ティスタニアと……黒神真紅のことですね」


一人の若い男性教師の言葉にディズは重苦しいため息と共に頷く。『契約の儀』を物の見事にぶち壊した爆炎の申し子、レッドドラゴン。そのレッドドラゴンと契約を交わした平民である生徒、黒神真紅。


「ディザスト先生。確か、黒神からレッドドラゴンに関する話を聞いていたんですよね?」


「あぁ。夏休みが終わる寸前、あいつがここに戻ってきた時に少しな……夏休みの間だけでドラゴンとあれ程の信頼関係を結ぶなんて、あいつは何者だ?」


止めるどころか、訊ねる間もなく真紅はレッドドラゴン、もといロードと契約を交わした。契約者と魔獣の信頼関係を表す魔方陣の位置、それが信頼関係の最上である心臓部分にあったことには誰もが驚いた。


「まぁ、何よりも確認しなければいけないのはティスタニアと黒神の認識ですな」


「黒神は問題ないだろう、あれで聡明な奴だ。しかし、ティスタニアは……」


『契約の儀』の後にソウヤが言っていた事を思い返し、教師一同ため息を吐く。





『見ろよ真紅、アイン! イリスの奴、すんげぇもっふもふだぜ!!』


『お主の友は中々剛毅な奴じゃの、真紅。いくら契約相手とはいえ、あのラグナウルフと臆面もなく触れ合えるとわ』


『はは。まぁ、良くも悪くも色々とぶっ飛んだ奴だから……』





「何か、凄い魔獣と契約した程度の認識しかないでしょうな」


否定できるものは誰一人としていなかった。今はその認識でいい。しかし、これから先はそうはいかない。


レッドドラゴン、ラグナウルフ。どちらも二つ名を与えられた程の力を持った魔獣なのだ。力は凄まじく、ドラグニア帝国の権力すら問題としないだろう。その力を利用しようとするものもこれから出てくるはず。それ以前に……。


「超大な力を得たあの二人が暴走しないかどうか心配ですね」


「あいつ等に限ってそんなことはない」


女性教師の言葉を切って捨てるディズ。この場にいる誰よりも二人を見てきた彼女だからその一言には説得力がある。


「そうは言いますがねディザスト先生。ティスタニアはともかく、黒神の契約相手はドラゴンなんですよ?」


ドラゴン。間違いなく全生物の頂点に君臨する絶対者。その存在はどの国でも力の象徴であり、恐怖の権化とされてきた。おまけにラグナウルフと違い、語り継がれる伝承も破壊や滅びを語る不吉なものばかりだ。


「どちらにしても、この件は我々の手に余る。王都『ドラグーン』からの指示を待つしかないでしょう」


そう結論付けられ、会議はお開きとなった。















「ん……」


朝か、と寝ぼけ眼を擦りながら真紅はベットから上半身を起こした。ん~、と伸びをしながら、ふと自分の傍に彼女がいたことを思い出す。


「起きろロード。朝だぞ」


同じベットの中には炎髪灼眼の美女、人間に姿を変えたロードがシーツに包まっていた。真紅に揺すられ、真っ赤なネクリジェを着たロードはゆっくりと身体を起こす。昨夜、素っ裸のロードがベットに入ってきて、真紅が出血多量死になりそうになったのは余談だ。


「……しんく~♪」


暫くの間、ぼーっとしていたロードだったか、幾分か意識がはっきりしてくると嬉しそうに真紅に抱きついて胸に頬ずりし始めた。微笑を浮かべながら真紅もロードの頭を撫でてやる。場所は男子塔。城の一部である塔を改築したものである。本当なら魔獣であるロードはここに入れないはずなのだが、


