ミコトの父親
翌朝、アスカが目を覚ますと自身が手元に持っていた魔法瓶が失くなっていたことに気づき、ほら穴の中をくまなく探したが、当然 見つかるはずもなかった。魔法瓶が見つからず途方に暮れているとミコトがポーンと肩を叩いた。ミコトも彼女なりにアスカに気を使ったのだろう。そう考えると、アスカは不思議と元気が湧いてきた。そして、アスカはミコトを連れて“コムギ湖”へと向かっていった。
アスカ達がコムギ湖へ向かっている道中、雑木林が生い茂っている道を歩くこととなり、その途中で魔神のメンテナンスをしている犬の獣人に遭遇した。獣人はミコトの姿を見るや、真っ先にミコトの元へと駆け寄ってきた。
??「ミコト…。ミコトじゃないか!」
ミコト「アンタ誰?」
??「ワシは品木斎。訳あって今は犬の姿になってしまったウラ」
ミコト「もしかして、父上…!?」
品木斎「そうじゃ。ワシは君の父さんだウラ」
アスカ「ミコトのお父さん!?信じられないよ!」
品木斎「本当だウラ。ワシはワルサーを倒すために一人で旅に出たのだが、返り討ちにあい、犬の姿に変えられてしまったウラよ」
ミコト「キャハハハハ!犬になった父上、可愛いいのだ!」
アスカ「ミコトは信じるのね…」
その後、アスカ自身もワルサー討伐の旅に出ていることを品木斎に告げ、アスカ達はコムギ湖へと向かっていった。その際、品木斎からコムギ湖は今、昆虫一族の次男である“ゴッキー”が独占しており、コムギ湖を水源にしている周りの村々が非常に難儀していることが告げられた。一通り話し合った後、品木斎も魔神の調整が終わり次第、自身もコムギ湖へ向かうつもりでいることをアスカ達に伝えた。
コムギ湖の近くには大きな屋敷が建っており、その屋敷にはゴッキーが住んでいた。今日も、ゴッキーは部下のハリキントンに屋敷の掃除を強要させていた。
ゴッキー「良いか、今日も隅々まで綺麗に掃除するのだ!ホコリ一つも残すんじゃないぞ!」
ハリキントンはいつもの様に渋々ながらゴッキーの屋敷を掃除していた。すると、そこへゴキブリがゴッキーの元へ飛んできた。
ゴッキー「ギャアアアアアッ!!ゴキブリだ!!コレでも食らえ!!」
ゴッキーはゴキブリに向かってマシンガンを乱射した。流れ弾がハリキントン達にも飛んできてしまい、彼らはたまらず一目散に逃げ出した。しばらくして、ゴキブリの姿が入なくなった為、ゴッキーはマシンガンを射つのを止めた。そこへ、ハリキントンの一人がゴッキーに報告をしに来た。
ハリキントン「ゴッキー様、アスカ達がコムギ湖二向カッテイルトノ事デス」
ゴッキー「アスカだと…!?」
アスカ達はコムギ湖へとたどり着き、湖の真正面にほこらが建っていることに気づいた。アスカ達はほこらの中へ入り、ほこらに祭ってある“変化の杖”をくまなく探したが結局見つからなかった。
??「幾ら探してもムダだぜ!」
ほこらの入口から声がした。
アスカ「誰だ、お前は…!?」
??「私の名はゴッキー。昆虫一族の次男坊だ」
アスカ「やいッ、ゴッキー!今すぐにこの湖を明け渡せ!周りの村人達が困っているじゃないか!」
ゴッキー「こんな綺麗な湖を人間に使わせるなんざもったいない。私がずっと大切に使ってやるよ」
ゴッキーがそう言うとアスカは剣を構えた。
ゴッキー「何!?この私とやり合おうってのか…。白狼丸なしでどう戦う気だ?」
アスカ「やはりお前らが魔法瓶を…!?」
ゴッキー「そうだ。ワルサー様の側近がお前の魔法瓶を奪い取ったのだ。ついでに言うと、お前らが探している“変化の杖”はパパの手元にあるぞ」
