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異世界で喫茶なまずはじめました。  作者: カニスキー
第二章 新しいお友達
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026 アカリ、超絶イケメンに会う

026 アカリ、超絶イケメンに会う


 ……え? ええええええええええ!?

 ちょ、まっ、え、なに!? 光!? 光源どこ!?

 この人自体が発光してるの!?


 超絶イケメン!!!!!!!!!

 息をのんだ。いや、呼吸が止まった。

 心臓も止まった。( あ、動いた。まだ生きてる私、奇跡!)


 キラキラしてる……!

 発光してる……!

 あの人、歩くパワースポット!?

 いや違う、存在そのものが光!?

 太陽そのもの!?

 銀河!?

 ルーブル美術館の彫刻も、この人の前では幼稚園児の粘土細工レベル!

 人類が生み出したどんな芸術品も霞む!

 霞むどころか、存在が誤差!

 ピカソもダヴィンチも、この人見たら筆を折るね!

 間違いない!


 それに比べて私!

 何!?

 この、診察ガウンという名のペラッペラの布切れをまとった、しがない一般ピーポー!

 存在がバグ!

 環境汚染!

 大気汚染!

 視界汚染!

 このイケメン様と同じ空間の酸素を消費しているという事実だけで、ギルティ!

 有罪!

 極刑!

 息を止めなくちゃ!

 スーッ、ハーーッ……いや無理! 苦しい!

 ああ、今すぐミジンコになりたい!

 いや、アメーバ!

 ゾウリムシ!

 もっと小さく!

 素粒子レベルまで分解して、この場から消滅しなければ!

 イケメン様の聖なる視界を汚してはならない!

 不敬罪! 私、不敬罪!

 近づかないで!

 いや、私が消えなきゃ!

 でも動けない!

 足がガクガクする!

 膝が笑ってる!

 笑うな私の膝!

 これが神の威光!?

 それともただのイケメンオーラ!?

 どっちにしろヤバい!


 私が一人で脳内パニック大運動会を開催していると、その金髪のイケメン様――いや、もはやイケメン神と呼ぶべき存在――は、部屋の中の奇妙な面々を見渡し、ふわりと「やれやれ、面白いことになってるね」とでも言いたげに面白そうに微笑んだ。


 んぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 その笑顔、時価総額いくら!?

 国家予算超える!

 地球が買える!

 そして、優雅すぎる一歩ごとに花が咲き、虹がかかるような足取りで、私の目の前までやってくると、王子様もかくやという仕草で軽く会釈した。


 ひえっ! 近い!

 神との距離、ゼロ距離!

 鼻血出そう! いや、もう出てるかも!

 尊い! 尊死する!

 これが…これが天国…!


 "Well, hello there. Did I startle you? My name is Apollo. Just your friendly neighborhood sun god."

(やあ、驚かせてしまったかな? 僕はアポロン。しがない太陽の神さ)


 その声! ハープの音色!?

 天使の歌声!?

 いいや、それ以上!

 脳がとろける!

 魂が浄化される!

 ……え? いま、なんて……? 英語だ! やっぱり英語だ! でも、なんか、すごく優しい響き…。

 でもGODだけは間違いなく聞こえた!!

 か、神!?

 やっぱり!

 そうだよね!

 人間の造形じゃないもん!

 神様だったんだ!

 納得! 超納得! 全細胞が納得してる! DNAレベルで理解した!


 うわあああああん!

 生まれて初めて、本物の神様に会えた……! (ちらりと視界の端に入った膝の上のナマズ神は完全にスルーして。)

 感動で涙が……! ぶわっ! ダム決壊!

「あ……あわ……わわ……か、神様……! ほ、本物……! 生きてる! 動いてる! 喋ってる! うわー!」

 喜びと混乱と畏怖と感動がビッグバンを起こして、語彙力が宇宙の彼方に消え去った。

 昇天しかける。

 いや、もう魂半分くらい天に召されてる。

 残りの半分も時間の問題だ…。

 だめだ、ちゃんと挨拶しないと!