『もう離れ離れは嫌だ……』


と、涙声+上目遣いのロード。後は言わなくても分かるな? とまぁ、そんな感じで色々とブーストした真紅が武力を以って教師陣を説得したのだ。


「とりあえず、ソウヤ起こしにいかなきゃな~」


「ん、何だ? あの小さき者は朝が苦手なのか?」


「あぁ。寝坊なんて当たり前。俺が起こしてなかったら毎日遅刻してるぜあいつ」


紅のドレス(魔力で作った)を纏ったロードと取りとめの無い話をしていた時だ。轟っ!! と凄まじい振動と轟音が男子塔を揺るがした。


「うおぉ!? 何だ何だ!?」


「凄まじい衝撃だな。隣りの部屋から伝わってきたぞ」


「隣りって……ソウヤ!!」


部屋を飛び出す真紅、その後をロードが追う。廊下に飛び出して数歩でソウヤの部屋の前だ。


「ソウヤ! 何があ……」


肩から飛び込んで扉をぶち破った真紅は室内の光景を見て絶句する。彼の視界に飛び込んできたのは……。


「お、ごぁ、がはぁ……」


ベットの上で白目を剥いて悶絶している親友、ソウヤ=ティスタニア。


「あ、お早うございます真紅さん」


更にその上に馬乗りになって拳を固めているラグナウルフ、もといゴスロリメイド美少女、イリスティア=ウルフェン改めイリスだった。後から部屋に入ってきたロードも状況が飲み込めない様子。


「ほらマスター、早く起きてください。真紅さんとドラゴン殿が来てるんです、よ!!」


固められた拳がソウヤの鳩尾に突き刺さる。ぎゃばぁ! と断末魔を上げ、痙攣するソウヤの鳩尾にイリスは容赦なく拳を落としていく。その度に壁や床が衝撃で震えた。


「ふむ。察するに己が主を起こしに来たのか」


文字通り、叩き起こしに。


「いやいや、そんなこと言ってる場合じゃないだろ! それ以上は止めるんだイリスちゃん! ソウヤが永遠に目覚めなくなっちまうぞおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」















「……暇だな」


誰に言うでもなく、廊下を歩きながらロードは呟く。時刻は昼十時辺り、普通に授業中である。


「おや」


特に目的も無くぶらぶら歩いていたロードはイリスと鉢合わせる。どうやらイリスも校舎である城を歩いてたらしい。しかし彼女の場合、ロードと違ってちゃんとした目的がありそうだ。


「どうしたんですかドラゴン殿。マスターや真紅さんと一緒に授業に出たのでは?」


ちなみに今二人が受けているのは歴史の授業だ。


「いやな、最初の方は我も静かにしていたのだが」


「先生が教える内容や教書に何か誤りでも?」


イリスの問いに頭を振る。


「大まかな流れや内容は間違っていなかった。ただ、細かい部分が違ったりしててな。その点を指摘してたら……教室を追い出されてた」


まぁ、当然だろう。一々細かな部分を指摘されて授業を止められては堪ったものではない。


「うぅ~、我は誇り高きドラゴン。爆炎を纏いしレッドドラゴンなんだぞすっごく強いんだぞ~」


そんな彼女も真紅には絶対に逆らえない。惚れた弱みというやつであろうか。何時の間にか廊下の隅で膝を抱え始めたロードにイリスは深々とため息を吐く。その後ろ姿、ドラゴンと呼ぶには余りにも哀れだ。


「もし暇なのなら私と一緒に城内を歩きませんか? 我等がマスターが身を置いている学び舎、散策する価値はあるかと」


「……そうだな。ここで腐っていても何の益も無い」


二人(正確には二体)は並んで廊下を歩いていった。幸いと言うべきか、騎士養成学校の校舎である城は相当な広さを持っているので、探索する場所は事欠かなかった。


「ここは何だ?」


「そこは魔法学の教室……って、今授業中ですよ!」


「おぉ、確かにしっかりと授業しておるわ」


「お邪魔してすみませんでした~!!」


と、こんな具合に騒ぎを起こしまくった。その度にイリスはロードの首根っこを引っ掴んで追いかけてくる教師から逃げ回っていた。


「ぜぇ、ぜぇ……」


人間という慣れない姿で走ったためか、イリスは息も絶え絶えになっていた。ちなみに騒ぎの根本的な原因であるロードはというと、けろりとした表情で次の教室へと向かっている。


