入学式
入学式当日、一緒に学園へ行く約束をしていたオリバーを、ランテルナはハッブルベーカリーの前で待っていた。道行く人たちがランテルナの服装を見て、フクロウ学園に入学することを察し、「おめでとう!」と声をかけていくので、ランテルナは嬉しくなり、顔を赤くさせながらも、淑女らしく「ありがとうございます」と返すのだった。
通りの奥からタキシードに身を包んだオリバーが、慎重そうに歩いてやってきた。
「大変だよ、ルナ!みんながぼくらを祝ってくれる。とても嬉しいけど、はずかしいよう」
オリバーが手をすり合わせて、困った顔をするので、ランテルナはくすくす笑って、まずは、
「ごきげんよう、オリバー。私たちきょうから、フクロウ学園に入学するのだから、それにふさわしいふるまいをするべきではなくて?だから、胸を張って堂々としていればいいのよ」
と言ったため、オリバーはびっくりした顔をしながらも、ランテルナの言葉は一理あると思い、なにより堂々としたランテルナの振る舞いが格好ついていたので、丸めていた自分の背中を手で押しながらのばして、それから、
「ごきげんよう、ランテルナ」
と、せいいっぱい背伸びをしてみた。
「すごく、かっこいいわよオリバー。高貴な紳士にみえるわ!」
「ありがとう、ランテルナ。きみはもう立派な淑女だね。式典服、とても似合っているよ!」
ランテルナは自慢したくってたまらなかったので、その場でふわりと回転してみせて、その美しいワンピースを見せびらかす。
「ありがとう、オリバー!でも、あなたほどでもないのよ」
と、口では体裁を保とうとランテルナはオリバーのことも褒めた。
「えへへ、それはうれしいな」
褒められたオリバーは頭をかきながら照れて、浮かれた気持ちになったため、普段の恥ずかしがりやな性格が引っ込んで、堂々と振る舞うことができた。 それから二人は、フクロウ学園へ歩いていき、その大きな門の前で、お城のような造りの建物を見上げることとなった。
「おおきいね」
「おおきいわね」
フクロウ学園の学舎は、二人が見たことのあるどんな建物よりも大きくて、重厚な石造りの迫力があった。二人が、建物に見惚れていると、
「一年生はこちらだよー!」
と、声掛けが聞こえてきた。二人は顔を見合わせた後、フクロウ学園の門をゆっくりとくぐり、そして、声のする方へ歩いて行くと、こどもたちをどこか特定の場所へ誘導している男性がいた。ランテルナとオリバーはこの流れはどこへ向かっているのだろう、と疑問に思いながらも、誘導されるがまま、流れにのった。そうしてたどり着いた場所は、大きな両開きの扉の前で、一年生と思われるたくさんのこどもたちが集まっていた。