 神様に対して失礼があってはならない!

 このガウン姿はもう取り返しがつかないけど、せめて態度だけでも!


「あ、あ、アカリと、も、申します! 地球のニホンという、あの、ちっぽけな星の、その、片隅から参りました! この度は、このような、もったいなき幸せ……あの、生きててすみません! 酸素吸ってすみません! ほんとすみません!」

 もう支離滅裂。敬語と謝罪と自己否定がぐちゃぐちゃのミルフィーユ状態味噌煮込み。

 自分で何言ってるか分からない!

 そんな私を見て、アポロン様は、またキラリと太陽みたいな笑顔を向けた。

 眩しい!

 目が! 目があああ! 網膜焼ける! サングラス! 誰かサングラスを!


「アカリ、ね。よろしく」

 え……? いま、日本語……?

 さっきまで流暢な英語だったのに、私の名前と、最後の「よろしく」だけ、はっきりと日本語で……?

 なんで? どうして?

 私が日本人だって分かったから?

 それとも、何か別の理由が…?


 分からない。

 分からないけど、異世界に来て、言葉も通じないかもしれないって絶望してた私の心に、その一言が、温かい光みたいに差し込んできた。

 この神様、もしかしたら、私のこと、ちゃんと見てくれてる…?

 じわ……っと、感動が胸の奥から込み上げてくる。

 さっきまでの涙とは違う、温かい涙が溢れそうになる。


 パチンッ☆

 ……え? いま、ウインク……した?

 神が、私に、ウインク……?

 気づいた時には、私の体は完璧なまでの土下座の姿勢をとっていた。

 額を床にこすりつけんばかりの、もはやめり込ませる勢いの、音速を超えるかのような全力の土下座。

 もう、こうするしか、この溢れ出るパッションとリスペクトと処理不能な感情と、そして日本語への感謝を表現する方法が思いつかなかった。

 これが私のファイナルアンサーだ!


「……さて」

 私の奇行(?)には特に触れず、アポロン様はまるで我が家のようにくつろいだ様子で、アーサーさんの方を向いた。


  "Arthur, my friend, would you be so kind as to pour me some tea as well? Your special blend, of course."

(アーサー君、僕にも紅茶を淹れてくれないか? もちろん、君の特製ブレンドでね)


 アーサーさんは、明らかに「また面倒ごとを…」と顔に書いてあったが、諦めたように、無言で席を立った。

 それを見て、天使ちゃんが「お手伝いします」というように、さっと立ち上がろうとした。

 しかし、それを制したのはアーサーさんだった。

「いや、いい。リコリスは座っててくれ。俺がやる」

 ぶっきらぼうだけど、どこか優しい響き。(ツンデレ!? アーサーさん、ツンデレ属性持ち!? ポイント高い!) アーサーさんはそう言って、キッチンの方へ向かっていった。


 やがて、アポロン様の分の紅茶もテーブルに並ぶ。

  アポロン様は満足そうに頷くと、カップを優雅すぎる手つきで手に取り、にこやかに私たち(主に土下座している私以外)を見回した。


 "Alright then, now that everyone's here. Why don't you tell me exactly what happened to lead to this... rather amusing situation? Especially about our friend here who seems to be praying to the floor."

(さあ、これで役者は揃ったかな。いったい全体、何がどうなって、こんな面白い状況になっているのか、詳しく説明してもらおうか。特に、そこの床と一体化している彼女について、ね)


 その笑顔はどこまでも優雅だったけど、有無を言わせないような、神様特有の(たぶん)不思議な圧があった。

 私の心臓は、土下座の体勢のまま、まだバクバクと暴れ続けている。

 どうしよう、このまま土下座し続けてたら、床と同化しちゃうかもしれない…!

 でも、顔を上げられない!

 神の御前でガウン姿なんて、死んでも無理!

 しかも日本語で話しかけられちゃったし!

 もうパニック!



今日のまとめとか

アカリ、アポロンの神気×イケメン力でオーバーフローを起こす。


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