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異世界で喫茶なまずはじめました。  作者: カニスキー
第二章 新しいお友達
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033 アカリ、異世界情緒を味わう

033 アカリ、異世界情緒を味わう


「す、すごい……! 何これ! マジ異世界じゃん……!! ファンタジー! やばい! 超テンション上がる!!」

 目の前に広がる光景は、まさに圧巻の一言!


 石造りのお城みたいな建物もあれば、巨大なキノコがそのまま家になってたり、キラキラ光る植物でできたお店があったり……。

 もう、テーマパークとか映画のセットとか、そういうレベルじゃない!

 本物だ!


 そして何より、歩いてる人たちがリアル!

 普通の人っぽい人もいるけど、猫耳としっぽが生えた可愛い女の子とか、全身毛だらけの狼男とか、背中に羽が生えたイケメンとか、空飛ぶ小さな妖精さんとか……!

 いろんな種族の人たちが、普通にすれ違って、普通に会話してる!

 すごい!

 ここ本当にファンタジーの世界なんだ!


 私のあまりのはしゃぎっぷりに、虎子さんがふふ、と優しく微笑んだ。

「わたくしも、初めてこちらへ参った時は、それはもう驚きましたわ。まるで夢の中にいるようでしたもの」

 その目は、どこか遠くを見ているみたいだった。

 隣を歩くアーサーさんは、眉間にシワを寄せたままだけど、その目はこちらと同じように、少しだけ驚きと好奇の色を浮かべている……ように見えなくもない。

 まあ、基本無表情だけど。


 ふと、隣にいたリコリスちゃんに聞いてみた。

「リコリスちゃんはこの辺、詳しいの?」

 すると、リコリスちゃんは一瞬、すごく悲しそうな顔をして……静かに首を横に振った。

 あ……そっか。

 何か、事情があるのかもしれない。

 聞いちゃってごめんね。

 アーサーさんも、リコリスちゃんの様子に気づいたのか、少しだけ心配そうな顔をした……気がする。


「うぉー! あれを見るのだアカリ! 空飛ぶ絨毯みたいなのに乗ってる者がおるぞ!」

 いつの間にか私の頭の上に乗っかっていたナマズ神が、興奮したように叫んだ。

「ほんとだ! すごーい! あっちの店、武器屋さんかな!? 行ってみようよ!」

「おお! 行こう行こう!」


 私とナマズ神は、もう完全に観光客モード。

 キョロキョロと周りを見渡しながら、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。

 虎子さんとリコリスちゃんが、苦笑いしながら後ろからついてきてくれる。

 アーサーさんは、やれやれといった感じでため息をつきながらも、ちゃんと私たちからはぐれないように距離を保って歩いてくれていた。

 意外と面倒見いいのかも?


 そんな感じでしばらく歩いて、虎子さんが案内してくれたのは、大きな服屋さんだった。

 中に入ると、またテンションMAX!

「うわー! 何これ! しっぽ出す穴が空いてる服がある!」

「おお! こちらは翼を出すためのスリットが入っておるぞ!」

「こっちの服、めっちゃ小さい! 小人さん用かな?」

「む! この鎧のような服は、ドワーフとかいう種族用かのぅ?」


 人間用だけじゃなくて、いろんな種族に合わせた服がたくさん!

 素材も、見たことないようなキラキラした布とか、硬そうな鱗みたいな生地とか、色々あって面白い!

 アーサーさんも、興味深そうに生地を手に取ったりしている。

 私とナマズ神は、完全に異世界のファッションショー状態。


「ねえ見てナマズさま! このエルフっぽい服、リコリスちゃんに似合いそうじゃない?」

「ふむ、確かにのぅ! じゃが、こっちの獣人用のモフモフした外套も捨てがたいぞ!」

「あー! それも可愛い!」

 キャッキャとはしゃいでいると、虎子さんがそっと声をかけてきた。


「あの、アカリさん、リコリスさん。わたくし、タモン様から頼まれた木材を買ってまいりますので、少しお店を見ていていただけますでしょうか?」

「あ、はい! 大丈夫です!」

「うむ、任せておけ!」

「それから、アーサー様」

  虎子さんは、アーサーさんに向き直った。

「もしよろしければ、木材運びのお手伝いをお願いできませんでしょうか? それに、わたくしたちが下着などを選ぶ際に、殿方がいらっしゃると、少し選びにくいかとも思いまして……」

  虎子さんが、少し頬を染めて言う。

 アーサーさんは一瞬、面倒くさそうな顔をしたが、虎子さんの言葉に何か納得したのか、あるいは私たちのお守りから解放されるのが嬉しいのか、小さく頷いた。


「"Alright. Better than staying here with this noise."」

  とか、たぶんそんな感じのことを英語で呟いた気がする。


「ありがとうございます。買いたい服が決まりましたら、選んでおいてくださいね。すぐ戻ってまいりますので、どうぞごゆっくり」

 虎子さんとアーサーさんは優雅に(アーサーさんはちょっとぶっきらぼうに)一礼すると、お店の外に出て行った。


「よーし! じゃあ、ナマズ神に似合うコーディネート、私が選んであげる!」

「なに!? ワシにか!? よかろう、センスを見せてもらおうではないか!」

 私は近くにあった、なぜかナマズ神にぴったりのサイズに見える貴族風の小さなマントを手に取り、ナマズさまに着せようとしたりして、ひとしきり盛り上がっていた。


「あ、そうだ! リコリスちゃんにも、さっきのエルフの服、試着してもらおうよ!」

 そう思って、リコリスちゃんを探して周りを見渡した。

「あれ……? リコリスちゃん?」

 さっきまで、私たちの後ろでニコニコしながら見ていたはずのリコリスちゃんの姿が、どこにも見当たらない。


「リコリスちゃん? どこー?」

 お店の中を探してみるけど、やっぱりいない。


 え……?

 うそ……。

 リコリスちゃん、どこ行っちゃったの!?


今日のまとめ

アカリ、異世界を堪能する

虎子、気を使ってアーサーを外に連れ出す

アーサー、外出ついでにお使いに動く

なまず、異世界を堪能する

リコリス、?

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