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星のありか  作者: ゆきもち
第一章
6/8

学食

「号外、号外!史上四人目の月の寮生、ランテルナ・ハッブル!月のいとしごだよ!」


 入学式から次の日、朝食をとるため大食堂へ向かうと、入り口で新聞をばら撒いている人がいた。そのうたい文句と、ひとだかりにランテルナは目を白黒させ、隣で引率していたリュカ・アンブローズは苦笑してランテルナを守るように手を引いて大食堂の中に案内した。

 ランテルナは一日で一躍有名人になった。なにせ、月寮の生徒は希少で優秀な人が多く、歴史に名を残してきたものばかりだからだ。ランテルナもそれが期待されている。まだ、明確な重責を感じているわけではないが、不安は大きい。すれ違う人みんながランテルナの顔をみて、ひそひそと声を潜めて話すのだ。なにが噂されているのか分からないため、ランテルナは不安に思うしかなかった。


「だいじょうぶだよ」


そういったのは先輩で、ランテルナの指導役になったリュカ・アンブローズだった。彼

は、月寮生徒がランテルナしかいないため、先導する先輩がいないことを危惧した先生方がつけてくれた指導役で実質のお世話係だった。リュカの整ったかんばせに最初はドキドキしていたランテルナだったが、かれが気さくに話をしてくれて、敬語もいらないとまで言われ、先輩なのに申し訳ないと一度は断ったものの、リュカは「きみと友達になりたいんだ」といって笑ったため、ランテルナは同い年の友達に接するようにリュカに話しかけた。


「きみは噂なんて気にする必要ないよ。選ばれたのは事実なのだから、堂々としていればいい」


リュカにそういわれ、暗雲立ち込めていた心が晴れていく。そうだ、別に悪いことをしたわけではないのだから、ランテルナはリュカと共に堂々と廊下を歩いた。そして、案内された大食堂は、人がたくさんいて、みんな思い思いに食事をとっていた。


「大食堂では、だいたい同じ寮の生徒で集まることが多い。テリトリーみたいなのがあって、暗黙の了解で互いに侵害しないようにしているんだ。月寮の生徒は一番優遇されてるから、ビュッフェのすぐ近くの所だよ」


リュカの言葉になるほどと頷きながら見ると、確かに制服の首元のネクタイやリボンがその寮の色になっていて、それぞれの寮の生徒で固まって座っていた。


「冥王星寮はどこかしら…?」


ランテルナが首を傾げると、リュカは不思議そうにしながらも、


「食堂の一番奥の隅っこの方だよ」


と、答えてくれたので、言われた方を見ると、オリバーが一人でもそもそとフランスパンをちぎって食事をしていたから、ランテルナはそちらにむかって歩いていき、


「おはよう、オーリー。一緒に食事をとってもいいかしら?」


と、尋ねたので、ランテルナをみたオリバーは嬉しそうに顔を上げて、


「もちろん!朝食とってきなよ、ルナが好きそうなパンがたくさんあったよ!」


と、受け入れた。それをみていたリュカは内心、暗黙の了解を破ることになるのだが、まあ、そういうお決まりごとが嫌いなため全然かまわないし、むしろ面白いと思いながら、二人を見守った。ランテルナとリュカがトレイに食事をのせて冥王星寮のテーブルにやってくると、周りの冥王星寮はびくびくと怖がりながら、二人を見ていた。


「「いただきます」」


リュカとランテルナは手を合わせてから、食事に手を付けた。リュカのトレイの上には大量のチーズがのせられていて、これが大好物なんだな、とまわりにもわかるようなありさまで、ランテルナはいろとりどりのパンがのせってあって、学園のパンがどんなものか見定めてやろうという気満々だった。反対に、オリバーの皿の上は、サラダ、スクランブルエッグ、ベーコン、コーンスープ、それからフランスパンと健康的な朝食メニューで、食事一つとっても性格が出るものだった。


「そういえば、学園は朝からルナの話題でもちきりだね。さすがだな、ルナは昔から星に詳しかったもんね」

「そうなのかい?」


オリバーの話に食いついたのは、リュカだった。オリバーはまだ親しくないリュカに話しかけられて、縮こまったけれど、なんとか話を続けた。


「うん。二人で丘のうえで星を見ていると、『あっちに見えるのはおおぐま座って星座でその奥にはたくさんの銀河がある』って教えてくれて、僕には全然見えなかったのに、ルナには見えちゃうんだ。だから、ルナが優秀な魔法使いになるっていっても、ぼく驚かないよ」


リュカはオリバーの言葉に、なるほどと何気ない顔で相槌を打ったが、これはとんでもなく面白いことになるぞと内心にやりと笑った。

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