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異世界で喫茶なまずはじめました。  作者: カニスキー
第三章 ゴタゴタ新生活
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045 アカリ、手作りの歓迎会に感動する

045 アカリ、手作りの歓迎会に感動する


 アポロン様にいざなわれ、リコリスちゃんと、彼女に抱えられたナマズ様と一緒に、ドキドキしながらパーティー会場の扉をくぐる。

 アポロンリングのおかげで卒倒はしないものの、超絶イケメンを前に私の乙女回路はショート寸前だ。


 部屋に足を踏み入れると、そこは手作り感あふれる温かい空間だった。

 壁には野の花のリースが飾られ、テーブルには木の食器と焼き立てパンの良い香り。

 隅では誰かが優しい音楽を奏でている。

 診療所の待合室やいくつかの部屋が開放されているようで、思ったよりもずっと広い。


 たくさんの人が集まっていて、立食形式のパーティーのようだ。

 みんな思い思いに談笑したり、テーブルに並べられた料理を取ったりしている。

 まるで文化祭の準備みたいでワクワクする。


 キッチンの方では、アーサーさんが腕まくりをして大きな寸胴鍋の前に立ち、眉間に深いシワを寄せながらも、時折、味見をしては小さく頷いている。

 鍋からは、スパイシーで食欲をそそる、嗅いだことのないエキゾチックな香りが立ちのぼっていた。

 きっと、この世界の珍しい香辛料をたっぷり使った煮込み料理なんだろう。

 その隣の大きな鉄板では、分厚い肉の塊がジュージューと音を立て、表面はこんがり、中は綺麗なピンク色に焼き上げられていく。

 アーサーさん、普段はぶっきらぼうだけど、料理に関してはすごく真剣な顔つき。

 立食パーティーでこんな本格的な料理が出てくるなんて、期待で胸が高鳴る!


 ドリンクカウンターでは、見慣れない男性が大忙しだ。

 白いシャツに黒いベストというバーテンダー風の出で立ちで、筋肉質な腕でリズミカルにシェイカーを振っている。

 その手元からは、色とりどりのフルーツが飾られた、見た目も華やかなカクテルが次々と生み出されていく。

 わぁ、すごい!

 でもあの筋肉質な人、どこかで見たような……?

 気のせいかな。


 もう一人の黒っぽいシンプルな服装の男性は、黙々と会場内を動き回っている。

 キッチンからアーサーさんが焼き上げたばかりの大きな肉の塊が乗った大皿を受け取ると、慎重な足取りで部屋の中央に置かれた大きなテーブルへと運んでいく。

 そのテーブルには、すでに色とりどりのサラダやパン、見たこともないような果物が綺麗に並べられていた。

 彼が料理を並べ終えると、今度は空になったお皿やグラスを片付けたり、ドリンクカウンターのバーテンダー風の男性に新しい氷を届けたりと、本当に忙しそうだ。

 彼は、会場全体に気を配りながら、黙々と自分の仕事をこなしている。

 なんだかプロフェッショナルな感じで、ちょっとドキドキする。


 次々と出来上がる、バーテンダー風の男性が作る宝石みたいにキラキラした異世界のフルーツを使ったノンアルコールカクテルや、フワフワの泡が乗った不思議な色のジュースに、私もリコリスちゃんも目が釘付けになる。

 部屋の中央には、なぜか大きなワイン樽の上にクッションを乗せた、ナマズ様専用らしき玉座が用意されている。


 その少し離れた場所では、タモンさんが屈強な腕を組みながら、虎子さんと何やら楽しそうに談笑していた。

 虎子さんは、服屋で見た凛とした雰囲気とは少し違い、リラックスした柔らかな笑顔を浮かべている。アポロンリングのおかげで、二人の会話も「あの肉は美味そうだな」「ええ、アーサー様の料理は絶品ですものね」なんて感じで、なんとなく理解できるのが嬉しい。


 少し奥まった壁際では、ひときわ華やかなオーラを放つ美女が、優雅にグラスを傾けながらパーティー全体を見渡していた。

 アポロン様とどこか雰囲気が似ているような……?

