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戦国思想 現代思想でチート無双  作者: piko
第1章 違いの理解
9/10

絶対とは

うし、じゃあ反論してこう。これも法律を作るためだ。AIなんて言ったって理解するのが難しいだろうから、できるだけ分かりやすいように説明しよう。


「まず、ほとんどの人が俺の絵を木と認識出来ることについてだな。これは人が理性で絶対的なものを認識出来てるからという理由じゃない」

「そのほかに何がある?」

「単純なことだ。いろいろな木の共通の特徴を無意識のうちに整理して木っていう概念を作り上げてるだけに過ぎない」

「話の腰を折ってすまないのだが、無意識ってなんだ?」

「無意識か意識とは関係なく働いちゃう意識のこと。呼吸とかだ。話を戻すぞ?」

「何か時代が変わりそうな言葉を聞いた気がするぞ?」


時代が変わりそう?無意識で?んな馬鹿なことがあるわけw


「うし、話を戻すぞ。で、さっき俺の木が下手だって言ってたよな?それも意味を理解出来たぞ。俺はイラストっぽい木を書いた。イラストっぽいっていうのは、俺の故郷で言う、全世界の人が見ても木って分かるよね?的な?一目でわかる的な?感じだ。たが、この島にいる人は自分の島に自生する木しか知らないから、俺の概念である木とリーベの概念の木に差異があった。それで、俺の書いた木を下手だと言ったんだ。もしかしたら、本当に下手なのかもだが。」


うーんと悩むリーベに


「まぁ、とにかく生まれや育ちによって木という概念が異なってくるから絶対的なものじゃないよな。」


絶対的なものってあるわけないんだから。


「なるほど、一理ある。だが、それは木に限った話だ」


ほう?


「三角形だ。三角形なら生まれも育ちも関係なくないじゃろ?」

「まぁ三角形は定義の上に成り立ってるからな」

「完璧な三角形を見た事はあるかの?」

「完璧というのは?」

「誤差が一切のない三角形じゃよ」

「んー、いまいち分からん」

「例えば今わしが三角形を書くとする。しかし、完璧な直線は描けないじゃろ?だから完璧な三角形は書くことが出来ないんじゃ」

「だからなんなんだ?」

「わしらは不完全な三角形しか見たことないってことじゃよ。完璧はどっかにある。善もそれと同じ。完璧な善があるからそれに近づけ続けるのがわしらの仕事よ」

「同じじゃない。三角形は確かに絶対的な定義を持っている。だって、その定義を満たすものを三角形っていうんだもの。だが、善は絶対的な定義を持ってないだろ?全くの別物なんだよ」


リーベは完全には納得出来ていないようだが、絶対的なものが無いと言う側の理屈は理解してくれただろうか。


「法律は確かに性悪説という考えから産まれた制度かもしれない。だが、法律自体が性悪説に基づいてる訳でもないし、そもそも悪ってなんやねんって話だし。性善説を否定するものでもない。」


