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スーパー美人インフルエンサーなのに、冴えない俺の声にだけフニャるひよの先輩  作者: 茉森 晶


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38/38

第38話 見てんじゃねぇ――――ッ!!

久しぶりな突然の更新、失礼します!


この『フニャひよ』の更新、一度終了していたんですが、

賞の応募要項だった10万字にするため、

この追加エピソードを1話作っていました。


こちらでもアップしようと思っていたんですが、

「どうせなら続きが書けるタイミングに」

と思っていたら、新作の方が時間かかってしまい……。


相方、絵描きの亜方逸樹のTwitter(X)漫画から

こちらに来てくださった方もいるみたいで、

ランキングに久しぶりに復帰していたので、

追加しておきました。


よろしくお願いします!



     *          *



 全裸の兄がいたため一度は退散した脱衣所へ、千鶴は来ていた。



「これ……どーやって脱ぐんだろ」



 若王子ツグミがチョイスし、兄が買ってくれたゴスロリドレス。


 普段ブラウスすらあまり着ない千鶴には、少しでも無理な脱ぎ方をすれば破損してしまうような恐怖感があった。



(せっかく買ってもらったけど……今後、どーゆー時に着ればいーのよ)



 おそるおそるボタンとファスナーを処理し、ようやく下着姿になる。


 デフォルトの仏頂面と成長途中の身体を鏡に映し、短い溜息をついた。



(ほんと……こんなブスッとした顔の協調性ないお子様、女子だろうと男子だろうと相手にしねーよね)



 あらためて、今日のデート見守りミッションを思い出す。


 楽しくもあったが、千鶴にとっては依存体質と決別するためのツラいイベントでもあった。



(昨日は『おにーの代わりに陽代乃ちゃんに遊んでもらう』みたいなこと言ったけど、実際そんなわけにゃいかないし。このままじゃ本格的に『ぼっち人生まっしぐら』よね)



 無理やり口角を上げ、少し首を傾げてみる。



「わ、わたし……クラスで浮いてると思うんだけど……今さらながら、友達になって欲しいん……ですよね」



(なんでクラスメイトに敬語なのよさ!)



 心の中でツッコミを入れるが、本人は本気で情けない気持ちになっていた。



「マジ今さら……無理も無理無理だってば」



 勢いよくブラとパンツをキャストオフ。


 それらを洗濯機に叩き込み、今度は全裸で鏡をニラみつけた。



「かと言って……彼氏なんて、さらに無理だし」




 浴室に入ると、プラスチックバッグに入れたスマホを専用台に取り付け、Yo!tubeアプリのアイコンをタップ。


 ホーム上部に上がってきていたサムネイル群を眺め、千鶴は一瞬固まった。



「おにー……今、リアタイ配信中じゃん」



(なんかヘンな感じだし、見ないようにしてたけど……今、本人が部屋でやってるなら……)



 5秒ほど迷った末、千鶴はそのサムネイルをタップする。



『えーと……『初コメですが、いつも超楽しみにしてます』 あ、ありがとうございます! 『このチャンネルのお陰で、不登校だった私は学校へ行けるようになりました』 ぼ、僕そんな大きな助けになりました? やっ……ありがとうございます!』



(不登校……アタシと同じような、おにーに救われた人がいるってこと?)



 ホーくんファンの一コメントに、千鶴はムッとする。



(このVtuber活動で……アタシ以外の誰かも救ってるんだ。今までずっと、アタシだけを助けてくれるって思ってたのに……)



 理不尽な嫉妬。


 理不尽(そんなこと)は千鶴自身もよくわかっていた。



「雅桜さんにはああ言ったけど……おにー依存を急に辞めれるわけじゃないんだよね」



 胸がギュッと締めつけられ、理由のない涙がこみ上げてくる。


 それにも苛立ち、丸めた体を全部沈める勢いで湯船に潜る。



(マジどーしたもんかな。雅桜さんにも『なんで話したのか』って思ったけど……助けを求めちゃってんだな)



「ぶっは!!」



 呼吸が限界になり、ザッパとハデに大波を立たせ顔を上げる。


 その高波で、浴槽の縁に置いていたスマホが台ごと水没した。



「あわぁ!!」



 慌ててスマホを救出し、パンパンと手のひらで叩いて湯を弾く。


 プラスチックバッグ入りなので中は濡れていないが、画面を触りまくってアプリは非アクティブとなり、兄の声は聞こえなくなっていた。



「……何やってんだろ」



(どーせ、おにーはアタシを救ったことなんて『当たり前』で、なんとも思ってない。そういう人だ)



「そんなおにーだから……ありがたいんだ」



 また数秒迷って、再びアプリをアクティブに。


 一瞬、映像の中心がクルクル円を描き、間を置いてDr.ホーくんが現れた。



『本当に……ありがとう。大好きです』



「!?」



 その声を聴いた瞬間、千鶴は思わずスマホの電源ボタンを押し、画面を消してしまう。



「なに今の声……おにー、なんだよね?」



(なんか、あのイケメンのアバターが別の人間として生きてるみたいな気がした。もしかして……これが『陽代乃ちゃんが聴いてる世界』ってこと?)