「さて、次の教室ではどんな授業が行われておるんだ?」


「ドラゴン殿! 天気も良いですし中庭に行ってみませんか!? きっと日差しが気持ちいいですよ!」


これ以上走りまわされては堪らぬとイリスは何か騒ぎが起こる前にロードの手首を掴んで廊下を疾走し、階段を駆け下りていく。幸いな事に授業中であったため、廊下に生徒の姿は無くイリスの走りに巻き込まれるものは誰もいなかった。


「ん?」


「どうしたんですかドラゴン殿?」


いや、とロードは廊下の向こう側を指差す。階数は三階部分、中庭に面した廊下であった。そこには授業をサボったであろう生徒が数人ほどいた。


「今は授業中だというのに何故あ奴等はあんな所におるのだ?」


「マスターから聞いた話ですが、あぁやって授業を受けない人たちが時たまいるそうです……」


ふと、イリスの端正な顔立ちが崩れた。眉間に皺を寄せ、微かに怒りの唸り声を上げている。イリスの只ならぬ変化にロードは訝しげな表情を作った。


「どうした?」


「いえ、何でもありません。早く中庭に向かいましょう」


頑ななものを感じさせる声音でイリスはさっさと中庭に向かおうとする。引っ張られながらロードはイリスが怒りを覚えた理由を考えた。イリスの正体はラグナウルフ。狼の仲間だけあり、その聴力は魔獣の中でも群を抜いている。サボっている生徒たちのほうから何か不快な会話でも聞こえたのか、とロードは魔力で己の聴力を強化し、生徒たちの声に耳を傾けた。


『今回の『契約の儀』は滅茶苦茶だったな。ラグナウルフ、ティスタニアみたいな貴族の面汚しと契約するなんて』


『所詮は野を駆ける獣さ。俺達高貴な貴族には相応しくない』


『極め付けがあの平民だ。ドラゴンと契約なんて』


『どうせドラゴンの力に振り回されて死ぬのがおちさ。平民の分際でこの騎士養成学校にいる身の程知らずが、いい気味だ』


「……」


「っ!!」


突如、ロードの身体が燃え上がるように熱くなり、イリスは反射的に手を離した。ロードの手首を掴んでいた掌が軽くだが火傷を負っている。すっ、と細められた瞳。縦に切れ込むように細くなった瞳孔が爆炎の申し子の怒りを表していた。


「落ち着いてください!」


イリスが手を伸ばすが、それよりも早くロードは動いていた。一瞬で生徒たちの前に移動し、冷淡な眼光で見下ろす。目の前にいきなり登場したロードに生徒たちも目を丸くしていた。


「五秒くれてやろう。遺言を残せ」


「は、はぁ? 何なんだよお前!?」


それが遺言か、と無機質な表情のままロードは右腕を持ち上げる。右肩から炎が噴き出し、紅蓮の片翼を形成する。石造りの壁を炎が舐め、瞬く間に熔解した。


「燃え散れ」


紅蓮の片翼が振り下ろされた。片翼が生徒たちの骨までも焼き滅ぼそうとするその刹那、白い閃光が飛び込む。


「……どういう心算だ、ラグナウルフ?」


ロードは自身の片腕を同じように片腕で受け止めるイリスに無色の声音で問う。ロードの一撃を受け止めた左腕が焼けていくのに顔を歪ませながらイリスは真っ直ぐにロードと視線を合わせた。


「ドラゴン殿。真紅さんを、己の主を侮辱されて怒るのは理解できる。ドラゴンにとって、誇りと命は同義だと聞いています」


ドラゴンにとって侮辱されるとは命を穢されるに等しいことなのだ。それを知ってるが故にイリスには分かった。ロードが真紅を侮辱されるのがどれほど許しがたいことなのか。それを理解している上でですが、と続ける。


