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戦国思想 現代思想でチート無双  作者: piko
第1章 違いの理解
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思想とは

おばちゃんに縄を切ってもらった。感謝しなければ。


「すみません!助けていただきありがとうございました!本当に助かりました!」


精一杯感謝の気持ちを伝えられるよう、感謝の言葉を紡ぐ。だが、おばちゃんから返ってきたのは予想外の言葉だった。


「ふむ、敬語を使うか。そして、感謝を礼として表してる。貴様、礼家のものだな?」


おばちゃんが鋭い推察をする。まぁ、間違っているんだが。どうやら、礼家(れいか)?のものと間違われているらしい。たしかこのおばちゃんは、愛家(あいか)のリーベだったよな?どうやら、この世界は〜家の〇〇と名乗るのが文化らしい。郷に入っては郷に従え。俺も同じく名乗らせて頂こう。



「いえ、礼家じゃないです。俺は中江家の考子です。」


推察するに、〜家が苗字、その後名前だろう。俺ってば、異世界適性が高いんだなぁ〜。そう思ってにやにやする。だが、おばちゃんは何か考え事をしているみたいだ。


「中江家というのは聞いたことがない。」


きっぱりおばちゃんが言う。まぁ、無理もない。今来たばっかだからな。


「自分も急にこんな所に飛ばされてびっくりしたんですよ」

「急に?詳しく聞かせな」


だがその前にと、おばちゃんは後ろに振り返って、指を指した。その指の先にあったのは木で作られた馬車であった。馬車を見た瞬間、何が馬車を引いているか気になって馬車の隣を見たが、普通に馬だった。異世界と前世界?は親和性があるんだなって思った。


馬車に向かいながら、ドア開けたら全く知らない場所にいた事、そしたら、でけぇカエルに食われそうになってシュタールとか言うやつに助けられたこと、生贄にされそうになった事を話した。ちなみに、念には念を入れて、異世界転移については話さなかった。触らぬ神に祟りなしってね。おばちゃんは神妙な顔つきをして、言葉を発した。


「転移したのは、恐らく自然現象だ。たまにある。」


衝撃の事実である。どっちかというと日常茶飯事的な事なのか。


「でかいカエルはビックゲコーって呼ばれとる」


なんか聞いたことあるな。あ、カラオケ屋だ。


「ゲコー害を引き起こすから厄介な奴だ。」


ゲコー害?俺の疑問を感じ取ったのかおばちゃんが補足してくれる。


「ビックゲコーが群れをなし、縦横無尽に暴れ回るだ。あいつは雑食じゃけ、なんでも食う。しかし、お主はどこから来たのだ。ゲコー害は各国手をやいているちゅーに」


呆れられてる?どうやら俺は世間知らずだったみたいだ。


「生贄は、軍家の特徴的な習慣だ。バカバカしい。」


生贄については相当イライラしてるらしい。下を向いて貧乏揺すりをしている。


「そうなんですか、なるほどです」


どうやら今までの常識はあまり通用しないみたいだ。とか思っ待てたら、おばちゃんは俺の事を睨んでる。え、怖ぁ


「お主…」


「は、はい!」


俺なんかしたか?全く心当たりないんだが。常識知らなすぎて、怒られんのかな?


「敬語はやめてもらおうか」


距離の詰め方が陽キャの先輩じゃん。敬語好きじゃないのか?聞いてみるか。


「敬語が嫌いなのか?」


んん。やっぱりしっくり来ないな。こんな目上の人で、恩人に敬語を使わないのは少々失礼な気がするな。


「私たちは愛家だ。敬語など気に使うのは、軍家と礼家だ。あんな形式的なもん、バカバカしい。」


どうやら、愛家とか、礼家とかは組織の名前っぽいな。信じている宗教的差異ということだろうか。ちなみになんで助けてくれたんだろうか?聞いてみるか。


「ちなみになんで助けたんだ?」


にっこり笑って答えた。


「困ってたからじゃよ」


さも当然のように。めちゃくちゃ感銘を受けた。だってそうだろう?生贄とか言ってる時代だぜ?こんな優しさがあるなんて。


おばちゃんに目を輝かせていると、おばちゃんはそろそろかと言って立ち上がった。


「わしはやることが残っておるのでな。お前は、今の思想家達に足りないものを持っているらしい。これにて」


そう言って、ちょっと黒くなって馬車から飛び降りた。馬車が走ってる途中で。魔法っていうのは随分便利らしいなぁ。あ、魔法について聞けばよかったな。あと、思想家に足りないものねぇ。


ところでこの馬車はどこに向かってるのだろうか?運転手に聞いてみるか。…あれ?そういえば運転手ってこの馬車いなかったよな?つまり、馬の意思か?魔法か?帰巣本能か?俺、どこ行くんだ?こうやって考察してたら、馬車の中で眠ってしまっていた。




起きたら茶色い天井だった。白いが定番な理由ってなんなんだろか?だいたい病院で起きるからか?ちょっと疑問に持ちつつ、近くにいた金髪メイド……メイド!?いい世界だぜ。に今どういう状況か聞いた。どうやら俺は馬車の中で、ぐっすり眠っていたようだ。あのおばちゃんがいつ帰って来るか聞いたら、明後日ぐらいらしい。何しに行ったんや。


「軍家に責められている水家を助けに行ったよ」


水家とは仲が良いってことか。んー、色々組織名が出てきたな。混乱しちゃう。てか、改めて思うけど、距離感近いな。敬語がないから、俺がそう感じてるだけなのかね。顔つきを見る感じ、俺と同い年っぽいな。声も可愛い、顔も可愛い。結婚したい。結婚願望が強いお年頃なのだ。俺は。


「ここらへんの常識をあんまり知らないって聞いたから、もうちょい詳しく説明するよ」


ありがてぇ!


「ここは愛家の領土、百人力の中で3番目に領土が大きいよ」

「百人力って?」

「百人力は、〜家とかあるでしょ?それのまとまりを指す言葉」


なるほど?


「領土は1番が礼家、2番が軍家だよ」


領土とか言ってるから、〜家は国に近いものなのか。そして、国のデカさがここは3番目と。大国じゃないですかやだ〜。


「で、愛家の思想を紹介するね」

「思想?」

「そう思想」

「思想か」


この世界では思想が重要視されているみたいだな。


「まず、愛家は礼家の思想に反対する形で生まれたんだ。礼家は礼と身分関係を重んじる。その例が敬語だね。目上の人を敬わなければならない。」


随分日本社会と似てるな。別に変なところはないと思うがどこに反対しているのだろうか?


俺が愛家が反対する理由を疑問に思っていることを感じ取ったのだろうか。ちょっと口を膨らませている。反対している立場の人に対しては少し失礼だったか。


「礼家はおかしいと思わない?身分関係を決めつけて、愛を平等に分配しないんだよ?なんで兄弟の中に兄、弟って区分をつけるんだろ?なんで兄の方が偉いんだろ?同じ兄弟じゃん。」


話しているうちにヒートアップしていく。その考えも分からなくもないが、基本的には生きた年数に比例して精神的にも成長してぐから、兄の方が偉い理論は仕方ないとは思うが。


俺が黙ってると、メイドはちょっと頭が冷えたのか俺に質問をしてくる。


「人によって愛し方を変えるとどうなると思う?」


哲学的な話か?検討もつかないので首を振っておく。メイドは真剣な眼差しで言った。


「戦争だよ」


それはまた極端な。

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