 兄の声を別人のように聴いてしまったことで、急に今までと違う別視点が見え、戸惑う。


 が、すぐ冷静になり、吹き出すように笑った。



「陽代乃ちゃんがハマる感覚……なんとなく解ってしまった気がするな」



(おにーがこの声じゃなかったら、アタシはずっと兄依存し続けてたのかな)



 そんな仮定は意味がないことも解っているが、繋がってきた事実の積み重ねが自分にとって必要なことなのかも、とも感じていた。



「おにーへの恩返しは……アタシがちゃんと自立して、楽しく生きることか」



 天井を見つめながら、ボーッとする頭でイメージする。


 どうしても彼氏と歩く自分の姿を想像できず、眉間にシワを寄せる。



「マジで想像つかないな。けっきょく唯一会話する男が、おにー……と……」



 言いかけて、そこでようやく雅桜の顔を思い出す。


 が、速攻で(かぶり)を振り、その勢いに湯船の中でバランスを崩しよろけた。



「芸能人な上、アタシのこと女と見てないあんな男が彼氏になる可能性なんて……-1000%でしょーが」



 兄の見守りにばかり気をとられ、千鶴自身も仲村雅桜をあまり異性として見ていなかった。


 が、あらためて思い返すと、千鶴の中にモヤモヤとムカムカが湧き起こってきた。



「いくら何でも……子供だと思いすぎじゃないの? そりゃ、いつも陽代乃ちゃんのビジュ見てるから、比較の結果なんだろーけどさ」



 湯に浸かりすぎた上、怒りの感情が増幅していた。


 冷静さを欠いた状態で、ザパッと勢いよく立ち上がる。


 瞬間、目の前が真っ暗になり、浴室にドンガラカポーンと派手な激突音が響き渡った。



「ぐは…………ッ!!」



 洗面器やらボトル類をなぎ倒し、床に尻モチをついた上、浴槽の縁で思いきり胸を打った千鶴。


 ジンジンと痛む胸を押さえながら10秒ほどのたうち回ったあと、深い溜息を吐き、天井を見つめた。



「ほんっと何やってんだアタシ……」



 あまりにみっともない自分のビジュアルに自嘲気味の笑みを浮かべた。


 ゆっくり体を起こし、胸の打ち身を確認する。


 横チチあたりに青アザが痛々しく広がっていた。



(こんな()、子供に決まってんじゃん。くそ……自ら納得させられるとは)



 せっかく女性らしくなってきた象徴だというのに、その『小学生男子の勲章』のせいで、確かに色気は半減していた。



「水着とかの季節じゃなくてよかったわ……って、そんなの行く予定もないだろーけど」



「千鶴!? 大丈夫? 開けるぞ!」


「……へ?」



 突然ドアが開き、鷹也が浴室に駆け込んでくる。


 状況が把握できず床に脚を投げ出したままの千鶴と2秒、目が合った。



「……ちょッ!!」


「ぐふッ!?」



 咄嗟に千鶴は立ち上がり、鷹也の胸を思いきり突き飛ばす。


 今度は鷹也が脱衣所でドンガラガッシャン音を立てるが、その音の途中で千鶴はドアを閉め直した。



「何なん? さっき見られた仕返し!?」


「ち、違うって! すごい音が聞こえて覗いてみたら、中で千鶴が倒れてたっぽかったから!」



(ぐッ……何それ、真っ当すぎて文句言えねーでしょーが!)



「ほんとに大丈夫か?」


「だ、大丈夫だから!」


「でも、すごい青タンが……」


「見てんじゃねぇ――――――ッ!!」



 磨りガラス調アクリルのドアをバァンと張り手。


 『おにーに見られたところでどーってことない』と『陽代乃ちゃんと比べてどー思ったのよチックショー』が脳内を高速で入れ替わり、千鶴は完全に冷静さを欠いていた。



「この年頃の妹とか、そーゆーの、めちゃデリケートに扱うべきなんじゃねーの!?」


「ご、ごめんって! でも、ほんとに心配したんだよ。救急車呼ぼうかと……」


「…………ハァー……。もーいーよ」



 どこまでも自分の心配をする兄に毒気を抜かれ、千鶴は床にあぐらを掻いたまま溜息をつく。



「てかさ、配信やってたんじゃないの?」


「ええ!? み、見てたのか?」


「……いや、サムネを見ただけだけど」


「そ、そっか。配信はさっき終わったよ。んで、下に降りてきたら風呂場からドンガラカポーンって……」



(タイミングいいのか悪いのか……)



 あらためて、我が兄の人のよさを思い、千鶴は苦笑いする。



「まーその……心配してくれて、ありがと」


「あ、うん。勝手に入って、ほんとごめん」



 脱衣所から鷹也が出て行ったのを確認し、千鶴は何度目かわからない溜息をひとつ。


 そのあと、派手なクシャミをひとつ。



(マジ情けな……。こんなの、雅桜さんには絶対知られたくない……)



 不意にそう考え、ハッとする。



(いや、別に子供だと思われよーが、どーでもいーし?)



 自然と雅桜のことが頭に出てきて、本気で動揺する。


 今のところ異性として意識してないはずなので、千鶴にとっては本当に不本意だった。



(第一印象悪い男子が結局気になるとか……漫画やドラマの話だっての。現に、おにーと陽代乃ちゃんは……)



 確かに(たかや)らは、お互い印象いいままの幸せバカップル。


 だが、漫画ドラマだろうと、現実だろうと、そんなにうまく行かないのが人間関係。


 鷹也&陽代乃でも、これからどうなるかはわからない。


 さて、千鶴の初恋の行方は――



「へくちっ!! う……もっかいあったまろ」


ゴールデンウィークが始まりますね……

私は何もなく、ひたすら新作の方をガシガシ書く予定です。


GWの移動中や、のんびり読書する予定の方に見てもらえれば、

ということで、新作


『ぼくはエルフ王 ~隠居して趣味で刀作りにハマってたら、いつのまにか創剣神と呼ばれてた~』


をアップしていこうかと思っております。


考えすぎ、よくない方で凝りすぎてしまうようなので、

勢い重視な、楽しいキャラクター&物語にしたい!


こっちとジャンルは違いますが、

よろしければ見に来てください!

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