「ここは人間の領域です、我々魔獣のルールではなく、人間のルールが適用される場所なのです。人間のルールでは戦争でもない限り殺しはご法度。もし、貴方が人間のルールに従う気が無いというのなら……私は貴方を止めます」


緊迫した沈黙が空間を満たす。ロードは無言で片翼を燃やし続け、イリスは痛みと熱気に汗を流しながらも視線を外さなかった。やがて、ロードはゆっくりと右腕の炎を消していった。


「お主の言うとおりだな、ラグナウルフ。確かにここは人間の領域。なれば、人間のルールに従うのも道理よ」


「理解していただけて嬉しいです」


安堵の息を吐きながらイリスは背後で腰を抜かしてるだろう生徒たちに大丈夫かと問おうとする。しかし、振り返るよりも早くロードの指が喉笛に食い込んだ。


「しかしだラグナウルフよ。我は人間のルールに従う気など毛の先ほども無い」


ロードは無造作にイリスを壁へと放り投げた。それだけなのにイリスの身体は石壁を突き破り、中庭へと叩きつけられた。壁に出来た穴から衝撃で大量に土砂を巻き上げた中庭を見て、ロードはやりすぎたかと頬を掻く。


「まぁ良いわ。ラグナウルフの言う事も一理ある。故になるべく苦しまぬように燃やしてやる」


今度こそ、ロードの手が腰を抜かしてる生徒たちに迫る。不意にロードの動きが止まった。首筋には鋭い鋼の刃が押し付けられている。


「それ以上はやりすぎだ、レッドドラゴン」


ロードに槍を押し付けたまま、騒ぎを聞きつけやって来たディズは生徒たちにさっさと逃げろとジェスチャーする。脱兎の如く走っていく生徒たちの背を目で追いつつも、ロードはその後ろ姿を追おうとはしなかった。


「それで、我に何か用か、『森に潜む者』?」


「大有りだ。授業中にこんな大騒ぎを起こすとは一体どういう了見だ?」


ドラゴンの矜持よ、ロードは簡潔に答える。そこに他の教師たちがロードの前に展開した。周囲に魔方陣を展開させ、戦闘態勢に入っている。


「魔方陣の形からして水系統の魔法か」


感心したようにロードが呟くと、後ろ側の壁が派手にぶっ飛んだ。見れば破片を撒き散らしながら狼の姿へと戻ったイリスが黄金の毛を逆立て、牙を剥き出しにして唸っている。前には水魔法を放とうとする教師達、後ろにはディズとイリス。


「さて、どうするレッドドラゴン。大人しくするのならこちらも手荒な真似はしない。もし抵抗するのなら、それ相応の対応をさせてもらう」


ディズの警告に応えるでもなく、ロードは無言だった。少しして、ロードの肩が震え始める。怒りを堪えてるのか、否。


「はっはっはっはっは!!!!」


笑うのを我慢していたのだ。その我慢も即行で限界を迎えたのか、ロードは口を大きく広げ哄笑する。一頻り笑った後、ロードは炎髪をかき上げた。


「どうする? どうするだと『森に潜む者』!? 逆にどうしろと言うのだ? 眼前には魔術を齧った小さき者が数人。背後には高々数百年の時を生きたお主と犬っころだけ。大人しくするのなら、だと? ……ドラゴンを舐めるな」


静かに囁いたその瞬間、ロードの身体から爆ぜるように業火と魔力が放たれた。魔力に殴られ、吹き飛んだディズをイリスが素早く受け止める。その身に爆炎と膨大な魔力を纏いながらロードは片手を頭上に掲げ、城の外壁に及ぶほどの巨大な魔方陣を広げた。


「何ならこの一角ごと貴様等を消し炭にしても良いのだぞ」


はったりでも何でもない。少しでも逆らえば、こいつは確実に己の言葉を実行に移す。そう思わせるだけの凄みがロードから放たれていた。にっ、と歯を剥き出しにするドラゴン流の笑みを浮かべ、ロードが魔方陣から炎を生み出そうとしたその時、何の前触れも無く廊下に声が響く。