じゃあ、法律とはなんなんだ?とリーベが尋ねてくる。法律とは?難しい問題だ。


「法律とは何かそんなもんは知らん。だが、法律は、多様な世の中を1つにする力をもつ。」

「多様な世の中を1つに……」


リーベに響いたかな。これで法律の重要性を理解してくれればいいんだが。あれ?法律がどれぐらい重要かは話してないか。ずっと、絶対的か相対的かの話をしてたな。


「お主の考え十分に理解した。わしの思考も凝り固まってたのかもしれぬ。して、具体的な法案はあるのか?」


理解してくれたようで何よりだ。具体的な法案か。現代社会で生きてきた身としてはたくさんの法律を見てきたからな。余裕だろw


「まず、窃盗をした者は「10年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」だな」


ふふんと胸を張る。だが、リーベの顔は晴れなかった。


「まず、懲役にできるほどの財力があるか分からん。」

「なるほど?」

「あと、牢屋も作らなければならんの」

「そうだね」

「あと、50万円とはいくらだ?」

「え、いや、50万円は50万円だよ?」

「どうやら通貨が違うようじゃの」


いやまぁ、確かにそうなんだけど、そこはご都合主義的な何かでどうにかなんなかったのかぁ?と嘆いた。前途多難である。


「ふむ、この島にはこの島の文化があるし、通貨がある。じゃあこんなのはどうじゃろ?」


とリーベは提案してきたのは、俺にとってはトリッキーなものだった。


「制家に行ってこい」


いや、なんで敵地に俺を放り込むんですかい?死にたくないよー!やだよー!そう思うがリーベは意見を曲げない。それどころか、笑いながら


「大丈夫じゃよきっと。わしらが助けた礼をアイツらは覚えとるだろうし、わしらは愛家。攻めることだけは絶対にしないと信用を得ておる。だから、1番外交している家でもあるんじゃぞ?まぁ、国内と比べれば小規模になってしまうんだがな」


なるほど、経済が活発なのはそんな理由が。愛家の思想は意外と政治的に役立つのかもしれない。でも、1人は心細いなぁ。


「俺1人で行くのか?」

「いや、ハル、サミー、シュリセその3人と一緒に行ってきなさい。ハル、サミーは相当戦力になるはずじゃ。シュリセは責任もってコウジ、お主が面倒を見るのだ」


まじか。俺の日々が激動すぎる。


「制家の法律は相当厳しいと聞く。法律に違反しないよう気をつけながら、法律のことを学んできな」

「いや、待ってくれ。法律を知らないのに守ることは出来なくないか?」

「そうじゃな。商人なら詳しいかもしれんぞ?掛け合ってみるといい」


えぇ、お抱えの商人とか読んでくれないのか。


「あと、これをお主に預ける」


そう言ってリーベは木の根っこが絡まったような見た目で、上の部分には白く透明に輝く鉱石的なものがはめられた、中ぐらいの大きさの杖を取り出した。


「お主、魔力を持っておらぬだろ?」


ぎっ、ぎぐ!な、何故それを!?てか魔力持ってないのか。最悪だぁ。


「大丈夫だ。わしぐらい近距離魔法に長けてなきゃ気づかないだろうさ」


魔力持ってないって相当異端らしいからな。比較的バレずらいなら安心である。


「ほら、受け取れ」


そう言われて、杖を受け取った。


「この杖は魔法の貯蓄に特化している杖だ。自動的に魔力を回復するから、魔力のないお主でも魔法が使えるだろう。」


めちゃくちゃ有難い!これで魔法が使えるわけだ。だが、どうやって魔法を出すのだろうか?どんな魔法まで使えるのか。今後の成長が予測できないや。成長をやめない男だぜ俺は。


「ちなみにどうやって使うんだ?」

「まず魔法をイメージする。それを言葉にする。これだけじゃ」


いや、だとしたら修行とかの意味がなくなりますやん。


「ただ、イメージを最適化することと、イメージした道理に魔法を出せる器用さがいる」


めちゃくちゃ修行が入りますやん。ただイメージするだけじゃなくて、最適化されたイメージが必要なのか。


「まぁ、まずは打ってみようじゃないか」


そう言ってリーベは来いと言ってきた。いやいや、


「ここ部屋の中、リーベ。最悪やべぇ事になるって」

「魔力を貯蔵できると言っても、大した量では無い。大丈夫だ」


これで爆〇魔法とかをイメージしたらどうなるのだろうか?めちゃくちゃ気になるが、やばそうなので後で試そう。


イメージか。めちゃくちゃファンタジーな魔法をイメージしたら最適化が出来てなさそうな感じではある。だから、銃を打つ感じをイメージしよう。マシンガンとかではなく、ピストル。リーベに向けて。


「じゃあ行くぜ。全力の10分の1!喰らえ!」


俺のイメージではピストルの引き金を引いた。だが何も起きない。






「言い忘れておった。言葉も最適化しなければならぬ」


そういえば、「黒よ」とか言ってたな。



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