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第23話 やっぱモテるじゃん!

昨日、日間ランキング3位(現実恋愛)(連載中)をいただきました!

ブックマーク&『☆評価』を押してくださった皆様のお陰です。

今後とも、鷹也・陽代乃たちをよろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

雅桜の、シンプルすぎる服チェンジです笑



「はい、お待た! ど~です? コレが正解でしょう!」

「お、おお……」


 試着室から出てきた雅桜の装いは、さっきまでの極道コーデから一転、爽やかな風をまとっていそうだった。

 スリムめのデニムパンツ・薄いブルーのTシャツに白シャツを羽織った、実にシンプルなスタイル。

 だが、インテリヤクザと言われていた眼鏡が、まるで違う印象のイケアイテムに見えていた。


「へぇ~、いいじゃん! めちゃシンプルだけど『これしかない』って感じだね。がおー氏じゃないみたい!」

「む……そうか? こんな服装、芝居でも着るし……特別ではないと思うが」

「いえいえ、ちゃ~んと全部イイモノですよ! まぁ、高身長男子は小細工ナシがハマりますからね~」


 『やれやれ』と溜息をついた雅桜は、ふと千鶴の視線に気づく。


「何だ、小埜千鶴。今度は何に見える?」

「え? あ、いや……」


 凝視していたことを誤魔化すように視線を下げ、千鶴は数秒のシンキングタイムの後、口を開いた。


「きゅ……休日のホスト?」

「なんだと。もはや、どんな格好でもケチをつけようという固い決意があるのか」


 確かに、無理やりイジリに行く芸人のようで、千鶴は少し気まずさを覚える。


「はいは~い、最後は千鶴さん? ですっけ? お着替えしましょうね~!」

「やっ、アタシはマジでいいんで……。変装とかイメチェンとか必要ないんで」

「なら、関係無く似合う服着せちゃいま~す! あーしにおまかせ!」

「い、いや、マジでマジでマジで…………ちょっ!」


 最後のひとりとなった千鶴も試着室へ。

 並んで立つ鷹也と陽代乃は、同じタイミングでホッとしたような溜息をついた。


「なんか……あの若王子さんって人に全部持ってかれてる感じだね」

「はは……自分も【ぴよ子っこチャンネル】のフォロワーですけど、ああいう陽キャと普段は接する機会ないんで、圧倒されちゃいますね」


 困ったような笑みを浮かべる鷹也に、陽代乃は我慢できず唇を尖らせる。


「てか、それより! やっぱモテるじゃん! いっつも謙遜するけど、私の言った通りじゃん!」

「あ……いやいや、あんなのただの営業トークですよ」

「そうだったらいいけど……そんな甘いこと言ってられないよ! イイ子だし、メイドだし、ちっちゃくて可愛いし、セクシーだし!」


(なかなかストレートに信じられないけど……キッチリやきもち焼いてくれるんだよなぁ。どう考えても、心配する役は俺の方なんだけど)


「今の鷹也くんもカッコいいけど……あの子が見立てた服なんだもん。複雑だなぁ~」

「そう言われましても……あはは」


 困り半分・喜び半分で鷹也が頭をかいていると、雅桜が陽代乃の頭をペシッと叩いた。


「あいた! な、何すんの~?」

「小埜鷹也にそんなことを言ってるが、陽代乃(じぶん)が伊住隼介に狙われている件はちゃんと話したのか?」

「あうっ…………」


 一瞬、うらめし顔で雅桜に目線を送る陽代乃。

 だが、すぐ観念したように肩を落とす。


「な、何ですか? 伊住隼介……あの【ズミシュン】? 狙われてる???」

「えーと…………じ、実はね……」


 昨日起こったばかりの事件を、簡潔に説明する。

 もちろん『処女?』発言などは封印して。


「そんなことがあったんですか。ズミシュンが……ひよの先輩に……」


(こういうことを予想してなかったわけじゃないけど……さすがに驚くな。そこまでのスーパー芸能人の名前が出てくるとは)


「鷹也くん? 私、なんとも思ってないからね? なんなら、話してイメージ超悪くなったし! がおー氏からも釘刺してもらう予定だし!」


 陽代乃は涙目で訴える。

 男装している今、超絶イケメンがうるうる目を潤ませているようで、鷹也は少し妙な気分になる。


「さすがに……付き合うことになったその日に心変わりされてたなら、最速記録すぎて呆然としちゃうかもですけど」

「 な い か ら ! ! 」

「あはは……わかってますよ。心配してません。ひよの先輩を信じてます」


 柔らかく微笑んでそう言う鷹也に、陽代乃はクラッと来てしまう。

 が、『今はダメだ!』と踏ん張り、鷹也の目を見つめた。


「ハッキリ『狙ってる』的なこと言ってきたわけじゃないんだけどね。がおー氏は、陽代乃(わたし)が目的で雅桜(じぶん)に近づいてきた……って」

「なるほど……。やっぱり芸能人だし、有名人同士で付き合えると思うんですかね」

「ね! 動画で見てるだけの人が本気でそこまで思ってるとしたら、めちゃ怖いな~! って」


 鷹也に誤解されないため、ズミシュンをストーカークラスまで下げようと必死な陽代乃。

 もちろん、セクハラ発言があるので、それくらいの嫌悪感も仕方ないことだろうが。

 そんな陽代乃に、雅桜がボソッとクールにツッコむ。


「【Dr.ホーくん】の動画でガチ恋していた陽代乃も似たようなものだったんじゃないか?」

「ちょ、ちょっとぉ――――ッ!!」


 陽代乃が慌ててパタついたその時、試着室のカーテンがタイミングよく開いた。


「じゃじゃじゃ~ん! あーし、この子はコレって決めてました~!」


 ツグミに背中を押され、嫌がりながら現れた千鶴の装いは――


「わぁ……ゴスロリ系! 千鶴ちゃん、めちゃめちゃ似合う~!」


 フリルマシマシの純白ブラウスに、セピアブラックのジャンパースカート。

 髪は下ろされ、巻き髪に。頭にも胸にもしっかりリボンが着いている。


「ピンクのメッシュがあるし、ちょい地雷寄りメイクが似合うかなって。まぁ、若いからあんま濃くならないようにしてますけどね~」

「うんうん、マジでいいバランスだと思う! 千鶴ちゃん、どう?」


 ずっとうつむき押し黙っていた千鶴だが、陽代乃に問われてやっと口を開いた。


「こんなの……アタシに似合うわけないって」

「ふっふっふ……千鶴さん、残念ながらアナタ、ほんっと~~~に似合ってます。こればっかりは私が手を出せないジャンルだなぁ~」

「…………うう~」


(千鶴がこんな風に照れてモジモジしてるの……なんだか昔を思い出すな。あの頃はもっと素直でわかりやすい可愛さだったんだけど)


 盛り上がる陽代乃、しみじみする鷹也の後ろで、雅桜はいつもと変わらぬ仏頂面で立つ。

 が、その顔を見て、陽代乃はニヤ~ッと悪戯っぽい笑みを浮かべた。


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