救世主の旅立ち
『十二大国』の一つである「ランド国」はワルサーとその部下達の圧政に苦しめられていた。そんな中、ランド国の辺境の地にある「パリー村」では長老夫婦が自分達の家に村人達を集め、話し合いをして一つの結論に達していた。
オババ「ここはアスカを呼んでワルサーを討伐させるしかないね」
村人A「アスカをですか…」
オジジ「何しろ、アスカの家には『白狼丸』と呼ばれる魔神が保管されているからのう」
村人B「白狼丸…?それは頼もしい」
一方、アスカは友達と一緒にサッカーで遊んでおり、5時過ぎに帰宅してきた。
母「アスカ。また門限過ぎてるでしょ!」
アスカ「ゴメン。ゴメン(平謝り)」
母「まあいいわ。とりあえず手を洗ってきなさい。今日はビーフシチューよ」
アスカは母の言う通りに洗面場へと向かった。
母(…でも、ああいうんわんぱくな所は“男の子”っぽくて良いのよネ)
しばらくたった頃、村の者達がアスカの家にやってきた。
村人A「アスカよ。『魔法瓶』を見せてほしいのだが…」
アスカ「魔法瓶…?」
「魔法瓶」というのは、家の地下に保管されている“魔法のランプ”のようなモノであり、小さい時、魔法瓶を勝手にイジって親にキツく叱られた事を思い出した。
村人B「長老達がぜひ、魔法瓶を見せてほしいとの事だ」
長老達がどうしてもということなので、母は仕方なく地下に閉まってあった魔法瓶を村人達に見せたかと同時に村人達はアスカを担いで彼を長老の家へ連れていった。
アスカ「何なんだ 一体…!?」
オババ「突然じゃが、今からワルサー討伐に向かってほしいのだ」
アスカ「僕が!?」
オジジ「何故なら、アンタの家には魔法瓶があるからじゃ」
アスカ「魔法瓶?」
オババ「そうじゃ。その魔法瓶には『白狼丸』が収納されているのだ」
確かに、アスカの祖先は「白狼丸」という魔神に乗って敵と戦っていたことは親から再三聞かされていた。
オババ「君も知ってると思うが、魔神から現れた魔王“ワルサー”によって我が国の平和は脅かされてしまったのじゃ」
オジジ「ワルサーに支配されてからはこの国の人達は非常に難儀しておる」
アスカ「それで、僕が白狼丸に乗ってワルサーを倒しに行けという訳だな……」
オババ「その通りじゃ。やってくれるか?」
アスカ「…僕、やるよ」
オババ「辛い旅になるぞ」
アスカ「ハイッ!」
ただ、アスカの両親は長老達の申し出には乗り気ではなかった。
母「本当にワルサーの討伐に行くの?」
アスカ「うんッ!」
母「辛い戦いになっても……」
母親はオババと同じことを言ったが、
アスカ「でも、ワルサー達の奴らに苦しんでいる人達は放っておけないよ」
その後も母とアスカの話し合いは続いたがアスカの決意は固かった。
母「仕方ないわね……」
翌日の朝、アスカはワルサーの討伐に旅立っていった。