「何やってんだロード!!」


その場にいる全員が声の方を向くと、そこには真紅が立っていた。教室からここまで全力で走ってきたのか、肩が上下に動いている。


「おぉ、真紅か。授業はもう終わったのか?」


「何が終わったのか、だこの馬鹿! こんな騒ぎ起こしてどうする心算なんだ!!」


とりあえずそれ仕舞え! とロードが頭上に掲げている魔方陣を指差す。


「うむ」


真紅に従い、ロードは魔方陣を掻き消した。さっきまで身体を覆っていた炎も魔力もすっかり引っ込んでいる。余りの従順振りにディズ含め、さっきまでのロードと対峙していた全員、開いた口が塞がらなかった。


「はぁ……この先、特待生をやってけるかどうか凄く不安になってきた」


深々と吸い込んだ息を吐き出す真紅。その姿からは言い知れぬ哀愁が漂っていた……。






放課後、ロードとイリスから事情を聞いた真紅は何と言っていいか分からず、頭を抱えていた。幸いにも怪我人(イリス本人は気にしてないということなので)はいなかったし、校舎の損傷も軽微だったので、真紅とロードは何の咎めも受けずに済んだ。というか、ロードに罰を与えられる人間なんてここには真紅しかいないし、真紅を罰したら罰したでロードが黙っていないだろう。


(予想はしてたが、ここまでとはな……)


ロードと契約する事で周囲が変わることは予想していた。しかし、ここまで特別扱いされるとは思っていなかった。契約した相手が起こした問題とはいえ、これだけのことをやったら普通、何かしらの罰が与えられる。しかしそれが無い。周囲がどれ程自分のこと、ロードのことを危険視しているかが窺えた。


「はぁ……。ロード、俺のために怒ってくれるのは凄く嬉しいよ。でも、簡単に軽々しく誰かを殺そうとするなんてのは絶対に駄目だ。ドラゴンと違って、人間はすぐに死んでしまう生き物なんだ」


外壁に腰掛けながら一緒に夕陽を眺めているロードに真紅は諭すように言った。コクン、と頷きながらロードは真紅の肩に頭を乗せる。


「……お主がそう言うのなら。しかし、これだけは覚えておいてくれ真紅。我等ドラゴンにとって、誇りは命と同義。それが侮辱されるという事は、命その物を穢されているのと同じことなのだ。まして、侮辱されるのがお主だったら……」


我は堪えられぬ。身体を寄せてくるロードを抱き寄せながら真紅は夕陽を見つめる。彼女は、ブレイヴ・ローズハートは誰よりも過激で純粋なのだと、改めて痛感させられた。自分が今まで受け流してきた侮辱に本気で怒るほどに。


(ロードのこと、もっと理解していかなきゃな)





一方その頃。自室の机に座ったディズは組んだ両手を額に当てて考えていた。勿論、考えるのはロードことレッドドラゴンのことだ。


(あれ程の力を有してるとは)


廊下で対峙した時のことを思い出す。あの時感じた圧倒的な魔力。それすらも、レッドドラゴンの力の片鱗でしかないだろう。


「早急に王都に、姉上に報せねば」


ディズは羊皮紙と羽ペンを取り出し、報告のための書状を書き始めた。

ロ「ロードと」


イ「イリスの」


ロ、イ「「『ドラゴンブライド設定集~』」」


ドンドンパフパフ~


ロ「さて。それでは始めようか」


イ「ここでは今作品『ドラゴンブライド』、略してドラブラの設定を話していこうと思っております」


ロ「といっても、これと言って語ることも無いんだがな」


イ「そう言うわけで、こんなアンケートを取りたいと思います」


1、ドラゴンについて


2、騎士団について


3、魔法について


ロ「上の三つから聞きたいものを一つ選んでくれ」


イ「それを私とドラゴン殿が答えていく、という寸法です」


ロ、イ「「では、次回」」


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