電波塔の番人
ワルサーが居座っている魔神殿ではドクがグズリーと話のやりとりをしていた。
グズリー「ドク。ブロックンの奴はやられたそうだな…」
ドク「申しわけありません。私の力不足で…」
グズリー「よし。今度は昆虫一族のサポートをしろ。アスカを必ず倒せとのワルサー様のご命令だ。望みを叶えたいのなら任務を果たせ」
(町の皆んなの為にもやるしかねぇんだ)
ドクが神妙な顔をしているところに、ドクと同じく、オウムのような顔つきをした鳥人の子供が近づいてきた。
??「ずい分とご苦労なことだねぇ」
ドク「真紅様!また朝寝坊をして…!」
真紅「ちょっと夜中までTVゲームを…」
ドク「はしたないぞ!!」
真紅「ふんッ!ワルサー様はそんな口うるさいことは言わないよ!」
ドク「それより、俺はアスカを倒しに行く。町の民の為にもな…」
真紅「僕はずっとこの姿のままでもいいけどな…。何なら、僕がアスカって奴を倒しに行こうか」
ドク「余計なマネはしないで下さい!!」
ドクは声を荒げた。
一方、アスカ達はドクの案内で“コムギ湖”へ向かうことにした。
ドク「ワルサーの奴はランド国の外れの『魔神殿』に居座っている。そこへ向かうには商業都市“カース”にある関所を通らなければならない。ただ、カースの民は皆 ワルサーの魔力で鳥の姿に変えられてしまったんだ」
アスカ「何ということを…!」
ドク「カースの民を元に戻すには、コムギ湖のほこらに祭られている“変化の杖”を使う必要がある。アスカ達よ、コムギ湖へ案内してやるよ」
コムギ湖へ向かう途中、ミコトが道案内への礼としてアメ玉を3つくれた。アスカ達に優しくされる度にドクは浮かない感じになってしまう。
(俺は心のどこかでアスカ達との生活が楽しくなっており、アスカ達と本当に仲良くやっていけることを望んでしまっている。だが、俺はアスカを殺らなければ…)
アスカ「どうしたの?ドク。浮かない顔して…」
ドク「何でもねえよ」
一方、トウガラシティの外れには大きな屋敷があり、そこにはワルサーの配下達である“昆虫一族”が住んでいる。屋敷の広間には、昆虫一族の長である“ヘラクレス”の呼び出しで子供達が集まっていた。
ヘラクレス「グズリー様からワルサー様に楯突いているアスカを倒せとの命令が下った。いいか、我々の手でアスカを必ず倒すぞ!」
ダンゴーム「面倒臭いわね…」
ヘラクレス「何言ってやがる!アスカを倒せばワルサー様からほうびがたんまりもらえるのだぞ!」
息子達「ほうびか…」
子供達はまんざらでもない笑みを浮かべた。
アスカ達はコムギ湖へ向かう途中、ヨーガ村へと立ち寄ったが、その村では村人達がおかしな動きをしていた。
ミコト「皆んな“でんぐり返し”をしている。変なの」
アスカ達が村人達のおかしな動きをしばらく見続けていると、村の子供がアスカにぶつかった。
子供「ごめんなさい!!」
アスカ「いいよ。それより、何で君達はそんなおかしな動きをしているんだ?」
子供「こうなったのはこの辺りを支配している“昆虫一族”のせいなんだ」
アスカ「昆虫一族!?」
子供「奴らはワルサーの手先でな…。一族の末っ子のダンゴームが村の外れに鉄塔を建てて、鉄塔から発せられる電波によって“でんぐり返り”での移動しか出来なくなってしまったんだ」
アスカ「ふーん。それは大変だな」
アスカ達の近くにあったベンチでは男がうなだれた感じで座っていた。
村人「ウエ〜〜〜〜〜ッ!!転がって移動してたら気持ち悪くなったよー」
(これは、何としても昆虫一族の奴らを倒さなくては…)
屋敷ではヘラクレスがダンゴームを呼び出ししていた。
ダンゴーム「何の用?パパ」
ヘラクレス「さっき、ドクから報告があってな。アスカ達は電波塔に向かっているとの事だ」
ダンゴーム「電波塔に…!?」
ヘラクレス「だが、あの塔にはブルーバードが待ち構えている。アスカはそこでやられることになるだろう」
アスカ達は村人が言っていた電波塔へと向かい、そこへたどり着いたが、案の定ブルーバードが待ち構えていた。
アスカ「アイツはこの前の…!」
(アスカ、アンタに恨みはねぇがここで消えてもらう)
一方、アスカは魔法瓶を空に掲げ、白狼丸の名を叫んだ。すると、白狼丸が現れ、アスカは白狼丸に乗り込んだ。