表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第4章2

「私は自分をずいぶんと責めたよ」

 克安(クーアン)は傍らに落ちている石を、泉に向かって投げた。石はぽちゃんと軽やかな音を立ててて沈んでいく。

「私が都を離れたなかったら……。もっと早くこの事態に気づいていたら……あと少しでも早くあの場所に着いていたら、そうしたら翠蓮は死なずに済んだかもしれない」

 ずきん、と学然(シュエラン)の心が痛む。

 その感情を、自分は知っているような気がした。

 自分のことを責めて、責めて――。

 起こってしまったことは決して覆りはしない。

 失ってしまったものは戻ってきやしない。

 けれど、自分を責めずにはいられなかった。

 この感情はいったいいつのものだろう。

 だが、いくら考えても、学然には思い出せない。これもきっと抜け落ちてしまった過去の欠片なのかもしれない。

「私を責めてくれるのは、自分自身しかいない。いっそうのこと、誰かが私を責めてくれれば、楽だったかもしれない……」

「――バカ……だよな」

 ぽつりと出た言葉。

 自分自身に対して思わず出たものだったが、克安は己自身に対して言われたものだと思ったようだ。

 悲しそうに笑うと、ひとこと、「そうだな」と言った。

 そうして、話の続きを語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