式典服に見惚れる
その日の翌日、ランテルナとオリバーはそれぞれの両親を連れて、入学式の準備をするために、アンドロメダ通りを歩いた。まずは大事な式典服と制服を整えるために、ミスター・ポムの服飾店に入った。店の中はしっとりとしたミュージックが流れ、色とりどりの服が並べてある。ランテルナたちが来店用のベルを鳴らすと「いらっしゃーい」とミスター・ポムがカウンターから身を乗り出して挨拶した。
「今日はどんなお洋服をお求めかな、ピクニック用かな?お茶会用かな?それともおままごと用かな?」
ミスター・ポムが魔法でドレスを引き寄せ、これかな?これかな?と首を傾げた。恥ずかしがり屋なオリバーはランテルナの背に少し隠れながら、おずおずと言葉を口にした。
「ち、ちがうよ。今日はね、フクロウ学園の入学式の準備をしにきたんだ」
「なんだって!?」
ミスター・ポムはただでさえまん丸い目をさらに丸くさせ、驚いたように大きな声を出したものだから、これまたびっくりしたオリバーは肩を揺らして縮こまった。
「おまえさんたち、フクロウ学園にいくのかい?!そりゃめでたい話じゃないか!さっそく腕によりをかけて採寸しなくちゃ!」
ミスター・ポムはカウンターの奥に一度引っ込んでメジャーを持ってくると、ランテルナたちに前に出てくるようにいい、そして器用に身体の大きさを測り始めた。
「よし、採寸終了だ」
そしてミスター・ポムはまたカウンターの奥に入って行き、古い木箱を持って戻ってき
た。ミスター・ポムはふたりの前にかがみ、木箱を開けて中身を見せた。木箱に入っていたのは数枚のカラスの羽根で艶々とした黒色に光っていた。ミスター・ポムがそのうちの一枚をつまみあげ、そしてカラスの羽根の先が糸状になり、宙に浮かびあがって、一枚のワンピースを編んでいった。
「フクロウ学園の式典服は必ず一枚のカラスの羽から出来上がるんだ。どうだ、綺麗な黒だろ」
出来上がったワンピースがランテルナの手元に落ちてきたから、あわててランテルナは手を差し出してワンピースを受け止めた。純黒の衣が腕の中で光を吸い込んで飲まれそうなほど綺麗な輝きを放っている。
「さあ次はオリバーの坊ちゃんだな」
そういって編まれたのはタキシードで、これまたオリバーとランテルナの目を奪った。
「すごい。かっこいい。ぼくら、これ着るの?」
オリバーがなかば呆然としたように、腕の中のタキシードを抱きしめながらそう言ったから、ランテルナもこんな素敵なワンピース着こなせるかしら、と心配になって眉尻を下げた。
「だいじょうぶ!その服はきみたちのために編まれたのだから、似合わないはずがない!自信持ちな!」
ミスター・ポムが励ましてくれるけれど、不安は拭えなかった。ふたりの両親は、まあ入学式当日になればその不安も忘れて喜び着るでしょうと思ったので、何も言わなかったのだが、案の定入学式の日にはしゃぐふたりは似合ってないかもという不安など忘れているのだった。