 きっと、このパーティーの主催者の一人なんだろうな。

 すごく綺麗だけど、どこか近寄りがたいような、でも目が合うとニコッと微笑んでくれそうな、不思議な魅力がある人だ。

 あの筋肉質のバーテンダー風の人が、時々その美女のところに飲み物を運んでいるのを見ると、なんだかお店のオーナーさんとバーテンダーさんみたい。


 そして、料理が並ぶテーブルの近くでは、小さな女の子が目をキラキラさせていた。

 犬みたいな茶色い耳と、背中には小さな茶色い翼が生えている!

 わあ、本物の獣人さんだ!

 さっき、忙しそうに料理を運んでいた黒っぽい服の男性の隣にいた子かな?

 彼女は、山盛りのフルーツを前に、どれから食べようか真剣に悩んでいるみたいで、その姿がすっごく可愛い!

 時折、忙しそうにしている黒っぽい服の男性の方をチラチラ見ては、はにかんでいる。


 アポロン様がパン!と軽やかに手を叩き、部屋にいるみんなの注目を集めた。

「みんな、お待たせ! 今日の主役たちのお出ましだよ!」

 その声に、今まで思い思いに談笑していた人たちが一斉に私たち三人の方を向いた。

 わあっ!と温かい拍手と歓声が部屋中に響き渡る。

 さっきの可愛い犬耳翼の女の子なんて、忙しそうに料理を運んでいる黒っぽい服の男性の手を引っ張って、ぴょんぴょん跳ねながらキラキラさせてる。か、可愛い……!

 ひときわ華やかなオーラを放っていた美女が、少し呆れたような、でもどこか嬉しそうな、複雑な表情で私たち(主にナマズ様とアポロン様)を見ている。

「まったく、アポロンはいつも騒動を連れてくるんだから。……まあ、リコリスが無事で何よりよ。ナマズも、変な娘を召喚してどうなることかと思ったけど、歓迎するわ。アカリちゃんも、ようこそね」

 その言葉はぶっきらぼうだけど、不思議な威厳と優しさが感じられる。

 やっぱりこの人がパーティーの主催者の一人なんだ!

 タモンさんが豪快な笑い声をあげた。

「待ってたぞ、ナマズ殿!リコリス嬢もアカリ嬢も、無事で何よりだ!さあさあ、今日は存分に楽しもうではないか!」

 その声にバーテンダー風の男性も力強く頷き、アーサーさんと忙しそうに料理を運んでいる黒っぽい服の男性も、こちらを見て小さく頷いてくれた。


 突然の盛大な歓迎に、私はどうしていいか分からず、ただただ顔を赤くして俯いてしまう。

 リコリスちゃんも、少し驚いたように目を見開いていたけど、すぐにふわりと花が咲くように微笑んで、深々とお辞儀をした。

 その姿は、控えめだけど、とても綺麗だ。

 ナマズ様だけは、「うむ!主役の登場じゃ!ささ、ワシのために道を開けるのじゃ!」と、リコリスちゃんの腕の中からワイン樽の玉座へとヒレで指図し、そこにふんぞり返って、ちっとも悪びれる様子がない。

 まあ、このマイペースさがナマズ様らしいけど。


「それじゃあ、我々の新しい友人たちに歓迎の意味を込めて乾杯といこうか!彼らの新しい門出と、私たちの変わらぬ友情に!」

 アポロン様が高らかにグラスを掲げると、みんなもそれぞれのカップやグラスを掲げる。


「「「かんぱーい!!」」」


 みんなの元気な声が重なり、パーティーが華やかに始まった。


暇な時に書き溜めて少しずつ投稿しているのですが、

このまとめとか、は投稿前に書いているので眠くて仕方ないのです。

すぐ寝たいので、まとめはしばらくお休みです。

お詫びに、蜘蛛か奥様の話を一話投稿してきます。

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