追放された聖女を保護した結果
名前を借りました。
プリウス・トヨータ王子はトヨータ国の王子である。
毎日、国をよくする為に頑張っていた。
ある日、視察が終わったプリウス王子が乗る馬車が通る道に、人が倒れていた。
気付いた御者が近付くと、倒れていたのは聖女の服を着た女だった。
御者が声を掛けると、隣国で冤罪を掛けられ追放された、と女は言った。
御者がプリウス王子に報告すると、女を城に連れ帰る事にした。
城で休ませ、新しい服や食事を与える。
「ありがとうございます…こんなに親切にしてもらったのは初めてです」
女は涙を浮かべて言う。
プリウス王子は詳しい話を聞いた。
名前はアルテッツァ。
ホンダー国で、聖女として教会で仕事をしていたが、他の聖女に仕事を押し付けられていた。
シビック王子と婚約していたのに、他の聖女に取られ、他国に情報漏洩したと冤罪を掛けられ、シビック王子から婚約破棄されたあげく、国外追放された。
プリウス王子は自分が守る、と約束する。
城に住まわせ、食事を与える。
ドレスや宝石を贈る。
貴重な聖女なので、できれば長くいてもらいたいし、力を使ってもらいたい。
「良ければ癒しの力を我が国の民に…」
プリウス王子はお茶に誘い、アルテッツァの手を握り、話しかける。
「そうしたいのですが…婚約破棄と追放で傷付いて力が出せません…」
アルテッツァは悲しそうな顔をした。
「無理を言ってすみませんでした」
「こちらこそ…力になれなくて…」
「気にしないでください…しばらくゆっくりしてください」
しばらく経ったある日。
暗い顔をする聖女アルテッツァにプリウス王子が声を掛けた。
「元気ないですね?何かありましたか?」
「…王子の婚約者から意地悪されています」
プリウス王子は、自分の婚約者をアルテッツァに紹介していた。
女性の知り合いも欲しいだろうと思ったからだ。
「何と…!可哀想に…!貴方は私が守ります!」
プリウス王子は、跪いてアルテッツァの手を握った。
ある日、ホンダー国から結婚式の招待状がくる。
アルテッツァの元婚約者のシビック王子と、冤罪を掛けてきた聖女の結婚式。
プリウス王子は、自分と婚約してホンダー国に乗り込み、悪事を暴こうとアルテッツァに言った。
衣装をお互いの色に合わせ、ホンダー国へ乗り込んだ。
結婚式後のパーティーで、断罪しよう。プリウス王子はあれこれ考えていた。
シビック王子と聖女プレリュードに挨拶をする時に、自分の婚約者として聖女アルテッツァを紹介することにして声をかけた。
「結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「こちらは私の婚約者のアルテッツァです」
「おや」
シビック王子は、プリウス王子と並ぶアルテッツァを見た。
「見覚えがありますよね。貴殿の元婚約者です。
貴殿達は、今は私の婚約者になったアルテッツァに冤罪を掛け国外追放したとか」
「元から婚約してたのはこちらの真の聖女プレリュードです」
シビック王子が言った。
「国外追放?そりゃそうでしょう」
プレリュードも言った。
「聖女の役割はしない。
教会の寄付金は勝手に使う。
私に横恋慕して婚約者だったプレリュードを害する。
おまけに国の情報をニッサーン国の王子に流す…」
シビック王子がツラツラと述べた。
「そんな事したら普通は追放しますよね」
プレリュードも続けた。
「婚約者はこちらの聖女では?
情報を流したのはそっちの偽聖女がやったと…アルテッツァは濡れ衣だと」
慌ててプリウス王子は言い返す。
「濡れ衣はこっちなんですよ。
本物の聖女に濡れ衣着せて、自分が聖女になりかわろうなんて」
冷たい目でプリウス王子を見るシビック王子。
「そんな馬鹿な…」
愕然とするプリウス王子。
「で、アルテッツァは、そちらのトヨータ国では聖女の役割してるんですか?」
シビック王子が聞いた。
「いや…傷ついているから力が出せないと」
プリウス王子は答えた。
「神殿に行ったり祈りの時間は?
奉仕をしたりは?」
プレリュードも聞いた。
「いや…何も…」
「あ、アルテッツァがつけている髪飾り、ニッサーン国の王子がプレゼントしたやつで、盗聴器が仕込まれてるんですよ」
シビック王子が事も無げに言う。
「え?祖母の形見だと」
「ピンピンしてますよ」
シビック王子が振り向く方を見ると、手を振る老婦人がいた。
「アルテッツァ〜元気だったか〜い」
「おばあちゃん…」
アルテッツァが目を見開いた。
「私は、きちんと両方の言い分を聞き、実際どうであったのか調べたんですよ。
そちらも、きちんと調べた上での発言ですよね?」
プリウス王子に向き直り、シビック王子が言った。
「いや…」
視線を逸らすプリウス王子。
「まさか…アルテッツァの話を鵜呑みに!?」
「…」
顔を青くするプリウス王子。
「あなたも婚約者がいましたよね?まさか…」
「アルテッツァをいじめたので断罪しました…」
「今頃そちらの国はニッサーン国に乗っ取られてるんじゃないですか?」
「え?!」
「その女に乗せられて我が国に来た隙をついて、侵略する寸法です。
我が国は阻止しましたけどね」
「…どういう事ですか?」
プリウス王子が聖女アルテッツァに聞くと、既に聖女アルテッツァが逃げていた。
「騙された…」
プリウス王子は膝をつき、がっくりと項垂れた。
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