アスカ「くそーッ!何てことだ…!」
ゴッキー「へへへ…。アスカよ、お前は私の魔神で相手をしてやろう」
アスカ達の眼の前に巨大な魔神“バトルガンナー”が現れ、ゴッキーは自分の魔神に乗り込んだ。
アスカ「セコい戦い方しやがって…」
ゴッキー「嫌なら逃げてもいいんだぞ」
アスカ「魔神が失くったって諦めるもんか!来い!」
アスカは再度 剣を構えた。
ゴッキー「生意気なガキめ!この魔神で踏み潰してやる!」
バトルガンナーが一歩踏み出した時、別の魔神が敵の魔神に迫ってきた。
ミコト「父上ッ!!」
アスカ「品木斎さん!!」
2人共、嬉しそうな声を出した。
品木斎「今さっき、魔神の整備が終わってアスカ達を追ってきたウラよ!どうやら、間に合ったようだウラ!」
ゴッキー「何だ、貴様は!?」
品木斎「ワシは品木斎。お前の相手はこのワシがするウラ!」
ゴッキー「ふんッ!白狼丸以外の魔神など恐るるに足らんわ!」
バトルガンナーは右手に持っているマシンガンを乱射した。味方の魔神である“棒棒鶏”はこの攻撃にたじろいだ。
ゴッキー「大した事ないな…」
品木斎「そう言ったセリフはこの技を見てから言うウラよ。秘技!!白丸幻術!!」
棒棒鶏は周りの景色に溶け込んだ後、全く姿が見えなくなった。
ゴッキー「くっそー!!どこへ消えやがった!?」
バトルガンナーはマシンガンを乱射したがどれも当たらなかった。
品木斎「全然、当たっとらんウラよ」
バトルガンナーはまたマシンガンを乱射したが、またしても当たらずじまいである。
品木斎「どうした、もう終わりかウラ?」
ゴッキー「う~む、こうなったら…」
ゴッキーは魔神に装備されているセンサーを使ってみることにした。すると、センサーは敵の魔神の位置を表示した。
ゴッキー「隠れんぼはもう終わりだ!!」
バトルガンナーは棒棒鶏に向かってグレネード弾を発射した。グレネード弾は棒棒鶏に命中し、棒棒鶏の透明化が解けたと同時にその場に倒れてしまった。
ゴッキー「へへへ。このダブルマガジンで蜂の巣にしてやる!」
バトルガンナーは両手に持っている2丁のマシンガンを棒棒鶏に向けた。魔神がマシンガンを発射しようとした時、一匹の虫が飛んできた。
ゴッキー「貴様はさっきのゴキブリ…!?まだ生きてやがったのか!!」
ゴキブリはバトルガンナーの元へ飛んでゆき、奴の顔に止まった。
ゴッキー「ギャーー!!汚い!!こうしてくれるわ!!」
バトルガンナーは自身の顔に向けてマシンガンを発射したが、その直後、バトルガンナーから火花が走り、そして壊れてしまった。
ゴッキー「ひーん!!動かないよ〜!!」
品木斎「今だウラ!秘技!!天津雷撃弾!!」
棒棒鶏の右手から雷の玉が発せられ、バトルガンナーに向かってそれを投げた。雷の玉はバトルガンナーに命中し、魔神は雷撃をモロに食らった。
ゴッキー「ギャアアアアア…!!!」
バトルガンナーは雷撃を食らった後、爆散した。
「うわ〜ん!!!体が汚れたー!!!」
ゴッキーは宙高く飛んでいった。
品木斎はアスカ達と共にワルサー討伐の旅に同行することにした。
ミコト「可愛いイヌさんが仲間になって嬉しいのだ!」
品木斎「ワシゃ、犬じゃない!君の父親で人間だウラ!」
品木斎が吠えるとミコトはボールを取り出し、それを投げた。
ミコト「取って来ーい!」
品木斎「楽しーーーい!!」
品木斎はボールを追いかけて行った。
アスカ(やっぱ、犬やんけ…)